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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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挿話:因果応報(海賊編)

 ゲートの歪みに飛び込んだ海賊達の目の前には青緑色の地球型惑星があった。

 幸いな事にこの惑星は恒星の周囲を回っており、その恒星もG型スペクトルの恒星である。

 その惑星を見たキョウツは思わず拳を振り上げた。


「こいつはついている!てっきり何も無い宇宙のどこかに放り出されると考えていたが俺たちのアジトにもってこいの惑星があるぜ!」


「で、でも親分。あの星は何処の星ですかね?」


 手下の一人が不安そうな表情をする。


「そんなモノ着陸すれば判るってモノよ。宇宙港はねえのか?フール!」


 海賊船の管制を引き受けている手下のフールに尋ねる。フールは慌ててレーダーを起動した。


「……???……!!!親分!宇宙港はありません!ですが……。」


「宇宙港はねぇのか……ん?ですが?」


「ですが、船の航宙管制用自動応答装トランスポンダー置からの識別信号が地上から……。」


「ほう!識別信号、宇宙船があるのか。何処の船だ?」


「……ヤスの乗っていた船の識別信号です。」


「そうか、ヤスの乗っていた船……ヤスの船だと!」


 驚きの声を上げたキョウツはフールの方へ顔を向けた。


「間違いなくヤスの船です。……ヤスは地上にいるのでしょうか?」


「判らねぇ。航宙管制用自動応答装トランスポンダー置が生きてるって事はヤスも生きている可能性は高い。直接通信は?」


「それが繋がらない様で……でもこの反応、通信機が壊れているのでは無く、通信士が側にいないと思います。」


「そうか……なら地上に降りてみるしかねぇな。」


「でも親分、着陸艇はこの船には……。」


 船の操縦をしていた(ゲートの進入時にキョウツに吹き飛ばされた)手下、イッケイが恐る恐る尋ねる。


「イッケイ、もう少し頭を使え。この船で降りれば済むだろうよ。大気圏突入時に斥力フィールドを張っていれば大丈夫だろうが。」


「で、でもそんな事をすれば二度と宇宙には……。」


「その時はその時だ。この船の食料や空気は一月しかモタねぇ。どの道あの星に着陸する他はねえんだよ。」


 ―――――――――――――――


 三年前にゲートの歪みに突っ込んだヤスの船がボロボロになりながらも存在した。海賊達は自分達の船をそのヤスの船の前に着陸させた。


 海賊船の出す轟音に驚いたのか海賊船が着陸するとヤスの船から身長三メートル近くのガタイの良い連中が出てきた。

 その連中の女性の様な姿形をしているが肌は青黒く見ただけで人類では無いという事が判る。その連中に交じって一回り以上小さな者達がいた。


「おい、あれはヤスじゃねぇのか?そうだ、あの薄い頭、ヤスに違いねぇ!おーい!ヤス!」


 キョウツはヤスらしい男に向かって大きく手を振りながら声を上げた。ヤスは側にいた者と何やら話し込んでいる様だ。


「おいおい、どう言う事だ?長くこの惑星にいた事で俺の顔を忘れたのかね?」


 側にいた手下のイッケイやフールに声をかけるが彼らも首を傾げるだけだった。

 そうこうしている内にヤスはガタイの良い連中から離れキョウツの元に駆け寄ってくる。


「親分、迎えに来たのですかい?」


「何だ、ヤス。ちゃんと覚えていたのか。反応が無いから忘れたモノだと思っていたぞ。残念ながら迎えでは無い。俺たちもこの星に漂流してしまったんだよ。」


「な、何だって!」


 漂流した事を聞いたヤスが驚きの声を上げた。その声を聞きつけたのか先ほどまでヤスと一緒にいたガタイのいい連中が近づきヤスと話し始めた。

 その中の一人がヤスを押しのけキョウツ前に立つ。


「オマエ、ヤスのシリアイカ?」


「そうだが?オマエは誰だ、俺に何の用だ?」


「ヤスのシリアイナラオマエもオレのモノだ。」


「おいおい、オレはそんな趣味はねえぞ?」


「親分、諦めてくれ。この人達はこの大陸の支配者。俺たちよりも力は強い。」


「だけど女相手は……。」


「アンシンシロ。オレはドチラデモアル。」


「へ?どう言う事だ?ヤス?」


「この星の連中は雌雄同体とかだ。つまり男でもあり女でもある。」


「じょ、冗談じゃねえ。野郎ども!この連中を……。」


 キョウツは慌てて号令をかけるが周囲にいた手下達は別のガタイのいい連中に連れ去られる途中だった。


「お、おい。どうなってるんだ?」


 驚きのあまり立ち尽くすキョウツの後ろから先ほどの異星人がキョウツの両肩を掴む。


「ダイジョウブ。ダイジョウブ。ヤサシクスルヨー。テンジョウのシミをカゾエテイレバ終ワルヨー。」


 その異星人の後ろから別の異星人が声をかける。


「オイオマエ、オマエがアジミをスルトスグ壊す。」


「ダイジョウブ、ダイジョウブカゲンスルヨ!」


 それは過去に自分達が言った台詞でもあった。

 因果応報、巡り巡って海賊達は今まで与えてきた事を同じ様に与えられるのであった。


 ―――――――――――――――


 銀河統一歴二百四十七年

 銀河生物学会で新たな発見の報告がなされていた。

 ペルセウス腕の中にある惑星の住民の中から人類の遺伝子の痕跡が発見されたのだ。

 この発見により人類の異星人とのファーストコンタクトがもっと早い段階で行われたという事が判明した。

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