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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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追跡

「こちら連宋。サバーブ、連中は郊外の宇宙港で解放された。シャトルに乗り込んでいるようだ。連中の船は上にあるみたいだね。」


 大気圏航行能力を持たない宇宙船は軌道上にある宇宙ステーションに係留されシャトルで地上と行き来する。どうやら海賊連中の宇宙船は大気圏航行能力が無いタイプの様だ。


「こちらサバーブ、了解した。連宋、直ちに流彗星号へ帰投せよ。我々も帰投次第地上を離脱する。」


 サバーブの読み通り捕縛した海賊連中はウエストランド星系当局に拘束される事無く郊外の宇宙港で解放されたらしい。

 解放された海賊達はそのまま宇宙港からシャトルで軌道上の宇宙ステーションへ移動する様だ。ステーションに彼らの船があるのだろう。


「シャトルがステーションに着くまでには時間があるな。リランドに連絡を入れておくか。」


 サバーブは端末を操作するとリランドを呼び出した。


「こちら流彗星号。どうしたサバーブ、何かあったのか?」


「こちらサバーブ。ちょっと何時もの連中かいぞくに襲われてね。」


「ほう、相変わらずの人気だな。だが連中かいぞくもよりにもよって連宋やサバーブに手を出すのだから……。完封勝ちと言った所か?」


 画面越しのリランドが当然の様に言うがサバーブはバツの悪い顔をした。


「それがな……完封勝ちどころか逆転負けを食らいそうになった。私たちに油断があったのだと思う。そのあと何とか捕縛してここの顔役に引き渡した。」


「……油断でもあの装備なら逆転される事は無いだろう?大抵の攻撃は斥力フィールドで対処出来るし……。」


「その斥力フィールドが奴らの一回の攻撃でエネルギー切れになりそうになった。」


 エネルギー切れになりそうになったという事実を聞いたリランドが驚きの声を上げる。


「何だって!戦艦並みの砲撃を受けたというのか?」


「しかも驚く事にそれは個人の右腕での攻撃だ。」


「個人の携帯武器の攻撃で斥力フィールドがエネルギー切れを起こしそうになった?それは俺の知っている武器ではあり得ない。と言う事は……。」


「ああ、おそらく遺跡の出土品だ。宇宙のオーロラが見える地域で遺跡の出土品を持った海賊がいる。ついでに言うと連中は宇宙港で解放された。」


 モニター越しのリランドがニヤリと笑う。


「なるほど。サバーブは奴らを泳がせたのだな?」


 ―――――――――――――――


 サバーブ達が流彗星号で軌道上の宇宙ステーションへ向かうとステーションではちょっとした騒ぎが起こっていた。


「こちら流彗星号。ステーションへの一時係留を願う。」


「こちらステーション。残念だが貴船の係留は出来ない。ちょっとした事故があって目下修理中だ。」


「事故?ステーションで?それは大変だな……。」


「ああ全く困った事だよ。ステーションで爆発事故なんてあってはいけないだろう。幸い爆発は小規模で済んだが設備の一部が破損した……連中は当分出入り禁止だな。」


 ステーションでの爆発があった場合、空気による減衰がない分たとえ小規模の爆発であっても大惨事になる事がある。その為、起こした者がステーションの使用を禁止される事は必然とも言えた。


「そんな訳で当面係留は出来ない。済まないな。……おっと、問題の連中が出航か……二度とくるなよ!」


 画面越しの通信士が声を荒げる原因となっている船が出航する様だ。その船を見ていたリランドが声を上げる。


「あれは海賊船だな。巧妙に偽装しているが普通の船に必要の無い突撃衝角ラムが見える。」


 海賊船と言い切るリランドに連宋が疑問の声を上げる。


「リランド、間違いないのか?」


「おいおい、俺が何年海賊相手に戦ってきたと思う?その経験から断言出来る。あれは間違いなく海賊船だ。」


 リランドの話を聞き少し考え込んでいたサバーブが立ち上がった。


「連宋、あの船の各種探知波の範囲は判るか?」


「大体、二億kmと言ったところだね。」


「よし、その距離を保って海賊船を追跡するぞ。」


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