表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/214

断絶への航海

 イラメカ帝国軍の弩級宇宙戦艦プルーニアの艦橋ブリッジは広い。

 巨大な戦艦を制御する為の装置や人員が艦橋ブリッジに集中している為だ。その上、駆逐艦や軽巡洋艦の様な小型の宇宙艦艇を搭載できることから管制官が最低二人は常駐する事になっている。


 プルーニアの艦橋ブリッジには二十人の人間が何らかの任務に就いていた。

 その二十人が緊張した面持ちで一言も発せずにいる中、イラメカ帝国軍少将であるヴァナルガンドはコツコツと足音を響かせていた。


「……遅い!一体何時になったら到着するのだ!」


 ヴァナルガンドは苛立ちを隠そうともせず周囲に怒鳴り散らす。ヴァナルガンドが腹を立てている通りプルーニアの速度は明らかに遅かった。


「この艦橋ブリッジには原因を突き止める優秀な者はいないのか!」


 その中でも一人、年若い士官がヴァナルガントに対しおずおずと自分の考えを上申した。どうやら技術士官の様だ。


「も、申し上げます。本艦の移動速度低下には重量が関係する可能性があります。」


「重量?どう言う事だ?説明してみよ。」


 技術士官は背筋を伸ばすと大型モニターの前に立ち、艦長席に座るヴァナルガンドを前に説明を始める。


「一般的にジャンプにおいてエネルギーの消費量が増えます。これは空間を繋げる時以上に通過中も大量に消費される事とは閣下もご存じの通りであると思いますがいかがでしょうか?」


「うむ、ジャンプの場合は通過中も大量にエネルギーが消費されるな。」


 技術士官はヴァナルガンドに頷いて答えると説明を続ける。


「この場合のエネルギーの消費量はジャンプする物体の重量によって増大します。宇宙ゲートの場合も同様にエネルギーが消費され、消費量が“通過する艦船の重量に比例する“と考えられます。宇宙ゲートでのエネルギー消費が一定ならば重量によって通過可能な質量が変化する、すなわち通過する物体の速度が変わると推察します。」


 話を聞き終えたヴァナルガンドは技術士官に聞き返した。


「では現状でこの船の速度を上げる方法は無いのか?」


「一番良い方法はプルーニアに搭載されている駆逐艦もしくは軽巡洋艦に乗り換えゲートを超える事です。質量の小さい艦艇ならば著しい速度低下は起こらないと考えられますので……。」


「駆逐艦か……まてよ?プルーニアは質量が大きいから遅くなるのであったな?」


「はい、その通りでございます。」


「ならば、格納艦艇を全て船から降ろせば速度は上がるのでは無いか?」


「……その通りでございますが速度上昇はそれほど多くありません。」


「速度が上がれば問題は無い。管制官!全ての艦艇をプルーニアから離脱させよ!」


 ヴァナルガンドの号令の元、プルーニアに搭載されていた駆逐艦、軽巡洋艦が全てプルーニアから離脱を開始した。艦艇が離脱する度にプルーニアの速度が少しずつ上昇する。


「見よ!私の狙い通りだ!これで問題なく航行出来る。」


 プルーニアの船長席でヴァナルガンドは愉悦に浸りながらこの後に始まる一方的な蹂躙かりを思い描いていた。それが妄想だと言う事に気づくまでに時間はそうかからなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 誰も止めない…いや、止められないか… 下手に進言でもしたら叱責どころか罰せられるから、明らかな愚策と解っていても従わざるを得ないんでしょうねえ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ