宇宙ゲート その5
サバーブは流彗星号を遺跡の宇宙港へ接舷するとすぐさま強化防護服を着用し宇宙ゲートの制御室へ向かう。時間をかける訳にはいかないと考えたのかサバーブはミカエルとハンニバルには流彗星号で待機してもらった。
宇宙港から制御室までの道のりは途中にゲートがある。その為、短い時間で移動出来るのだがサバーブにはその時間さえ惜しい様に感じているようだ。
その様子に気がついたのかリランドは通信機越しに声をかけた。
「サバーブ、それほど急がなくてはならないのか?」
「イラメカにとって一番の問題はゲートが使えなくなる事だ。私なら間違いなくゲートの確保に動く。敵の指揮官もそう考えると踏んでいる。」
「けどサバーブ、俺たちがわざわざゲートを封鎖する必要はあるのか?一時的にここがイラメカに占拠されても取り返す事は可能じゃ無いのか?」
「取り返す事は可能だ。……リランド。俺たちの目標は何だ?」
リランドはサバーブの言葉に将来の目標を思い見る。
「”悠々自適なセカンドライフ”だな、今のところ何か違う気がするが……。」
「だがここにイラメカの前線基地が作られれば”悠々自適なセカンドライフ”も叶わなくなる。」
「え?そうなのか?」
リランドの問いかけにサバーブは頷く。
「……ここにイラメカ軍の前線基地が構築されると連合は二方向からの進軍を警戒する必要が出てくる。しかし、今の連合軍の規模では人員が足りない。では足りない人員をどうするか?」
「……どこからか持ってきて……そうか!予備役か!」
「私もリランドも退役して一期ぐらいしか過ぎていない。私たちは非常招集の対象だよ。」
「……非常招集か……と言う事は最近退役したキャサリンも対象じゃないか!これでは俺の計画が……こうしちゃいられない……。」
その事に気がついたリランドは慌てて強化防護服のスラスターを吹かす。
「何をしているサバーブ、連宋、早く行くぞ!」
慌てて管制室に向かうリランドの背中を見ながらサバーブは肩をすくめた。
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サバーブ達は制御室にたどり着くと制御室はゲートを起動させた時と同じ様にデーターを表示させ続けていた。
「連宋、ゲートの閉止と機能封印を頼む。出来るか?」
「機能封印か……出来るかどうかは判らないがやってみる。リランド、動力源のコントロールを頼む。」
「OK!」
連宋は宇宙ゲートの制御パネルを操作し始める。
「……一部でエネルギー供給のズレがあるが問題は無い。エネルギー供給リンクを閉じればゲートが消えるのか。だが徐々にしか閉じる事が出来ないな。」
「徐々に閉じる?すぐ閉じる事は出来ないのか?」
「……どうやら安全上の処置らしいね。徐々にエネルギーの供給を停止させる事で徐々にゲートを小さくして閉じる様だね。」
「安全上……。」
連宋の報告にサバーブは眉間に皺を寄せる。
「仕方が無いか……連宋、ゲート閉止を開始!」
「了解、ゲート維持プロセスからゲート閉止プロセスへ移行。エネルギー供給リンク縮小開始。ゲート縮小確認。」
制御室の空中に映し出される宇宙ゲートが徐々に小さくなって行く。だがそれも束の間、パネルを操作していた連宋が声を上げた。
「?!ゲート縮小停止!」
「何だ!?何が原因だ?」
「!大型艦……大型艦がゲートを通ろうとしている!」
イラメカの弩級宇宙戦艦であるプルーニアがゲートに突入したのであった。




