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腐れ縁の美少女幼馴染が何故かメイド喫茶で働いている件~「おかえりな……おかえりになさいませ、ご主人様」から始まるラブコメ~  作者: ときたま@黒聖女様
3章 僕の幼馴染メイドがこんなにデレデレなはずがない

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準備

 翌日、僕はショッピングモールのフードコートで一人座っていた。


 昨日、春に電話すると春は彼女とデートすると答えた。二人の邪魔をするのは気が引けたけど、春の彼女もいるのならちょうど良いと思い、時間を取らないから少しだけ会ってくれないかと頼んだ。場所も二人に合わせるからと言うと、電車で三駅ほどのショッピングモールに行くとのことだったので僕もそこへ行くことにした。


 春は彼女と来る。僕から頼んだことだし、僕が先に行っておくべきだと思い、少しだけ早く来て席を確保していた。


 今日は土曜日。家族連れの客が多数いるなか、ドリンク片手に四人席を一人で陣取っているのは申し訳ないが気にしない。昼過ぎに行くとのことだったのでスマホで確認すると昼を過ぎていた。


 もうそろそろかな。と、思っていると後ろから肩をポンと叩かれる。振り返ると、嬉しそうに笑う春とやや俯き気味の彼女がいた。


「待ったか?」


「いや。僕から頼んだことだし」


「そっか。めぐ、座ろ」


「う、うん」


 そう言って、僕の向かいに春その隣に彼女と座った。


「こいつが尾山(おやま) 祐介(ゆうすけ)。小学校からの長い付き合いなんだ」


 春が彼女に僕を紹介する。改めて考えると春とも腐れ縁だなと可笑しな気持ちになりながら軽く頭を下げた。


「で、こっちが俺の彼女の」


「ま、真野(まの)めぐみです」


 そう言うと春の彼女――真野さんはペコリと頭を下げた。僕も名前を言いながらもう一度頭を下げた。


 真野さんとは覚えてないけど今まで一度も同じクラスになったことはないはずだ。この前、雨の日に春の隣にいたのを見たのが初めてのはず。

 つまり、これが二度目。そう考えると緊張してきた。真野さんも見た目通りというか……そこまで慣れていないのか目をキョロキョロとさせ落ち着かない様子だった。


「で、どうしたんだ?」


「その前にごめんね、真野さん。僕の勝手な都合でデートの邪魔して」


「い、いえ……春くんの友達がピンチって聞いたので……」


「あーうん、ピンチっていうかなんていうのかな……」


 こんなこと誰かに頼むのは凄く恥ずかしい。高三にもなって、一人で決めることも出来ないのかよって馬鹿にされるかもしれない。それでも、誰かを頼らない僕は無理なんだ。


「どうした?」


 春が訝しげな表情を浮かべ、真野さんも不安そうにしている。そんな二人に僕は言った。


「服を一緒に買いに行ってくれて」


 ポカーンと間の抜けた表情を浮かべする二人に僕は頼むように頭を下げた。すると、春は笑うのを我慢できなくなったのか笑い出す。真野さんも隣でクスクス笑っていた。


「なんだ、そんなことか。真剣だから何事かと思った」


「ほんとに。尾山くんって面白いですね」


 全然馬鹿にしない。それよりも楽しそうに笑ってる。二人はなんていい人なんだろう。美男美女だしお似合いのカップルだ。


「じゃ、早速行くか」


「あ、ちょっと待って。真野さん見てほしいものがあるんだ」


 僕はスマホを操作して、写真のフォルダを開いた。そして、あの時撮った幸奈の写真を表示して真野さんに見せた。


「えっと……これ、姫宮さんですか?」


 誰かに言ったら殺す……なんて言われたのも随分と前のように感じる。言うなとは言われたけど、見せるなとは言われてない。それに、真野さんなら誰かに言い触らしたり馬鹿にするようなことはない。何故だか分からないけど確信できた。だから、見てもらった。


 真野さんはどうして僕がこんな写真を持ってるのか不思議そうだったけどいちいち事情を説明してたら長くなる。簡単に省略して重要なことだけを伝える。


「もう知ってると思うんだけど僕と幸奈……姫宮さんって幼馴染なんだ」


「はい」


「それで、幸奈のやつ制服かこの写真で着てるようなジャージしか持ってないらしいんだ。おしゃれに関して全然分からない僕だから真野さんに教えてほしいんだけど……幸奈ってどういう服が似合うのかな?」


 迷惑な質問だと自分でも分かってる。そんなの知りません。こう言われたら言い返すことも出来ない。でも、真野さんはうーんと唸りながら写真をまじまじと見始めた。


「これは、流石に酷いな……」


「春くん。女の子に向かって酷いとか言ったらダメだよ」


「ごめんなさい……」


 弱々しい春なんて新鮮でどこか笑ってしまう。真野さん、もっと尻にひいてやってくれ。


「姫宮さん、元が凄く良いのでなんでも似合うと思います。専門的なことは分からないので詳しくはお店の人に教えてもらう方がいいかと」


「そっか。ありがとう」


 その後、二人と一緒にショッピングモール内にある服屋へ向かった。真野さんには自分のものを見てもらって、僕は春に付き添ってもらった。


 流石、リア充というか選ぶのが早い。的確に僕に似合うものや今流行っているのを合わせてくれる。


「なぁ、祐介。さっきの写真さマンションじゃないのか?」


 こっちも流石だった。鋭い春は色々と気づいてくる。


「そうだよ。今も僕と幸奈は隣人なんだ」


 その事実に驚いている春だったが特にこれといって言ってくることはなかった。


「……祐介」


「ん?」


「色々と頑張れ」


「ありがと」



 服の購入を終えた僕はこれ以上二人の邪魔をしないように別れることにした。


「今日はありがとう。真野さんもありがとう」


「いえ、お役に立てたか分かりませんしお礼なんて」


「ううん、充分だよ。ほんと、助かった」


 そう言って二人と別れた。二人が仲良さそうにどこかへ行くのを見送りながら僕も帰ることに。


 これで、準備は整った。後は、幸奈を連れ出すだけだ。


 それが、一番難しいことだけどやらないといけない。二人にも協力してもらったんだし。


 二人には全部解決したら何か奢ろう……そんなことを思いながら帰路についた。

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