宇宙ゲート その1
ミカエルの疑問を聞いたサバーブは自分の見当違いに気がつきがっくりと項垂れる。
「そうか……宇宙ゲートの装置は外側か……盲点だった。」
斥力フィールドは宇宙船を守る為の物だ。
恒星間を移動する宇宙船はジャンプ以外の通常航行でも極めて早い速度で航行する。
この速度での航行は宇宙空間で静止している小惑星とぶつかった場合、宇宙船の速度で弾丸をぶつけられたのと同じ事が起こる。
その為、宇宙空間において漂う小惑星は致命的な障害物の一つとなっていた。
斥力フィールドはその小惑星から宇宙船を守る為に恒星間を移動する宇宙船には必ず存在する。斥力フィールドで攻撃を防ぐのは副次的効果に過ぎないのだ。
”宇宙ゲートの斥力フィールド発生装置はフィールドの外側にある。”つまりサバーブ達が探索していた場所は見当違いの場所だった。
この件についてサバーブ達の見当違いを責めるのは酷という物だろう。何故なら、彼らが使う斥力フィールド発生装置は常に宇宙船内にある物だったからである。
ミカエルが斥力フィールドの発生装置が外にあるという事に気づいたのはサバーブ達とは逆の理由だ。
イラメカ帝国では有色人種には宇宙船の所持および使用は認められていない。その為、ミカエルには宇宙船関係の知識はほとんど無い。
ミカエルが太陽系連合で習得したのは宇宙船操縦免許であり、初心者とも言えるミカエルが流彗星号でレルネー1まで航行出来たのは自動航行装置のおかげである。
「それと些細な事なのだが……。」
ミカエルのさらなる質問にサバーブの肩がピクリと反応する。
「まだ何か?」
「宇宙ゲートが何故カーテンの様に波打っているのか?と思ってね。」
ミカエルの言葉を聞いていた連宋が口を挟む。
「オーロラだから波打っているのでは?なぁ、サバーブ?」
「待て!連宋、宇宙船の斥力フィールドは波打っていない。それだと波打つ理由にはならない。おそらく、宇宙ゲートの構成に何かある……。」
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宇宙ゲートの斥力フィールドの外側、小惑星が多数存在するエリアの探索を始めて一時間も経たないうちに異星人の遺跡跡らしい反応見つけた。遺跡の反応を見たサバーブはため息を吐く。
「こうあっさり見つかるとは……。」
その近くではリランドが同じ様に頷いている。
「そうだな。あのままだと何も見つからず何周もしていたと考えるとゾッとするよ。なぁ、連宋。」
「全くその通りだ。ミカエルさんには感謝しか無いな。」
サバーブとリランド、連宋の三人がミカエルに対して感謝の気持ちを言葉にするとミカエルは照れた様に笑う。
「自分の言葉が探索の助けになるとは……正直言ってうれしいね。」
和気あいあいとした雰囲気の中、流彗星号は反応のあった小惑星へ近づいて行く。
一概的に小惑星と言っても大きさは様々な物が存在する。小さい物はゴルフボールほど、大きい物になると数百kmの物がある。
古い時代では小惑星と言っていたものが小惑星と言われる様になったのは恒星間航行の時代に入って小惑星が宇宙船の航行に邪魔な小惑星と認識されたからである。
話を戻そう。
流彗星号が見つけた小惑星は直径が十kmの球状の小惑星である。一見すると何の変哲も無い小惑星の様に思えるが明らかにおかしな形状であった。
この大きさの小惑星が球状になっているのは明らかに不自然なのだ。




