出会い 上
薄暗く松明の明かりでかろうじて部屋の一部が照らされている。
巨大なガラスでできた人が入れるぐらいのカプセル状の水槽があり、そこには光が当てられていた。
中には、幼い少女が裸の状態で水槽にいれられており、長い髪が全身を覆うように浮かんでおり時より下から泡が浮き上がっていく。
白衣の女性が部屋に入ってきた。
「定期検診をはじめるぞ」
大声を張り上げると、水槽の少女の口から軽く泡がもれ、青く緑がかった美しい宝石のような大きい瞳を見開いた。
水槽から乱暴に引き上げられると床に倒れて、タオルを少女に投げた。
「今日も検診をしてやる。体の隅々まで調べてやるからな。14歳ぐらいの体にはなったな。胸も膨らんでさぞいい感触だろう。毎日お前の体を調べるのが生きがいなんだよ」
白衣の女性は、ニヤケ顔で頑丈な石造りで鉄板の扉で塞がれた個室に連れ込んだ。
「さて、始めようかしら」
白衣の女性は、少女のタオルを奪うと胸の大きさを図り始めた。
「結構、大きく育ったわね。柔らかくてステキよ。肌に弾力もあって」
「アッ、いやぁ、あぁ」
少女の顔は、みるみる赤くなり吐息が漏れ始めた。
「いい体していいるわ。こんな柔らかくてうらやましい。こうやって私が調べてあげているから大きくなるのかしらね。」
激しく揉まれる都度、少女は、吐息が漏れ必死にこらえようとしていた。
「それに美しい花のように綺麗なピンク色だわ。こういうのを見ると思いっきりつねりたくなるの」
少女は、快楽の表情をみえ、思いっきり声を張り上げた。
「いや、そこは・・・・・・あぁ・・・・・・もう・・・・・・あぁぁ」
少女は、小鳥のように体を震わせ悶ていた。
監視所には、数人の屈強な兵士たちが詰めていた。
「今日も平和だなぁ。こういう警備の仕事は体がなまっちまうわ」
「そういうな。もし、この研究所に何かあったら首が飛ぶだけじゃすまないんだぞ」
その時は、激しい振動が建物全体に響き渡った
「何事か! 建物全体に衝撃が響いているぞ」
「大変です。実験体がいません。 検査室は跡形もなく消滅しています」
「なんだと! 全守備兵に連絡! 実験体を捕獲しろ! 生きて捉えようと思うな、殺す気でいかないと太刀打ちできない。死ぬ気で立ち向かえと!」
慌ただしく甲冑を纏った兵士の足音が響き渡り、建物は、さらに大きく揺れると外壁に穴があいていた。
王城から、遠く離れた辺境の見渡す限りなにもない平地に飼育施設にエリアスは労働に励んでいた。
暑い温暖な気候で、日差しがきつく飼育施設を照りつけている。
「くそぉ!! あの国王! おれを何なところに送りやがって! もう半年も重労働させやがって。ずっと、トカゲたちの飼育かよ。勇者って何だったのかぁ」
汗を拭いながら青空を見上げた。
「そら~さ。初ダンジョンで勇者パーティに参加して、なにもできなかったからってさぁ。武器スキルはいいよなぁ、バンバン敵を倒していけて、みんな遠回しにバカにしやがってさぁ」
人間ぐらいの大きさで背中に人を乗せられるように鐙がついているオオトカゲの飼育の世話に追われていた。
飼育所には50匹以上のオオトカゲが柵の中でおとなしくしていた。
「アリ、ケニー、ミエル、腹がへってないか? 喉はかわいてないかー?」
オオトカゲは、一斉に鳴き声をあげた。
「そうかそうか、喉がカラカラか。すぐに水をもってきてやるからな」
エリアスは、水の入ったツボを運んできては、大蜥蜴に水を飲ませていた。
すっかり頬が引き締まり、体は、すっかり筋肉質になっていた。
「おれって、こういう仕事のほうが向いていたのかなぁ。てか、賃金も外も出してもらえないから働いているって言えるのか・・・・・・三食のごはんと寝床だけは与えられているけど、雇用契約守ってよおおお!」
エリアスは、自分のステータスを確認した。
《爬虫類の気持ちが分かるスキル》
※爬虫類と通じ会えるステキなスキルよ♪
《爬虫類の健康状態がわかるスキル》
※爬虫類の健康に気を使ってあげてね♪
《爬虫類の癒やすスキル》
※あなたのハートで癒やしてあげて♪
「はぁ。ここに来てスキルがこれかぁ。たしかに勇者って感じじゃないけどさぁ。夜のうちに馬車にのせられ、こんなところに連れてこられて、逃げ場もないしこの世界のこともわからないし、一生ここで終わるのかな。異世界って理不尽すぐる」
慌ただしく馬車が入ってきた。
「おーい、小僧。こいつの治療をしといてくれよ。向こうの方で倒れていたんだ。傷が深いから使い物になるかわからないけどな」
荷台には、全身傷だらけのオオトカゲが横たわっており、虫の息となってピクリとも動かない。
奥の個室の藁の上に数人がかりで運び入れ男たちは食料を降ろすと去っていった。
「しっかし、ひどい傷だなぁ。何かに襲われたのか?背中に肩のあたりも引きちぎられた傷があるなぁこっちは古いキズか。とりあえず、体の血をぬぐわなきゃ」
オオトカゲの体を、丹念に拭くと薬を塗り込んでいき、トカゲは、口で息をしながら激しく苦しんでいるようだった。
三日三晩、寝ないで看病するとようやく落ち着きを取り戻したように寝息をたてて寝ていた。
四日目の朝になると、オオトカゲに寄り添うように寝ているエリアスの頬にへびのような舌で舐め回されて目覚めた。
「おおおっ、元気になったのか! よかったー。心配したぞ。包帯を取り替えたら、ごはんにするか!体力つけないとな。ちょっと待っててな、すぐにスープを用意するから」
炊事場に急ぐエリアスに、トカゲのケリーが唸り声をあげる。
「わかってるわかってる。あれって、トカゲじゃないよなぁ。似ているけどなにか違うな」
それから、一週間献身的な看病ですっかりトカゲは元気になってきていた。
「今日も体を拭いておこうか。そういえば、皮膚が鱗なんだな。きれいなウロコだ。」
エリアスは、全身をマッサージしてあげ、お腹をなでているとトカゲは、吐息と細い舌をだしながらしっぽを振り喜んでいるようだった。
次第に、トカゲは、シルバーの髪の毛を伸ばした少女へと変わっていった。
「はぁ はぁ、そんな手付きで触られたら、わたし、もう、あぁあぁ」
エリアスは、いつのまにか少女の体をマッサージしていることに気が付き驚く。
外から、騒々しい物音とオオトカゲたちの悲鳴が聞こえ慌てて部屋を飛び出した。
「おい、あれはなんだ! 予定にない馬車が近づいてくるぞ」
警備兵が大声で注意を促していた。
複数の馬車が砂塵を巻き上げながら、牧場に近づいてくる。