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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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バレーヌの脱出 その3

 宇宙は全方向に移動出来るのだから待ち伏せの様な事は難しいと考えるかもしれない。

 だが宇宙空間は想像以上に恒星や小惑星などが存在し恒星間航行の要であるハイパージャンプに影響を与えた。途中の星系を迂回するルートを取った場合は必然的にハイパージャンプの回数が増え補給が増え必ず立ち寄らなければならない星系ができる。

 その為、恒星間を移動する場合の進路は限られた物となりその進路を重点的に見張る事で待ち伏せる事が可能となるのであった。


 イラメカ帝国はキスカ准将が危惧した通りジャンプアウト予想宙域ではイラメカ帝国の艦隊が陣形を整えバレーヌを脱出する戦隊が来るのを待っていた。

 そのイラメカ帝国の艦艇の一つ、戦艦ガングルトの艦橋ブリッジでは船長であるウォーデン少将は太陽系連合の艦隊の出現を一日千秋の思いで待っていた。

 金髪碧眼の典型的なイラメカ帝国の将校であるウォーデンは側に控える副官のローズル(同じ様に典型的なイラメカ帝国将官)に尋ねた。


「連合の奴らは来ると思うか?」


「閣下、バレーヌ星系付近を観測している者が妨害電波を確認しました。奴らが来るのならもうそろそろです。逃げる為の進路ルートの中でもここに至る進路が一番手薄に見える様に見せかけております。事前の偵察などが多い事からこの進路を取る可能性が最も高いと考えます。」


「そうか……だが他の進路を取った場合はどうなる?例えば暗黒宙域方面は?」


「他の進路を取った場合、無条件降伏が難しくなるだけで殲滅だと問題にはなりません。暗黒宙域へ逃げた場合、誰も戻ってきた事の無い宙域です。奴らは二度とこちらに戻ってこないでしょう。」


「ならば問題は無いか。我々はここで優雅に待つとし……。」


 ウォーデンが言い終わらないうちにレーダーを監視している航海士官から声が上がる。


「重力波反応多数確認!ジャンプアウトの兆候です!」


「……やれやれ、連合はゆっくりともさせてくれないのか……。」


 ウォーデンは両手を挙げて肩をすくめて首を左右に振る。


「来ます!!」


 航海士官の叫び声と共に多数の艦艇が出現、ジャンプアウトしてきた。その全容をみた副官のローズルは満足した様に頷く。


「……予想通りですね。ウォーデン閣下、この後いかがしますか?」


「奴らの後ろを封鎖するべきだろう。でなければ何隻か逃げられる。ローズル!各星系の艦艇をこちらに回せ!」


「ウォーデン閣下、それでは各星系で反乱が起こった場合対処出来かねます。」


「ちっ!……そうだ!別の進路で待機している艦艇なら問題はあるまい。奴らを呼び寄せろ!」


「……たしかに彼らがここにいると言う事はそれらの進路を取る事は無い。早速呼び寄せます。」


「それと、連合の奴らに降伏勧告を送れ。無条件降伏の物を……。奴ら劣等種が立場をわきまえ陛下に忠誠を尽くすのならば何も問題はなるまい。そうは思わないかローズル?」


「流石はウォーデン閣下、それは良い考えです。早速無条件勧告を送らせましょう。通信兵!」


「はっ!直ちに!」


 ---------------


 ウォーデン率いるイラメカ軍は無条件降伏の勧告を行うとその場に待機していた。対して連合軍の艦艇は無条件降伏の勧告を行った時には何も無かったが、今はゆっくりと隊列を編成し直していた。

 紡錘陣形になる連合軍艦艇をみたウォーデンは鼻で笑う。


「ローズル、相手は戦うみたいだぞ。生意気にも紡錘陣形を取る様だ。」


「四倍の数の艦艇に囲まれているのに戦うとは正気とは思えません。」


「そこが劣等種由縁なのだろう。優秀な我々とは違い、正常な判断が出来ないのだ。ローズル、全艦に砲撃を用意させろ。」


「はっ!……全艦砲撃用意!連合の愚か者は我々の慈悲を見誤った!各艦最大砲撃を持って殲滅せよ!」


「イエス・サー!」

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