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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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宇宙のオーロラ

 海賊達は宇宙ステーションを出ると一直線にウエストランド星系外周部へ航行を続けていた。宇宙船自体商船を改造した物らしく通常航行の早さは商船とあまり変わりない。

 流彗星号のメインモニターには外周方向に向かって進む海賊船の姿が映し出されていた。

 海賊の動きを見張っていた連宋はサバーブ達に現状を報告する。


「連中の船の速度はあまり速くないな。サバーブの予想通り外周部に行くようだ。サバーブ、その辺りなら探知されにくいだろうからもう少し近づけるのでは?」


 連宋の言葉からサバーブは相手の船の能力を推定して検討する。


「そうだな。ここならかなりの大きさの惑星が存在する。その影に隠れながら接近しよう。連宋、付近の惑星図をサブモニターに出してくれ。」


 連宋が端末を操作すると流彗星号のサブモニターに付近の天体を示した惑星図が表示される。

 主星である恒星ウエストランドから一万AU程の距離であるが、太陽系と同じ様にこの付近にも数多くの天体が存在する。

 海賊はその天体の一つに拠点があるとサバーブは睨んでいるのだ。

 連宋は惑星図をサブモニターに出した後は探索波が海賊船からでていないか自分の端末を注視していた。


「各計器異常なし。相手からの探査は確認出来ず。あの連中、自分たちが尾行される事を予想していないのか?」


 首をかしげるリランドは連宋の言葉が不思議に思うようだ。


「海賊の連中は自分のアジトが割れない様に尾行には注意しているはずなのだが……。それとも尾行が問題にならない何かがあるのか?」


「どうだろう?あの宇宙船は元々星系内で物資を輸送する為に開発された船だ。当然、星系間ではないのでジャンプドライブは付いていない。通常航行も商船を改造した物にしては早いかな?と言うところだ。」


「まぁ、色々考えても今の情報ではなんとも言えない。後は連中に尋ねてみ……。」


 リランドが何かを言いかけた途中でメインモニターの上部に虹色の光のカーテンが映し出された。


「な、何だ、あれは?」


 突然現れた光のカーテンを前に船橋ブリッジに居合わせた者達が言葉に詰まる。そんな中やっとの事でサバーブは声を上げた。


「この七色に光る物はまさか……宇宙のオーロラ?」


 サバーブの声にミカエルも大きく頷く。


「地上のオーロラは赤や緑だが宇宙のオーロラは七色に光る。まちがいない。自分が昔聞いた通りだ。」


 リランドはその光景に唖然としている。


「おいおい。こんな光景は初めて見るぞ……連宋!録画!録画!」


「もうやっている。」


 船橋ブリッジに居る誰もがその幻想的な光景にしばらくの間、時を忘れていた。しかしそんな時間は不意に終わりを告げる。

 あれほど広範囲に光っていたオーロラが溶ける様に消えてしまったのだ。元通りの暗い宇宙を映し出しているメインモニターを見てミカエルが呟く。


「……消えた……。幻を見ていたかの様な気分だ……。」


 サバーブはミカエルの言葉に同意する。


「そうですね。でもこれでハッキリしました。遺跡に関係すると思われる海賊を追っていたら宇宙のオーロラにでくわした。やはり、宇宙のオーロラと遺跡に間に何かあるとみるべきでしょう。」


「そうだな。サバーブ君の言うとおりだ。」


「後は……連宋、海賊の追跡を再開するぞ。」


 サバーブが連宋に問いかけるが連宋からの返事が無かった。


「?」


 見ると連宋は額に皺を寄せながら自分の端末から各計器のデータを読み取っている最中の様だ。その連宋が端末を操作しながら声を上げた。


「……各計器、重力反応無し。海賊船消失を確認。現在、過去ログから原因を特定中……。」


「「何だって!」」


 異口同音にサバーブとリランドが驚きの声を上げた。

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