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待ち伏せ その2

 サバーブ達、流彗星号が浮かぶ宙域から五億Km(光の速さで三十分)、悪名高いティフォン星系の主星から1光年ほど離れた海賊たちが跋扈するエリアである。

 オールトの雲と言われるその位置には小規模の天体が数多く存在し、不規則に動く小天体は海賊たちの格好のアジトになっていた。


 小天体の一つにその海賊船団が浮かんでいた。

 海賊船団ではお目にかかれない軽巡洋艦級が一隻、その他は駆逐艦級が三隻、戦闘艇十隻も揃った海賊団である。

 アジトである小天体に空気は無いがドーム型の住居が設置され、その中に海賊たちがたむろしているようだった。


「ボス。エキドナの連中から通信が入ってますぜ。」


 ボスと言われた男は報告した手下の方へ顔を向けた。

 ひげ面でいかつい顔の口数が少なそうな男、この男がランド海賊団の首領であるグラン・フォーマー。

 鍛え上げられた太い腕、厚い胸板を持ちどっしりと椅子に座っている。


「……」


 グランは視線で”通信内容を読め”と促す。


「判りました。通信内容は”首輪のついたうさぎが逃げた、首輪のナンバーは6700”……。」


 グランは手下の報告の途中で立ち上がると一言呟いた。


「……ウサギ狩りだ。」


 多くの手下が待っていましたとばかりに立ち上がり、グランの後ろについて行く。



 グランが乗り込むのは軽巡洋艦級の船だ。この船はイラメカ帝国の貴族からの横流し品という事になっているが真偽は定かではない。

 最新鋭ではなく三世代ほど前の古い艦だが海賊船団の旗艦として十分すぎる性能を持っている。

 特に主砲である大型荷電粒子砲プラズマカノンは一般的な輸送艦なら一撃で大破させる威力を持っている。


「チャンネルを“ラビット6700”に合わせて……。お、早速うさぎちゃんから通信が入ってます。」


「場所は?」


「X-68000、Y-9801……ここから五億Kmの場所ですね。この船団なら二時間で到着できます。」


「駆逐艦三隻を先行させ一時間で到着させろ。」


 グランの旗艦である軽巡洋艦は老朽艦であるため駆逐艦よりも速度が遅い。その為、駆逐艦を先行させる計画の様だ。


「ではこの船はどうします?」


 グランはティフォン星系の地図の一点を指示した。


「この場所にジャンプしろ。この位置の近くには小惑星があったはずだ。そこなら駆逐艦が反対側から追い込める。そうなればウサギを簡単に捕まえることが出来るだろう。」


 グランはそう言うと不敵な笑みを浮かべた。


 ―――――――――――――――――――――


 船の船橋ブリッジには各座席備え付けのモニターの他に大型モニターがあり船の周囲を映し出していた。

 船橋ブリッジに戻りモニターを見ていた連宋は細かく操作すると大声で叫んだ。


「サバーブ、後方より接近する艦がある!数は三隻!」


 連宋により後方から接近する船の姿が大型モニターに映し出される。


「この型から見て駆逐艦級、海賊にしてはいい装備だな。これは帝国製かな?」


 三隻の駆逐艦を見て現実が見えてきたのかミカエルは少し青い顔になる。


「だ、大丈夫かね?サバーブ君。追いつかれるのでは……。」


 そんなミカエルを安心させる為かサバーブはミカエルに自信ありげな顔をした。


「大丈夫です。この速度差ならジャンプ前に追いつかれることはありません。そうですね、目の前にある小惑星を抜ければもう安心です。」


「そ、そうか。それは良かった。」


 しかし次の瞬間、船内にアラートが鳴り響く。


「前方100kmにエネルギー反応!小惑星の影に何かいるぞ!」


 何者かが発射したエネルギーの束が船を揺らす中、小惑星の影からゆっくりと姿を現した。


「軽巡洋艦級だと!待ち伏せか!」

名前変更 ランド→グラン

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