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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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スターが辺境にやって来た。 その2

 管制官の一人が失神した為、レルネー1の管制室が騒然となり入出港業務が一時混乱し滞る。その後、失神した管制官の代わりを手配した事で混乱が収まったかの様に見えた。

 しかし、これは始まりに過ぎなかったのだ。


 円筒形のコロニーであるレルネー1は回転しない港部と回転する居住区に分かれている。コロニーへの出入口とも言える入出港部は円の中心部分にあった。

 その場所でレルネー1を訪れる船は臨検を受け、合格した宇宙船だけが指定された港に係留する事が許される。

 エキドナ星系は辺境星系とはいえレルネー1を訪れる宇宙船が少ない訳では無い。

 この星系で回収されるエネルギー、重水素などの資源を中央に運ぶ為の輸送船団が毎日やって来る。

 エネルギー資源の輸送船団の場合、護衛の為の宇宙船が母艦であり輸送船は母艦について行く自動追尾型の船で構成されている。

 その為輸送船の部分には人は乗っていないが臨検は一つ一つの宇宙船に対して行われる為、時間がとてもかかる。


 その輸送船団の後方に輸送船では無い豪華な船が並んだ。


 臨検の申請書に記されているこの船の持ち主は“レン・ジェンダリー・ミュージック・スタジオ”となっていた。そして、同行者の名前には代表としてハンニバルの名前しか無かった。

 その為、管制官のまとめ役である港湾局の部長は時々訪れる旅行者として判断し、一般的な対応としたのだ。

 その事でレルネー1の港湾にさらなる混乱が訪れようとしていた。


 この事で港湾局の部長おじさんサラリーマンに責任を求めるのは誤りである。

 スターの名前はわかっていてもそのマネージャーの名前を知っているのは何人いる事だろうか?

 ハンニバル自身はミカエルを見いだしたプロデューサーとして太陽系内では有名であるが辺境星系にまでその名は届いてはいなかった。

 しかし、ファンの中にはプロデューサーの名前は知らなくてもミカエルが移動する為に使う船は広く知られている。

 列をなす船の一つにミカエルが乗っている船を知っているファンがいた。

 その船の女船長とそのクルーは船橋ブリッジで最後尾の宇宙船を穴が開くほど見つめている。


「?船長、今最後尾に泊まった船、何か見覚えがあるのですけど?」


「奇遇だな。私も見覚えがある。でもこんな辺境星系にやって来るか?」


「少し見えにくいですがミカエル様の船に見えますよね……。」


「そう見えるな……しかし船の影になって見えにくいな……。そうだ!レルネー1に知りあいがいる。あの子もミカエル様のファンだから船は判るはずよ。」


 女船長はプライベート端末を使いミカエルのファンだという知りあいに確認を求めた。

 ファンの行動は素早い。

 あやふやな”ミカエル様の船かもしれない”という事だけで宇宙港にやってきた。


「!ミカエル様の船よっ!!アバロン号よ!」


 一目見ただけでミカエルの宇宙船と判別してしまった。

 そしてその知りあいはミカエルの宇宙船と確認すると端末のネット上の掲示板に情報を記載したことでレルネー1中に拡散させてしまう。

 その結果、ミカエルの船が入港する頃には港にはファンが大勢詰めかける事態となった。


 ---------------


 臨検を終えたアバロン号は指定された宇宙船係留場へ向かう。

 彼らにとって幸運な事はその係留場がサバーブ達の会社、株式会社サリーレの近くだったと言う事だ。

 しかしファンの中には港湾局につてがある者もいる。その者達によりミカエルの訪問先が株式会社サリーレである事が判ると係留場から株式会社サリーレの道沿いにファンが列をなす事態となった。

 流石に株式会社サリーレに突撃する猛者は今のところ出てはいないが、それも時間の問題であろうと思われた時、アバロン号からミカエルがレルネー1に降り立った。

サリーレの前にもミカエルのファンが大勢詰めかけている時


リランド 「今日は外の様子が騒がしいが何かあったのか?」


連宋   「工事にしては黄色い声と言うべきか……女性の声が多い様な気がするな?イベントか?」


サバーブ 「いや、何のイベントも無いはずだぞ?」


三人   「「「ま、気にしても仕方が無い。」」」


その後、後悔する事になるとは思いもよらない三人であった。

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