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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちはスターの依頼を受ける

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休み明けの仕事

 サバーブ、リランド、連宋の三人は少し長めのバカンスからレルネー1に帰還した。

 バカンスを取らざるを得なくなったのはロイ・カークランドを救出した事で三人は一躍有名人、時の人となった為である。当然、彼ら三人が設立した会社、株式会社サリーレも太陽系連合内に広く知られる事になった。

 連日繰り返される放送局からのインタビューのオファーが殺到した事でサバーブ達は危機感を抱いた。

 このままの状態だといつ流彗星号の正体をスクープされかねない。

 ほとぼりが冷めるまで太陽系連合以外の星系へ移動する事も考えたが、サバーブ達三人にその様な当ては無かった。

 そんな時にカークランド提督(と孫娘のアリシア)からバカンスの誘いがあったのは渡りに船だったのである。


 サバーブ達三人と一幼女?がバカンスを取るのと同時に新社屋の建設を開始した。これは新社屋の建設と同時に流彗星号を改造したと見せかける為の物である。

 また同時に、ブラジオン型の輸送宇宙船を三隻購入し株式会社サリーレの所有に加えた。これは流彗星号の姿が変わっても問題にならない様に乗り換えた様に画策したのであった。

 その甲斐あってか、バカンスからの帰港時に流彗星号の形状を問われる事もなかった。

 これらの費用はカークランド提督を救出した事による懸賞金とアリシア嬢救出依頼成功の報酬からまかなわれた。

 社屋の建設や船の購入は中小企業にとって少ない額では無い。だがカークランド家は新興とは言え財閥を名乗るだけあり懸賞金や依頼料はもう一つ新社屋を作れるぐらいの余裕はあった。


 バカンスから帰って早々、サバーブ達は新社屋で仕事を始めた。

 その間に放送局のオファーが来る事も無く、半年前と比べて今は少し落ち着いている様だ。(それでも時々怪しいオファーは来る)

 とは言えサリーレの従業員は未だ未だ少ない。

 取締役であるサバーブ、リランド、連宋の三人と経理部長のキャサリン、その部下のジェシーとシーナの二人(キャサリンが母校から引っ張ってきた。)である。

 予定では新規購入のブラジオン型の輸送宇宙船の乗組員を雇う予定であるのだが、人選が難航しているのが現状である。


 バカンス帰りのサバーブ達が最初に行ったのは新入社員候補の選別である。

 株式会社サリーレは連合内でもある程度名前の通った会社となっていた。その為、サバーブ達は数万通という膨大な数の履歴書から面接試験を受けさせる者を選別する必要があったのである。

 今日も朝からサバーブやリランド、連宋の取締役三人は早速提出された履歴書に目を通して行く。

 候補者の履歴書に目を通し始めて数分後、リランドが根を上げ机に突っ伏した。


「だめだ、やってられない。大体俺にこのようなちまちました物は……。サバーブ、お前はどこまで進んだ?」


「やっと四分の一かな?」


「四分の一……。俺も似た様な物だな。そう言えばビィはどうした?この系統の作業ならビィが一番では?」


「リランド、これはビィがある程度選別した後の書類だぞ?それにビィは新規購入したブラジオン型の改造を行っている。」


「……そうだよなぁ。はぁ、面接なら楽なんだがなぁ……。」


 机に突っ伏したままそう呟くリランドを見てサバーブはため息を吐く。


「おいおい、この数を面接は出来ないぞ?」


「そうなんだよな……はぁ、仕方が無い。」


 結局、全ての候補者を選別し終えたのはそれからその日の夜遅くの事だった。


「「「やっと終わった。」」」


 安堵の声を上げるサバーブの端末に見知らぬ署名のメールが入る。


「仕事依頼か……”ハンニバル・ショーン”だれだ?連宋は知っているか?」


「あ、そのメールならわしの所にも来ている。わしらのメールアドレスは極限られた人間にしか教えていないはずなんだけどな?リランドは?」


「……俺の所にも来ているな。どうする?正式な窓口を送るか?」


 サバーブは少し思案する。


「そうだな。まず正式な窓口を紹介して……その反応によって対応を変えよう。」


 サバーブの言葉にリランドや連宋は同意し大きく頷いた。

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