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 「ベス達の結婚式は半年後なんだって。忙しそうだね」



 あの卒業パーティーでの断罪劇から数日後、我が家でフレディと夕食を済ませた後リビングのソファでのんびりと膝枕中です。



 「ルーってばベス達の結婚式が終わったらオレ達の番だよ! だからオレ達も忙しいよ?」

 

 

 フレディはガバリと起き上がって私に力説してきました。



 「え? そうなの?」

 「そうだよ! 本当は卒業したらすぐにって言っていたのにさ! 王も宰相もストップかけてくるし、お義父さんも巻き込んでさぁ。ひどいよね?」

 「でも、グレン殿下の側近として忙しいのでしょう? 流石に王太子の結婚式よりちょっと前になんてできないわよ」

 「ルーのウェディングドレス姿早く見たいのに……早くオレだけの物になって欲しいのにさ……」

 


 口を尖らせて拗ねる姿は本当にただのワンコみたいです。かわいいですけどね。


 

 「私はフレディだけの物よ?」

 「──ルー!!」


 

 ギュ──ッと抱きしめられてソファにポスンと押し倒されました。


 顔が降りてきてチュッと軽く唇を合わせ見つめ合ったタイミングで扉がノックされました。



 「──はぁ……誰だよこんな時間に……」

 「そういう事言わないの。──どうぞ?」


 

 扉が少し開き執事が声をかけてきました。



 「おくつろぎの所失礼致します。ルー様にお客様でございます」


 「誰かしら?通してくださる?」

 「畏まりました」


 

 そう言って下がるとすぐにお客様を伴って部屋にやって来ました。



 「夜分にすまないね」


 

 部屋に入ってきたのはセザール王でした。



 「あ、申し訳ございません。お出迎えもせず……」



 立ち上がって礼を取ろうとすると手でそのままで、と止められました。



 「礼はいらない。今日は叔父として遊びに来たのだから」

 「あら、では……セザール叔父様、急に来るのはよして? 皆が困るわ」

 「ハハハ! すまないな。とにかく礼を言わなくては……と思ってな」 

 「あの時にしてもらったのでもういいのに……」

 「まあな……あとはルーに少し口を聞いてもらいたいというか……」



 王の手前フレディも一応臣下の礼を取って大人しく座っています。



 「はぁ……どうせジムの事でしょう?」

 「流石話が早いな……」

 


 フレディが私の手をギュッと握り締めてきました。

 その手をポンポンと叩いてから王に向かい直します。



 「北の塔である程度反省したなら、我が家(メルベルク家)預かりで兵士団に入れる事は可能です。ジムの精神が保てば……ですけど」



 預かるのはいくらでも。

 鍛え直すのは得意ですからね。

たまには私もそれに参加させて貰えれば、ベスはもういいと言っていましたが、私の気も収まりますし。


 

 「それでも、宜しく頼む。甘い親だと思うが……すまぬ」

 「セザール叔父様も一緒に来たら宜しいのでは? 私もその時には帰りますので是非ご一緒させて頂ければ、申し訳ないという気持ちは吹き飛びますわよ?」


 

 フフ…と笑うと、王はピクピクと頬を歪ませて冷や汗を流しました。


 

 「フフ、それは冗談ですがジムの件は了承致しました。現状既に鍛え直しているのが数名おりますので……」



 ハハハ……と乾いた笑いを残して王は帰って行かれました。



 

 「甘いのは叔父様だけじゃないわよね……」

 「ルー?」

 「親友のベスにあんな酷いことした奴なのに、切り捨てられないんだもの……」

 「ルーは優しいんだよ。捕まえた4人の密輸グループの奴らにもジムにも救いの手を差し伸べてあげてる。なかなか出来ないことだと思うよ? オレなんてジムの事心底どうでもいいからね」

 「フレディ?」

 「アイツがルーに危害を与えようとするなら死んだ方がマシだと思うような仕返しをするけどね」

 「何ソレ。フフッ」

 「今回ルーとオレを引き裂こうとした事は到底許せないけど、子犬が吠えてる程度の事だったから捨て置いたけどね」

 


 フンッと鼻息を荒くして隣り合って座っていたフレディはおもむろに私を抱き上げると、こめかみにキスをしてフレディの膝の上に座り直させられました。



 「どうしたの?」

 「アイツらバカだよなー」

 「アイツらって?」

 「ジムと側近達」

 「まぁ……確かに」

 「あんなのグレンの策略でもあるじゃん」

 「ベス取り戻す為の?」

 「そ。ハイデロ商会がのし上がる前には既に色々調べ終わってたらしいし」



 あら、やはりそうだったのですね。

 グレナエル・ブルオニア第二王子は腹黒王子で有名ですからね。

 

 泳がせて泳がせていいタイミングで釣り上げた訳ですね。



 「まあ、ベスが幸せそうだったからいいわ」

 「オレはルーが笑ってくれてたらそれでいい

 「怒ってたら?」

 「それでもいい」

 「なにそれ……」

 「大好きで愛してるから」

 「フレディ?」

 「何?」

 「今日泊まって行く?」

 「泊まる!! 愛してる!!」


 

 ガバリとお姫様抱っこされて連れ去られながら思いました。



 私の婚約者様は私の事を好き過ぎますね。

 



 

 

この話で一応完結です。

この次はフレディ視点の話を投稿する予定です!!

引き続き読んで頂けると嬉しいです!!

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