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メイド喫茶で再び出会うは幼馴染メイドであった②

「それで、ご注文は?」


 幸奈に席へ案内された僕は注文の確認を受けていた。

 何故か、幸奈はムスッとしていて機嫌が悪そうにしていた。


「『おいしくなーれオムライス』」


 迷うことなく答えた。

 だって、このオムライスを食べるために来てるんだからな。


「『おいしくなーれオムライス』ですね。少々、お待ちを!」


 幸奈は確認をするとプイッと伝票を伝えにいった。


 なにを怒ってるんだ?

 そう思いながら中を見渡した。今日もお客は僕を含めてそこそこ入っていて、皆楽しそうにお話したりして幸せそうである。

 そんな中、まだお客の相手をしていなかった深雪さんが奥から現れ、僕の方までやって来てくれた。


「祐介くん」


「深雪さん」


 深雪さんは笑顔を浮かべているが、その笑顔はどこか何かを企んでいるようで、僕を見ると手で口元を隠していた。

 そんな深雪さんが気になったけど……それよりも、気になることがある。


「あの、深雪さん」


 僕は深雪さんにだけ聞こえるように小さな声で話しかけた。


「どうしたの?」


「いや、あの……どうして?」


 これだけで伝わるだろうと思った。

 どうして、幸奈がいるのか教えてほしいということを。


 そして、案の定、深雪さんは僕が幸奈のことを教えてほしがっている意図を理解してくれたように「幸奈ちゃんだよね?」と口にした。

 僕は答えるように頷いた。


 しかし、深雪さんは特に答えてくれることはなかった。

 ただ――


「幸奈ちゃんって本当に可愛いよね~」


 と、言いながらむふふと笑っていた。


 僕はどういうことか分からなかった。


「あの――」


 どういうことか訊こうとした、瞬間だった。


「深雪先輩、何してるんですか!?」


 戻ってきた幸奈が急いで深雪さんの腕を引っ張った。その様子はどこか焦っているようにも見える。


「ごめんごめん。ちょっと、お話してただけだよ」


「あうぅぅ……」


 深雪さんは答えながら優しそうに微笑み、幸奈の頭を優しく撫でていた。

 そんな深雪さんに幸奈は変な声を出して狼狽えていたが、すぐに敵意むき出しにして深雪さんから離れた。


「ご、ご主人様のお相手は私がするんですから深雪先輩はあっちに行っててください!」


「分かってる分かってる」


 深雪さんはまるで可愛い反抗期の犬の頭を撫でるようにもう一度幸奈の頭を優しく撫でていた。その表情からして、幸奈のことが可愛くて仕方ないといったことが見える。


 美少女が美少女の頭を撫でる……良いな!

 それは、まるでどこか違う世界へ連れていってくれそうなほど尊いもので、他のメイドやお客もしばらく二人のやり取りに息をのんで釘付けとなっていた。


「もう……!」


 深雪さんが奥に戻っていき、幸奈はぷんぷんと頬を膨らませて文句らしきものを呟いていた。

 しかし、本気で怒っている……という訳ではなく、色々と大人な女性という言葉が似合う深雪さんからお子ちゃまのように扱われて悔しい……という風だ。


 確かに、あと数年で幸奈が深雪さんみたいになるのは無理……そうだよな。超成長期でも起こらない限り。


「よいしょっと」


「お、おい」


 またかよ……!

 幸奈は初めて会った時と同じ様に椅子を持って僕の隣に座った。因みに、今日も僕は二人席に座っている。


「なんで、隣にくるんだよ……」


「べ、別に私がどこに座ろうとどうだっていいでしょ!」


 それは、そうだ。そんなの幸奈の自由で働きやすいようにすればいい。

 しかし、今日は前回とは違う。別に、葵さんに仲良くしている姿をみせる必要がない。それに、他のお客とメイドの組み合わせを見ても隣同士で話しているペアはいない。

 つまり、隣に座る意味はない。

 それでいて、会話をするだけだから別に隣じゃなくてもいいんじゃないかと思う。


「な、なにを話していたの?」


「え?」


「だ、だから、深雪先輩となにを話していたのかって訊いてるの!」


「なにって……」


 どうしよう……なんで、幸奈がいるか教えてもらおうとしてたなんて言ったらまた機嫌を損ねる可能性が高いしここは嘘をつこう!


 ……にしても、なんで見られてるんだ?

 奥の方から深雪さんと葵さんがこっちを見て、何かを楽しそうに話し合いながら笑っていた。


「せ、世間話?」


「ふーん……鼻の下を伸ばしながら?」


「は、はぁ!? 伸ばしてねーよ!」


 急になにを言い出すんだ!?

 ジト目で見られた僕は焦って否定した。


 そりゃ、深雪さんは幸奈にはない素晴らしいたわものをおもちだ。だから、ついついそこへ視線が赴く時だってある。

 だからと言って、別に鼻の下を伸ばしたりなんてしてない。そんな変態みたいなこと、真剣にメイドをやっている深雪さんに失礼だ!


「嘘つき。深雪さんのむ、胸ばっかり見てたくせに……」


「み、見てねぇよ」


 ぎくりとした。

 意識してないだけで僕はそんなにも深雪さんの胸にばかり視線を送っていたのか!?

 でも、そーいうのって女の人の方が敏感で気づきやすいっていうし……もしかしたら、深雪さんも気づいて……?


 ……ほ、良かった。

 不安になって深雪さんの方をチラッと見たけど、まだ葵さんと楽しそうに話していてなんら気にしていない様子だった。


「ね、ねぇ……祐介もやっぱり大きい方がいいの……?」

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