海賊の拠点は?
開拓惑星の海賊連中を捕まえたサバーブ達だったが捕まえた海賊連中をどの様に扱うのか悩んでいた。
サバーブ達の出身星系であるエキドナ星系は辺境であるが軍や警察などがきちんと機能している。
通常ならば星系軍や連合軍に突き出せば事は済むのだが、辺境にやって来たスターを誘拐しようとする連中が地上にいる事自体が異常なのである。
ここウエストランド星系では警察機構がきちんと機能している様には思えなかった。
縛り上げられたコクウやキョウツを前に連宋はため息を吐く。
「正にローハイド地帯と言われるだけはあるね。噂には聞いていたがこれほどとは……。」
「そうだな。問題は捕まえたこいつらが放免される可能性が高いと言う事だな。」
サバーブ達が頭を抱えていると数人の男達が近づいてきた。その中に一人、先頭に立つ男に見覚えがあった。頭に白い物が目立つ男はカラングアでの顔役と紹介された男で名前をカダムと言う。
「ミカエル殿とその御一行の方にお願いがあります。その者達の処分は我々に任せて欲しいのです。」
深々と頭を下げるその男を見たサバーブは少し思案する。果たしたここの連中に任せて良い件なのか判断が付かなかったのである。そんなサバーブを見た連宋が耳打ちした。
「サバーブ、考えすぎた。ここにはここの事情があるのだろう。全てを解決出来るとは考えない方が良い。」
「……それもそうだな。ここの事はここの連中に任せるしか無い。我々は偶然立ち寄った旅人に過ぎないからな。」
サバーブと連宋はお互いに頷き合うとカダムの方へ向いた。
「ではお願いします。カダムさん。」
「おお、そうか。それはありがたい。」
そう言うとカダムは何度も頭を下げると捕縛した海賊連中を連れて行った。
実はこの連中はウエストランド星系近傍でも穏やかな方である。その為この連中が排除されても別の海賊団がやって来る。次に来た海賊団がろくでもない海賊であった場合目も当てられない事になる。
その為、穏やかなこの連中がこの星域にとどまる方が良いのである。
(実際被害に遭うのが若い男であるというのもその理由に入っているが……。)
サバーブが海賊連中を引き連れ去って行くカダムを見送ると連宋に目配せをする。連宋は頷くと素早く強化防護服に乗り込み秘密裏にカダムの後を付ける為、光学迷彩を発動させた。連宋の強化防護服もビィによって魔改造されているらしく移動しても音を立てない。
今回の様な追跡にはもってこいの機能である。
サバーブが多目的装甲車内で待機していると連宋からの通信が入る。
「こちら連宋。サバーブ、連中はカラングアを通り抜け荒野に向かうみたいだ。」
「こちらサバーブ、了解した。引き続き監視を頼む。」
サバーブは通信を切ると多目的装甲車のモニターの画面に今居る場所の地図を映しだした。モニターの地図上には連宋の強化防護服が赤い点で示されている。どうやらゆっくりとカラングアから遠ざかっている様だ。
モニターを見つめるサバーブにミカエルは何か疑問に思う事がある様だ。
「ところでサバーブ君。あの連中を泳がせているのは何故だ?」
「ミカエルさん。戦闘中あの連中が無線で通信していたのですよ。」
「ああ、確か何かを撃てとか何とか……。」
「考えてみてください。遅延が少ない通信が可能な範囲は何処なのかを……。」
サバーブが言う通信が可能な範囲は今居る場所からそれほど広い範囲では無い。その場所にあの連中の手下が存在する。
「それと連中の持っていた武器はおそらく遺跡の出土品だと思います。その遺跡が彼らの本拠地の近くにあるから手に入れる事が出来たと睨んでいます。」




