表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐れ縁の美少女幼馴染が何故かメイド喫茶で働いている件~「おかえりな……おかえりになさいませ、ご主人様」から始まるラブコメ~  作者: ときたま@黒聖女様
2章 幼馴染メイド、デレへの序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/121

デートって何か教えてくれ

「なぁ、(はる)


「どうした、祐介(ゆうすけ)


「学校帰りにどこか寄るってどういうことだと思う?」


「そりゃ、寄り道だろ」


「だよなぁ」


 男子生徒二人が一所懸命走っている姿を見ながら春に問う。今は体育の時間で何故か短距離走をやらされていた。僕と春の出番はまだで二人で座りながら話していた。


 そこで、僕はリア充である春にデートについて教えてもらいたいと思った。


 僕と腐れ縁の関係にある幼馴染の姫宮(ひめみや) 幸奈(さな)。その幸奈と先週の金曜日、中間試験の勉強を教えてくれた幸奈への報酬として学校帰りにラーメンを食べに行ったのだ。


 高校三年生の男女が二人。学校帰りに寄り道……それは、デートと呼ぶに近しいものだと思っていた。けど、寄り道する前、幸奈から言われたのだ。デートじゃなくて寄り道だから勘違いするなと。


 僕だって一瞬勘違いしかけた頭を叩いてはっきりと理解した。自分の中でこれは寄り道なのだと。


 でも、終わる時……本当にもう終わりだという時に幸奈はこの寄り道をデートだと称したのだ。自分であれだけ寄り道だと言っておきながら。


 僕は分からなくなった。これは、いったいなんだったのか? デートなのか? それとも、ただの寄り道なのか?


 その日の内に訪れたメイド喫茶『ぽぷらん』でも、幸奈はその事について一言も触れてこなかった。ただ、僕がいる間、妙にそわそわしているように感じて僕も変に意識してしまった。


 結局、デートなのか寄り道なのか分からなかったせいで寝不足だ。今朝も幸奈に変わった様子はなかったし……くそ、一人で悶々としていても解決しない! だから、春。教えてくれ。リア充として!


「じゃあさ、高校生とか大学生の男子と女子が二人で出かけるパターン……それって、なんて言うんだと思う?」


「そりゃ、デートだろ」


「デート……そうだよなぁ……。やっぱり、デートだよなぁ……」


 世間ではそれをデートと呼ぶらしい。でも、だからってあれだけ寄り道だって言い張ってた幸奈が急にデートだと言い出す意味はあるんだろうか?


 初めて誰かと寄り道して楽しいって言ってたし気分が高まって口を滑らしただけなのか……。


 ……うん、多分そうだな。

 そうだと思う。てか、そう考えると段々そうだとしか思えなくなってきた。世間ではデートって呼ぶかもしれないけど、僕と幸奈は恋人とかじゃないんだ。誤解されるのは嫌だけど僕の中でだけはっきりとさせておけばいいや。


「祐介、誰かとデートするのか?」


「は? なんで!?」


「いや、質問してるじゃん。って、ことは二人でどっか出かけるんだろ?」


 悪いな……もう終わった後なんだ。

 それを言えば、からかわれそうだから言わないけど。


「相手は……まぁ、幸奈ちゃんしかいないか」


「なんで、そこで幸奈が出てくるんだよ……」


 まぁ、それで正解だけどさ……。


「祐介に幸奈ちゃん以外に仲良くしてる女の子なんていないだろ?」


 正論過ぎて何も言い返せない……後輩の田所(たどころ)はうざがらみしてきて参るし、『ぽぷらん』にいる深雪(みゆき)さんのことを春は知らない。


 僕がもっとブイブイ言わせるイケイケ男子なら幸奈以外の女の子の名前が出てくるんだろうけど……そんなこともないし。


「で、どこに行くんだ? 映画でも観に行くのか?」


「行かねーよ……」


「なんでだよ。行ったらいいじゃん。恋愛映画ならいい感じの雰囲気になったら自然と手を繋ぐことが出来るんだぞ?」


「繋ぎたいとか思ってない。てか、春はいっつもそんなことしてんのか?」


「いっつもじゃないけど映画デートならまぁしてるな」


「……なぁ、デートってなんなんだ?」


 幸奈からは無理やり、欲しくもない幸奈と出かけることが出来る権利とやらをプレゼントされてる。どこにも行くつもりなんてないけど……万が一、行かなきゃならなくなった時のために参考にまで聞いておこう。


「そりゃ、さっきも行ったけど二人で出かけることじゃないか? ま、好きって気持ちがあるかないかは別としても、それなりの年頃でならデートって呼ぶだろ?」


「分からんこともないけど分からん。因みに、デートってなにするんだ?」


「一緒に楽しいって思えることをすればいいんだよ。なにが楽しいって思うかはカップルによって違うから正解なんてないと思うぞ?」


 幸奈が相手だしどっか美味いもんでも食べに行けばいいか……って、いかんいかん。考えるなよ。


「ま、幸奈ちゃんを楽しませてあげられるように頑張れ!」


「だから、違うって言ってるだろ……」


「ははは。じゃ、俺呼ばれたから行くわ」


 春は軽く片手を挙げてスタート位置まで行った。


 結局、あれがデートかどうなのか分からなかった。春と世間ではデート。幸奈もデート。僕もデートだって思った。てことは、デートだったって思っていいんだろうか?


 いっか。思うだけならなんの罪にもならないはずだし。


 それより、あれが人生で初めてのデートだって思うと改めてドキドキしてきた。今度から幸奈と関わる時、いつも通りに出来るかな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ