神様の黄色いくつ
神様の黄色いくつ
安岡 憙弘
あるところになにも愛することのできない男がいました。そこで男は神様におねがいしてみることにしました。“神様、どうかおねがいします。人を愛させてください。” すると黄色いくつをはいた神様が天からおりてきました。 “このサボテンを大切にしなさい。そうすればお前が人を愛せるようにしてやろう”
男はおおよろこびでサボテンを大切に持っていました。春になると、サボテンに1つ、まっしろな花がさきました。男はその花をひとりの人にあげました。サボテンからとうめいな月のしずくがこぼれたのです。月見草のめが出て花が咲きましたサボテンの花がさくたびにひとりの人に花をあげました。まわりの人はとっても幸せなきもちになりました。男はいつのまにか人を愛していたのです。