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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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事前の対応策

 流彗星号にゆっくりと接近する船は航宙管制用自動応答装トランスポンダー置によると”貿易船”らしい。しかし、サバーブには接近する船に見覚えがあった。


「イラメカ帝国の戦艦じゃないか……確かガングルトだったか。」


 そう呟いたサバーブにリランドが反応する。


「見た事があるのか?サバーブ?!」


「主砲や副砲を取り除いているが間違いない。何度か戦った事があるから覚えている。クレーンが付いているから戦艦では無いが……少なくとも貿易船では無い。工作艦か輸送艦だろう。しかし不味いな……。」


 苦虫をかみつぶした様な顔のサバーブを見たミカエルはただならぬ物を感じた。


「サバーブ君、一体何が不味い?自分には判らないのだが?」


「ミカエルさん。工作艦や輸送艦が単独・・で動いている宙域とはどの様な宙域だと思いますか?」


「うーん……戦闘がある宙域かい?」


「いいえ、その場合は戦艦や巡洋艦……少なくとも数隻の駆逐艦が随伴しています。単独で動けるのは戦闘が起きない宙域、つまりイラメカ帝国の支配宙域と言う事です。」


 サバーブの説明でミカエルは腑に落ちた様だ。


「それは大変な事じゃ無いか!イラメカ軍がこの宇宙ゲートを使って……ど、どうするのだね?」


「ええ、この場合どうすれば良いのか……思案の為所です。」


 イラメカ帝国の艦艇にどう対応するのかサバーブは頭をフル回転させるのであった。


 ---------------


 頭をフル回転させているのはサバーブだけでは無い。イラメカ帝国軍のウォーデン大佐も艦長席の上で頭をフル回転させていた。


「ローズル、この流彗星号の他のメンバー……サバーブ以外はどの様な連中だ?」


「まず、リランド・ダセルドは元エキドナ星系軍の海兵隊准将です。この男はエキドナ星系方面でも有名な常軌を逸したプラネットダイバーだそうです。また正確無比な射撃の腕を誇るとあります。」


「……他は?」


「次に、布留・連宋。太陽系連合ソル宇宙軍情報部少佐と言う事は判っています。が、どの様な任務に就いていたのか判っておりません。他に判っている事は武術の達人である事ぐらいでしょうか?」


「……なるほど。サバーブの仲間は射撃の名人に武術の達人か……サバーブ本人も宇宙船の操縦は目を見張る物がある。そしてこれらのデーターが帝国軍の情報バンクにある。それほど警戒すべき連中、この流彗星号に乗っているメンバーは各部門のスペシャリストを集めたと言っても良いだろう。そんな連中が宇宙ゲートの先の宙域にいた……。」


 モニターに並ぶ流彗星号メンバーのプロフィールを前にウォーデンはしばらく考えに耽る。あり得ない事柄の一つ一つが線で繋がる様に思えた。


「……宇宙ゲート……スペシャリティメンバー……新型の宇宙船……もしや!」


 ウォーデンは自分の閃きに思わず船長席から立ち上がった。


「いかがしましたか?ウォーデン閣下。」


「ローズルよ。この連中は秘密裏に宇宙ゲートを調査しているのだ!おそらく連合の命を受けて……。だから新型の宇宙船でありスペシャリティメンバーなのだ!」


 ローズルはウォーデンの推理に目を見張った。


「なるほど、確かにそれで説明が付きます。では彼らをどの様に?」


 大きなため息を吐きウォーデンは首を振る。


「相手は新型、大きさから考えて宇宙軽巡洋艦だろう。この艦はもう戦艦では無い補給艦だ。そんな艦艇を相手に撃沈や拿捕は出来ないよ。逆に撃沈される恐れがある。」


 ウォーデンはゆっくりと船長席に腰を下ろす。


「だが、やりようはある。それに……ローズル、我々の目的は何だ?」


「それは『宇宙ゲートの調査』であります。」


「ならばこの情報を持って帰る事が先決、その為には相手の出方を見る必要がある。通信兵、あの宇宙艦との通信回路を開け!」


「イエス・サー!通信内容はいかがしましょうか?」


「内容か……こういうのはどうだろうか?なぁ、ローズル。」


 ローズルに問いかけるウォーデンの目が獲物を狙う油断のならない光りを宿した。

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[一言] >こういうのはどうだろうか?なぁ、ローズル。 「バカメと言ってやれ」
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