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腐れ縁の美少女幼馴染が何故かメイド喫茶で働いている件~「おかえりな……おかえりになさいませ、ご主人様」から始まるラブコメ~  作者: ときたま@黒聖女様
3章 僕の幼馴染メイドがこんなにデレデレなはずがない

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幼馴染メイドは風邪ひいた幼馴染を看病できて喜んでいる―幸奈side―

 あーあ、今日はゆうくんの側にずっといられると思ったのになぁ……。


 僅かに頬を赤らめながら『幸奈まで風邪をひいたらダメだから』と言って無理に返したゆうくんを思い出す。


 本当はゆうくんの風邪なんていくらでもうつしてくれて構わない。と言うか、ゆうくんの身体に付着した菌なら大歓迎。

 でも、ちょっと攻めすぎたせいで自爆してたから、名残惜しかったけど帰った。


 ゆうくんと一晩過ごせなかったのは残念だけどそれ以上に今日は大収穫。


 ゆうくんの生背中を触れた。

 滅多に見ることが出来ない激レアな甘えゆうくんを見れた。

 ゆうくんとおでここつんした。

 ゆうくんにあーんすることが出来た。

 ゆうくんの指を口に入れて舐めることも出来た。


 嬉しいことが沢山あった。

 でも、これらはほんの序の口。一番嬉しかったのは――ゆうくんが私のことを愛らしいって思ってくれたこと。それを、伝えてくれたこと。


 まぁ、伝えてくれたのはほぼほぼ強制的に私が言わせたようなものなんだけど……それでも嬉しい!


 思い出すだけでも顔がにやけちゃってぴょんぴょん跳び跳ねちゃう。って、夜も遅いし大きな音は出せないから控え目にだけど。


 でも、もう一人なんだし我慢しなくいいよね。


「ゆうくん好き。好き好き好き好き好き。大好き」


 やっと、言えた。何回、口にしそうになったことか。我慢するの辛かったよ。


 ゆうくんの側にいると何度も自然と言いそうになる。でも、まだ言えない。愛らしいって思ってくれてても好きとは分からない。それに、風邪で弱ってるだけかもしれないし……ちゃんと、好きって口にしてもらわないと不安だよ。


 私はずっと着ていた制服を脱いでジャージに着替えた。そして、そのまま何もしないでベッドに寝転んで目を閉じる。


「ゆうくんの背中、大きかった……」


 子どもの頃、プールの時に見ていた背中。その背中は今や随分と成長していた。


「私の妄想ゆうくんだともう少し小さかったんだけど……やっぱり、男の子なんだね」


 一見だと男の子のわりには華奢に見えるゆうくん。無駄な脂肪もついてないし、身長だって私より大きいけど全国でみると平均かそれよりちょっと高いくらい。特別、スポーツもやってるわけじゃないから筋肉だってゴツくない。


 でも、やっぱり、触ってみると男の子ってはっきり分かって、頼りになる安心させてくれる小さい頃から見ていた背中だった。


 そんな背中を思い出しながら手のひらを一舐め。


 ペロッ……うーん、味消えちゃった。


 ゆうくんが寝てる間に味は堪能したからいいけど、欲を言えば明日までは染みててほしかったかな。


「ゆうくんは私の手が冷たくて気持ちいいって言ってたけどそんなに気持ちいいのかな?」


 試しに、自分の頬っぺたに当ててみる。……確かに、これは気持ちいい。自分でもいいひんやり具合だと思った。


 身体は? 身体はどうなんだろう?


 服の中に手を入れて、身体の温度を確かめる。


「分かんない……」


 そもそも、ひんやりの肌と肌を当てても分からないことに気づいた。あれ、じゃあ、なんで手のひらは冷たいって分かったんだろ?


「ま、何だっていいや。身体についてはゆうくんに確かめてもらお」


 ゆうくんに添い寝して、肌と肌を重ねて気持ちよくしてあげようと思った。だって、今日なら看病って名目でなんでも出来たから。


 でも、ゆうくんは自分を大事にしなさいって私のことを思ってくれたから踏みとどまった。本当に頑張った。何度も何度もチャンスだからキスくらいしちゃいなよって言う悪魔の囁きを無視したんだから。


「……それなのにゆうくんだけ好きにして」


 ゆうくんの手くらいなら握っていいよねって自己解釈して堪能していたらいつの間にか眠っていた。せっかく、ゆうくんの寝顔をずっと見てようと思ったのに……って、悔やんでいたら髪の毛に感触が。

 もちろん、ここには二人しかいないからゆうくんだ。髪を触ったり、頭を優しく撫でたりしてくる。

 安心するゆうくんの頭撫で撫で。もしかするとこのまま色々な部分を撫でてくれるかも……なんて、期待してしばらく寝たふりをしたけど無理だった。


 私の気も知らないでゆうくんだけ好きにするのは許せなかった。だから、指を舐めてやったり、尋問するように問い詰めた。


「まさか、愛らしいなんて返ってくるとは思わなかったけど……」


 愛らしいってどういう意味なんだろう?

 可愛い? 好き? 愛してる?

 どれも嬉しいけど最後のが一番いいな。


 結局、ゆうくんが私のことをどう想ってくれているのかは分からない。でも、着実に布石は落としてるつもり。

 後は、それをゆうくんが理解してくれるだけでいいんだ。鈍感だって分かってるけど頑張って!


「好きって聞けたらすぐにゆうくんのしたいようにしてくれていいから。……ううん、私がしたいようにしたいから」


 だから、早く元気になってちゃんと考えてみて。


 もし、ゆうくんとなりたいようになれたら……と想像すると熱くなる。いつもより、随分と熱い気がするのはきっと今日で距離がだいぶ縮んだからだよね。


 ゆうくんに言われた通り、私まで風邪をひいたら、それこそゆうくんが悪い気持ちになっちゃうからもう寝よう。早く、元気なゆうくんに会いたいし。


 今日はきっと素敵な夢が見れるだろうと確信しながら静かに目を閉じた。

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