コント「道徳のドラマ」
舞台…高校3年生の教室
配役…A=先生 B=生徒
高校の教室。舞台下手に先生、舞台上手に生徒がいる。生徒は机に突っ伏していて顔が見えない。先生がリモコンを操作してテレビを消す仕草をする。
A「はい、今日の道徳はここまで。今見たドラマ『未来を生きる』。この感想を書いて提出すること…(生徒に近づく)起きろ。終わったぞ。いつまで寝てるん…」
B「(号泣する)うわぁあ~んあ~ん!」
A「えっ何!?どうした?」
B「すいません、感動しちゃって…うわぁ~!(泣く)」
A「えっ道徳のドラマでそんな泣く?」
B「はい。もうラスト5分、涙が止まりませんでした!」
A「そんな映画みたいな。そこまで泣くことないだろ」
B「いえ、このドラマすごいです!最後の方なんてまばたき忘れて見てました!」
A「だから涙出ただけじゃ…」
B「そんなことありません!こんなに感動的なドラマ見たの初めてです」
A「お前、ドラマ見たことないの?」
B「いいえ。流行りのドラマ、昔の名作、海外ドラマ一通り見てます」
A「めちゃくちゃ見てるな」
B「でも、こんなに感動的なドラマ初めてです!『未来を生きる』が、僕の生涯ベストドラマです!」
A「何周したんだよ!?何周したらそういう感性にたどり着くんだよ?」
B「マジで感動しました。これ、神回です!」
A「道徳のドラマに神回なんてないぞ」
B「これ、もっと見たいです。続き見れないんですか?」
A「続編なんか無いよ。このドラマはこれでおしまい」
B「じゃあ続き見れないんですか!?そんな!(肩を落とす)…うわー、ロスだわー」
A「こんなのにロスないって!」
B「みんなもそう思うよな!?(クラスを見渡す)あれ?」
A「みんな引いてるじゃないか。見ろこの温度差」
B「じゃあ、あのドラマで魂が震えたのは、僕だけなんですか?」
A「長いこと教師やってるけど、道徳のドラマに夢中になるヤツ初めて見たよ」
B「続きを見ることも、できないんですか?」
A「そうだよ。もう分かっただろ?」
B「…分かりました。なら、この続きは、オレが撮ります!」
A「そういうこ…え?何?撮るってどういうこと?」
B「続きがないならオレが撮ります!オレ、『未来を生きる』のプロになります!」
A「そんな狭いプロ無いぞ!そんな一生を捧げるようなものじゃないって」
B「そんなことありません!『未来を生きる』…いや、“みらいき”が僕の人生を変えたんです!」
A「“逃げ恥”みたいに言うな!」
B「オレ、“みらいき”の続編撮って、シーズン2も作ってNetflixで発表します!」
A「海外ドラマみたいに言うな!」
B「ゆくゆくは映画化します!」
A「誰が見るんだよ!?『未来を生きる』ザ・ムービー誰が見るんだよ!?そんなのうまくいくわけないだろ」
B「何でですか?僕に何が足りないんですか?熱意ですか?」
A「そんなことない。お前多分、『未来を生きる』の監督より熱意あるわ。それより、どれだけ金かかると思ってるんだ?」
B「金が足りないなら、どんな汚い手を使ってでもかき集めます!」
A「道徳の授業中にそういうこと言うな!それにお前、もう進路決めてただろ?」
B「はい、両親に医者を継ぐように言われてますが、そんなのクソくらえです!」
A「クソとか言うな!医者の方が道徳のドラマより道徳的だぞ。考え直せ」
B「いや、僕は医者なんかより、“みらいき”をライフワークにします!」
A「そもそもワークにするな!捧げるな、人生を!そんなの親御さんが納得するわけないだろ?」
B「関係ありません!周りから何と言われようと、どんな目で見られようと、僕は僕の…未来を生きる!」
A「なんか道徳のドラマみたいになってる!?」