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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは源の星へ行く

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オーガスタ・S・アンドルーズ

 “オーガスタ・S・アンドルーズ“

 地球にあるオーガスタ宇宙物理学研究所の所長であり、宇宙物理学で名を知られた人物。歳の頃は三十代、赤いロングのザンバラ髪と情報端末を兼ねたメガネを掛けた長身の美女である。

 好奇心旺盛な彼女はその好奇心を満たす為ならリスクを全く考慮せず、極寒や灼熱の惑星でも自ら出向く。自らの理論を証明する為、精力的にあらゆる実験を行い試作機まで製作するほどである。

 その反面、興味が無い事には全く食指が動かずグータラした日々を過ごす事もしばしば。


 そして今日も彼女の好奇心を刺激する事が無かったのか芋虫の様に布団をかぶってグータラした日々を送っていた。

 そんな博士に業を煮やしたのか秘書であるミュア・フィールドは苦言を呈した。


「博士!何時までグータラしているのですか!連合からの依頼はどうなったのですか?連合からの請求が毎日の様に来ているのですよ!」


 オーガスタは布団の隙間から嫌そうな顔を覗かせた。


「連合からの依頼って斥力フィールドに関する依頼だったっけ?あの依頼、既存の技術を強化するだけでしょ?私がやらなくても誰かやるわよ。」


「試作機の製作まで引き受けたのは博士ですよ?」


「えー!でも、あの依頼、私が『ブラックホールでも平気なぐらいの斥力フィールド』を提示したら『こんなに強力な物はいらない。』と言ってきたのよ。それを聞いたら何かやる気が……。」


「流石にアレはコストが掛かり過ぎますからねえ。それに試験機のテストにブラックホールが必要なのも問題かと……。あ、それとスポンサーの一人、カークランド名誉提督から面会の連絡が入ってますよ。」


 カークランドの名前を聞いた途端、オーガスタは目を輝かせる。

 これはカークランドがスポンサーだからでも思い人だからでもない。単純にカークランドの遭難時の話に興味を持っているからである。

 オーガスタはそれまで被っていた布団をはね除けると一目散に部屋を出ようとした。その後ろ姿を見たミュアは慌てて追いかける。


「博士!せめて服を着てください!」


 ---------------


 研究所の応接室ではトレードマークとも言える膝まである白衣に身を包んだオーガスタ博士がソファーに腰を下ろし、その後ろでは秘書のミュアが息絶え絶えになっている。

 テーブルを挟んだ向かい側にはカークランドやサバーブ達が腰を下ろしていた。客人を一瞥したオーガスタは秘書のミュアに声を掛けた。


「ミュア君、息は整えた方が良いな。お客様スポンサーに対して失礼だぞ。」


「だ、誰のせいでこうなっていると思っているのですか……。」


 そのやり取りを見たカークランドは微笑ましい物を見る様な様子で軽く微笑む。オーガスタは好奇心に満ちた表情でカークランドの方へ顔を向けた。


「それでカークランド提督、今回やって来た理由はあの場所の調査が決まったのだろうか?」


「その通りだ。ようやく目星をつけたパイロット達と連絡がついてね。紹介しようと思う。」


「そうか!じゃあよろしく!では早速行こう!すぐ行こう!」


 早速出発しようとするオーガスタをミュアが取り押さえる。


「何故すぐに行こうとしているのですか?契約がまだですよ。」


「いやでもワトソン君、時は金なりと言うじゃ無いか……。」


 目の前で繰り広げられる騒動を見たサバーブ達は一抹どころでは無い不安を感じるのであった。

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