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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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宇宙ゲート その3

 遺跡の桟橋から中心部に向かう通路が伸びておりその先には制御室と思われる区画がある様だ。制御室と思われる区画は少し高い位置にあるのだが通路が途中で切れており直接はいけない様になっている。幸い遺跡の内部には重力が無いらしく途切れている場所から宇宙遊泳すればたどり着く事が出来るだろう。


「ん?」


 サバーブが通路に立つと正面に扉が見える。この扉は先ほどまで見えなかった扉だ。


 強化防護服アーマースーツを着たサバーブは扉に近づこうと一歩を踏み出す。


「!!」


 その次の瞬間、世界がゆがんだ様な何とも言えない感覚が引き起こされた。

 驚いたサバーブが後ろを振り返ると向こうに通路が見えるのだが遙か下の場所にもリランドや連宋、ミカエル、ハンニバルの姿が見えた。

 さらにその後ろには流彗星号の船体も見える。通路の方向に見えるリランドや連宋はサバーブの方向と遙か上の方を交互に見ていた。

 サバーブは強化防護服アーマースーツの通信回線を開き流彗星号と連絡を取る。


「ビィ、これはどうなっているのだ?」


「どうなっているとは?」


「今まで桟橋近くに居たのに歩いて行くと上の方へ移動したぞ?」


「ああ、それですか……単なるショートジャンプ。短距離の宇宙ゲート、ジャンプチューブと言う物ですよ?」


「宇宙ゲートって……今までそんな設備は無かっただろう?この様な設備がある事ぐらい教えてくれても良かったのじゃ無いか?」


 シルビィから情報が無かった事でサバーブは少し機嫌が悪くなったようだ。しかしシルビィは少し呆れた様な口調で返す。


「今まで無かったって何を言っているのですか?サバーブさん。最初の遺跡で使っているでしょう?」


「あれは建物を登っていただけだろう?」


「サバーブさん。あの建物は全長が百km以上ある建物ですよ。あの時使用したメディックポットは船の位置から10km、10,000m程上の階です。」


「え?だがあの時は今のような違和感は無かった。いつも通り移動出来たと記憶している。」


「その理由は簡単に説明出来ます。ここのジャンプチューブは初期型、あの時サバーブさんが使ったのは後期型だからです。」


「それじゃこの遺跡は最初の遺跡より……。」


「千年ほど古い遺跡ですね。そもそも宇宙ゲートは流通用で……おっと、禁則事項です。これ以上の説明は出来ません。失礼しました。」


 シルビィは何か禁則事項に引っかかるような事を話そうとした様だ。サバーブはその不自然な中断を考察し始めた。


(宇宙ゲートは流通の為では無いのか?……ビィの言い方だと宇宙ゲートは本来、何かの目的の為に作られた装置であり流通は副次的な物のようだ。)


 じっと考え込むサバーブにジャンプチューブでやって来たリランドが声をかける。


「どうした?サバーブ。こんなところで立ち止まって?」


「あおっと、リランドか……。すまない少し考え事をね。」


 そう言うとサバーブは両手で自分の頬を叩いた。派手な音がしてサバーブの両頬が赤くなるがサバーブの顔は気合いが入ったような顔に変わった。


「よし。もう大丈夫だ。先に進もう。」


 ---------------


 扉の向こうは予想通り宇宙ゲートの制御室のようだ。縦、横10mの大きさの部屋に宇宙ゲートの状況を表示させているパネルがすらりと並ぶ。

 並ぶパネルの一つに連宋が近づき操作を試み始めた。


「……何だろう?微妙に動きが悪いような……。エネルギーの流れが途中で乱れている様な……。」


 連宋が何度も首を傾げていると全てのパネルに様々な図形が並びせわしなく動き出した。突然全てのパネルが動き出した事で辺りを見回していたリランドは連宋に問いかける。


「何だ?連宋、何かしたのか?」


「いや、わしはまだ操作の把握の途中だ。」


 パネルの一つに動力伝達部、この遺跡の中心部にあるエネルギータンク?から取り出したエネルギーが各所に分配されているのが映っている。

 銀の円盤の様な物にプラズマ化した物質が当たると別の円盤からプラズマ化した物質がでる。それを見たサバーブは再び考え込んだ。


(……これはあの海賊の右腕にあった物か?あの攻撃をするのに海賊は通信をしていた。海賊船は主砲が火災を起こしていたな。そして円盤はエネルギーを移動させている……海賊連中は遺跡から円盤を持ち出し自分の腕と主砲を繋げたのか!)


 サバーブ達が追いかけていた海賊達は遺跡の機材を利用していた様だ。


(奴らの拠点アジトは宇宙ゲートの先か……。)


 しかし、その海賊達はその拠点アジトから逃げようとしている所だった。

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