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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは源の星へ行く

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サバーブ達の杞憂

 サバーブが少し不安そうな顔をしているとカークランドが声を掛けてきた。


「サバーブ君、何か心配になる事があるのかね?この際だ、探索チームとしての問題点は事前に解決するべきだと思うのだが?」


「ええ少し……。」


 そう言うとサバーブはオーガスタを一瞥する。


「我々の船、流彗星号の事なのですが……。」


 カークランドがリランドや連宋の方へ顔を向けると同意する様に頷いている。


「ふぅーん。流彗星号というのか……君たちの船、先史文明人の技術・・・・・・・・によって作られた宇宙船の名前は……。」


「「「え!」」」


 サバーブ達が驚いてオーガスタの方へ顔を向けた。


「何を驚いている?こんなのは情報から推測できる事だ。」


 オーガスタの発言にサバーブが疑問を投げかける。


「いや、しかし……我々は極力情報を出さなかったはずですが?」


「確かに一般に出回っている情報はほとんど無い。トレーダー協会の会社案内にある宇宙船に関しての内容は特注の宇宙船としか書かれていないな。」


 サバーブ達はサリーレの従業員を募集する際に会社案内をトレーダー協会に提示していた。その内容は極一般的な物で特に変わったところはないものである。


「カークランド提督を救出したのも運が良ければ可能かもしれない。」


「では何故?」


 サバーブが尋ねるとオーガスタは不敵な笑みを浮かべた。


「それは私、オーガスタが提督の遭難した惑星について教えてもらっていたからだよ。考えてもみたまえ、着陸船を飲み込むほどの巨大生物が存在する惑星。その未知の惑星から帰還できるのであるから普通の船では無い事が容易に推測できる。」


 サバーブ達はオーガスタから顔をそらす事が出来なかった。


「それと提督は風土病を患っていたそうじゃ無いか。君たちはどう見ても医者では無い。ではどうやって治したのか?医者で無いのなら機械での治療だろう……その様な機械は地上の大きな病院にしかないし、機械も大きな物だ。それが宇宙船にあるという事はやはり普通の船では無い。」


 オーガスタはそう断言するとサバーブ達の顔をぐるりと見廻した。


「その二つを満たす事の出来る宇宙船は“先史文明人の技術によって作られた宇宙船”と推測できる訳だ。」


 オーガスタの推理を聞きサバーブ達は頭を抱えた。


「なんてことだ。上手く誤魔化していたつもりだったが……。」


「意外に俺たちは痕跡を残していたのだな……。」


「わしらはビィとも相談して対策をやり直す必要があるか?」


 サバーブ達が唸っているとオーガスタが声をかける。


「いや、対策は今のままでも大丈夫だろう。私は提督からの情報があったのと、私だから推測できたに過ぎない。それに私は流彗星号とやらには興味が無いからな……。」


「「「?」」」


 意外な言葉にサバーブ達は驚いてオーガスタの顔を見た。


「そんなに不思議か?しかし、流彗星号とやらに使われている技術は知られている技術の発展系だろう?」


「ええ、ただしどの技術も流彗星号に乗せている物は何世代も進化した物です。」


「だがそれはいずれ作られる物、知られている手垢のついた技術に私は興味が無い。私が欲するのは少なくとも人類が知らない未知の技術だ。」


「知られていない技術ですか……例えば宇宙ゲートの様な物でしょうか?」


「宇宙ゲートか……確かに実用化はされていないが、ゲート自体はジャンプドライブの応用で出来るはずだ。」


「……そうですか……。よくわからない・・・・・・・エネルギーが使われているので……。」


 ”よくわからない”とサバーブが言った瞬間、オーガスタの目が光る。


よくわからない・・・・・・・エネルギーだって!?そのエネルギーについて詳しく聞こうか。何時間は取らせない。聞きたい事が聞ければ直ぐに解放するよ。大丈夫、大丈夫、一月もかからないだろうから……。」


 サバーブはどうやら地雷を踏んだ様だ。

 宇宙ゲートのエネルギー源についてオーガスタから厳しく尋問されたサバーブ達が開放される頃には夜もすっかり更けていた。

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