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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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ゲートの消滅

 ヴァナルガンドはプルーニアの船長席で自らの行動を自画自賛し薄ら笑いを浮かべていた


「くくくくく、これであのサバーブを討ち取ったとなれば私の中将への昇進は間違いない。行く行くは全イラメカ宇宙軍を率いる大提督も夢では無い。いや、現実の物となる。」


 大提督になり全イラメカ宇宙軍に号令をかける想像をしたのか人目も憚らずほくそ笑んだ。

 だが、その様な妄想も終わりの時は一瞬である。

 管制官が爆光を検知し声を上げる。


「本艦の左十五度方向に爆光確認!」


「爆光だと?何が起こったのだ?管制官、早く索敵しろ!」


 ヴァルナガンドが索敵の命令の為に立ち上がった時、その終わりは唐突に訪れた。

 電源が落とされた様な音が艦橋ブリッジに響き渡り明かりが消え空調のファンの音が徐々に弱くなる。その数秒後、薄暗い明かりが艦橋ブリッジに点灯した。


「薄暗いぞ!何だ!何が起こった!」


「じ、状況はただいま確認中です!あ……。」


 プルーニアの状況を確認していた機関士の一人が言葉を詰まらせた。


「どうした!早くしろ!」


 ヴァナルガンドは額に皺を寄せ、苛立ちを隠そうとしていない。


「は、はい。電源区画およびエンジン区画、燃料区画の一部の消滅を確認。残存燃料区画の一部に破損、本艦プルーニアは非常用電源で運行している状態です。」


「何だと!状況をモニターに出せ!艦外観測用のドローンを飛ばせ!どうした、無いのか?!」


「今直ちに……モニターに状況出ます!」


 プルーニアの艦橋ブリッジにある大型モニターにプルーニアの現在の姿が映し出された。映し出されたプルーニアの姿を見た乗組員一同は息をのむ。


「……これが今の姿だというのか……。」


 やっとの事で声を出したヴァナルガンドの目の前には何も無い宇宙空間に浮かぶ宇宙船、後ろ半分が綺麗に切り取られた三角形の宇宙船が映し出されていた。

 ヴァナルガンドは周囲を見廻すと声を上げる。


「……反転だ!反転して一時後退だ!」


「艦長、本艦にはメインエンジンがありません。後退するにしても艦前部のスラスターで逆噴射するしかありません。」


「そ、それで良かろう!イラメカ軍基地まで一時後退せよ!」


「艦長、基地まで後退しようにもゲートが存在しません。」


「な、なん……だと?!ゲートが?」


 再びメインスクリーンを見るヴァナルガンドの目にはただ何も無い暗黒の空間と三角形の宇宙船しか映っていなかった。


 ―――――――――――――――


 何も無い宇宙空間にリランドの強化防護服アーマースーツが一機、その少し後方に流彗星号が浮かんでいた。

 先ほどまで激しい光りが在った空間をリランドは強化防護服アーマースーツのカメラを通して見ていた。激しい光りはすでに収まり光の中心部には何があったのか痕跡さえ無い。

 自分の役割を終えたリランドは大きく息を吐き出した。


「……任務完了。」


 モニター越しの連宋が賞賛の声を上げる。


「流石だな、リランド。あの距離を一撃で当てるとは……。」


「いや、どちらかと言うと強化防護服アーマースーツの性能のおかげかな?この強化防護服アーマースーツは狙撃用の装備が充実しているからな。それにしても遺跡にあいた隙間から制御室を狙うという超高難易度の狙撃を計画するサバーブもどうかと思う。」


「わしからするとその超高難易度を成功させるお主もどうかと思うぞ?」


「……接近戦の達人に言われてもな……これより帰投する。」


「了解。」


 リランドは強化防護服アーマースーツのスラスターを吹かせると流彗星号へ帰投した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 尻が無い状態でスラスターで延々とバックする宇宙戦艦、面白い絵面だわ
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