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誇りを胸に!

どれくらい眠ったのかわからないが 目が覚め 立ち上がり 思いっきり体を伸ばした

不思議と固い床に座り壁に寄りかかりながら眠った割に体が痛いなどはなく

疲労感などもない


少しすっきりした俺は改めて部屋を見回した後 やはり部屋の中心部に目が行く


「ギィー・・・・(気になる)」


そう やはり部屋の中心部に鎮座している豪華な宝箱が気になるのだ

とりあえず開けずにここを拠点として周辺を歩き回るのが一番いいとわかってはいるし

こんな浅い階層であれほど豪華な宝箱はあからさまに怪しいのもわかっているのだ


だがしかし!


どこかの偉い人が言っていた


開けれられるものがあれば開けたくなり 回せるものがあればまわしてみたくなる

そして覗ける穴があれば覗いてみたくなるのが人の性というものだ・・・・と


気にしないようにしてはいるが自分の目線がチラチラと宝箱をみているのを実感したとき

俺は


どうせ これ以上の不幸なんてそうそうねぇよな!


と開き直り 僅か数分後にその判断を大いに後悔することになるとは知らず

宝箱に手を出した


宝箱に 恐る恐る 手を触れると キィーーーーーーン と耳鳴りの様な甲高い金属音が聞こえだし

ビクっとしたが 何も起こらなかったので 今度は両手でガシっと宝箱をつかむと

鍵穴部分についてる宝石が綺麗な青から禍々しい赤黒い色へと変化した


それを見た瞬間 あっ! これヤバイやつだ!! と思い手を離そうとしたとき


パカっ!


と自動で宝箱が開いた


「ギィ!? (へっ!?)」


と突然のことに驚きあっけにとられ手を宝箱から手を離すのを忘れるほど固まっていると

・・

・・・何も起こらなそうだったので 俺は宝箱の中を覗いてみるとそこには


白銀色をし綺麗な装飾を施したチェーンに中心部に真っ赤な小さい宝石のようなものがついている十字架がアクセントになったオシャレ感満載のブレスレットが1つ入っていた


俺はそれを恐る恐る箱から取り出し マジマジ と見たがなんの変哲もないただのおしゃれアクセサリーだったので気分よく左手にそのブレスレットを装着してみると なぜかそのブレスレットは

俺にぴったりのサイズへと形を変えた


おぉ! とマジックアイテムだったのか! と少し感動しながら外してもう一度付け直してみようと

外そうとするが・・・・外れない・・・・・


「ギィーーー!!(呪いのアイテム!!)」


と焦っていると今度は宝箱が床に淡い光を放ちながら沈んでいった

俺はそれを茫然と見送っているとすっかり沈んで跡形もなくなった宝箱があった場所を中心に


強い光を放ち魔法陣が浮かび上がってきた

俺は驚きながらも上空に飛んだが その魔法陣はどんどん強く光り部屋中に大きく広がっていった


そして一際眩い光を放つと光は消えたようだった

俺はあまりのまぶしさに目をつぶっているのでそういう表現になる


そして光が収まったのを瞼で感じゆっくり目を開けるとそこは


「・・・・・ギィ?(どこ?)」


真っ暗な空間だった 俺はスキルの暗視を使い周囲をみることにした


未だ空中にホバリングしながら暗視をつかい周囲を見てみると どうやらここはデカい部屋のようだった

天井の高さはだいたい5階建てくらいの吹き抜けで広さも50㎡はあろう とてつもなくデカい部屋だった


そして部屋の中心部には小高い茶色の小山のような高さのものがある

俺はソナーを使い 罠的なものがないか探してみるとこにした


するとソナーは すぐ生き物の反応を示した・・・・・あの部屋の半分はあろう小高い山のような物体を示しながら・・・・


俺は覚えたての隠密を発動しその物体に近づいた

するとその物体は 驚くことに 小刻みに動いていてどうやら呼吸をしているようだった


俺はそのバカでかい生き物の近くに音もなく着地し無音歩行と隠密を駆使してその生き物を観察した


周囲をゆっくり歩きながら慎重に観察していると不意に視線のようなものを感じゆっくり振り返ると

先ほど俺がみた場所には俺の身長と同じサイズの・・・・・・・目があった


そしてその目と目があった・・・・・・いやいやいや!!! と自身の焦った思考にツッコミをいれ

頭を振っていると


『おい 小童・・・・どこから迷い込んだ!?』


と頭の中に直接声が聞こえてきた


『へっ!?』


俺は突然のことに驚き 間抜けな声でそれにこたえると


『わしじゃ! 今貴様の目の前におろうが!』


と言ってきたので目の前を見ると・・・・やはり目の前には俺と同じサイズの目玉がある


『お・・・おれ縮んだのかな?・・・・』


とつぶやくと


『そんなわけなかろう! わしがデカいのじゃ! して?貴様をどこから入ってきた?』


と聞いてきたので 3階の宝箱をあけたらここに来たと伝えると


『ほぅ!そのような場所にここの入口があったのか・・・・』


となぜか納得した様子だったので俺は恐る恐る


『ところでここはどこであなたは誰ですか?』


と聞くと その声の主は デカい目を一際でかく見開き


『ここは・・・ダンジョンの底 奈落よ! して わしはかの魔神様にかつて使えた魔獣ベヒモスじゃ!!』


と エッヘン! という感じで言ってきたので


『あぁ 魔神様の そうですかぁ』


と素っ気なく返すと ベヒモスは小刻みに震えだし


『貴様! 魔神様にあったこともない小物のくせに! なんたる態度!!!』


と怒鳴ってきたあまりの勢いに体ごと吹っ飛ばされそうになったが何とか耐え


『小物ですけど・・・・あったことありますよ?』


と答えると なに!? うそを言うな!! とまた怒鳴られたのでなだめながら ここまでのいきさつを

説明すると


『やはりアステルが一枚かんでおったのか・・・あやつめ・・・・しかし おぬしもついてないやつよのう・・・』


とひとしきり話を聞いたベヒモスが なにかを納得したあと俺を見て憐れんできた

俺はなぜ 魔神様の側近だったベヒモスが ダンジョンの底? 奈落にいるのかをきくと


『罠にはまってな・・・ここに閉じ込められ ダンジョンへの魔力供給源とされてしまっておる・・』


と悔しそうに教えてくれた 俺はどうすれば助けられるのか聞いてみたが


『もう無理なんじゃ・・・・長い年月コアに魔力を吸い取られ続け今ではコアと完全に同化してしまっておる・・・・』


と教えてくれた そして今まで生きてきたのは この同化したコアがダンジョン内で死んだ魔物や冒険者の魔力などを吸収しベヒモスにも流しているからだということだった


すげぇなぁ・・・・と思っていると ベヒモスが


『わしを罠にかけた人族のものたちと それに組したにっくき女神アステルに・・・せめて一矢報いたかったが・・・それもかなわぬ・・・・』


と憎々しいとわかるような声でつぶやくように話した

俺は 人族のすべてに復讐するんじゃないんですか? と聞くと


『本来 高貴な魔獣や魔人などは人族の崇拝の対象じゃった・・・・とうぜん わしを慕い崇拝してくれていた者たちもいた・・・だが・・・・』


と言いにくそうに話し始め 一呼吸をしたあと


『同じ人族の者たちがある日 わしを崇めていた本山をせめてきた そしてその本山のものたちを皆殺しにしてしまった・・・わしは当然 怒り狂い その者たちをせん滅してくれようと 攻撃したとき 女神アステルが 怒りに任せて動いていたわしの一瞬のスキを突き ダンジョンコアを我が身に埋め込んだのだ・・・・』


その後は・・・・このありさまよ・・・ と力なく笑い口をつぐんだ

俺は


『・・・・魔神様もにたようなことを言ってました・・・・・俺も自分と同じ人族の王太子と姫の策略で違う世界から無理やり連れてこられ・・・使えないとわかると・・・殺されましたから・・・少しはあなたの気持ちがわかります・・・』


と少し悲しい気持ちになりながら そう教えると ベヒモスは優しい目をして


『貴様も・・・悲しい性を背負ったものよのぉ・・・・』


とつぶやくと 急に真剣な目をし


『わしを喰らえ・・・・』


と言ってきた 俺は言われている意味がわからず固まっていると


『わしを喰らい 力をつけ・・・ここを抜け出し わしのかわりに我らにあだなした人族と女神アステルに一矢報いてくれ!・・・それと魔神様を・・・・お助けしてくれ・・・・たのむ』


と涙を流しながら俺に願ってきた

俺はどうしていいかわからずオロオロしていると


『このままここでダンジョンの餌として生きながらえてなんとする・・・・我は誇り高き魔神様の右腕

魔獣ベヒモス!・・・頼む・・・みたところ 貴様は・・・吸血する魔物・・・・わしの血を吸い!肉を喰らい!魂までも己の糧にせよ!!!』


と言ってきた

俺は驚いていたが


『そしてわしの誇りを胸に わしの願いをきいてくれ・・・・・頼む・・・・』


と言ってきた 俺は覚悟を決め 頷くと


目を細め 感謝する・・・・とつぶやいた後 そっと目を閉じた


俺は泣きながら ベヒモスにかぶりつくと 渾身の力を使い ベヒモスの血をすすった・・・・・






 


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