いきなりの死闘と進化
羽に力を入れ飛翔をつかい 飛び上がり部屋からでると
「キィー! キィーキィー!!(うはっ!まぶしい!!)」
いきなり目が開けられないほど眩しい空間に飛び出してしまった
と思ったがスキル 夜目 を使っていたんだったと思いだしスキルを解除した
そして光にやられシパシパ目で 周りをみるとそこは洞窟のような場所ではあるが不思議なことに
床や壁が微妙に光を放っていて曇りの日の昼間程度の明るさがあった
その光景をホバリングしながら眺めていると 『ギュルルルルー』と腹の虫がまた鳴いたので
本当は嫌だが背に腹は代えられないと超音波をつかい虫を探すことにした
これは超音波を広い範囲でうすーく飛ばし障害物にあたり反射するこで物や生き物などを探す
言ってしまえばソナーのようなものなので 今後 音波反射と呼ぶことに勝手にすることにした
そしてソナーを使い飛び回ると通路の端の小岩の後ろに2つの生き物の反応があったので慎重にそちらに近づいてみると・・・・そこには確かに虫が2匹いた
が
その虫は 細い糸のような足が数えきれないほど生えてうねうねしてる ムカデのようなものと
それを食べようとかぶりつく寸前というような蜘蛛らしきものだった
「・・・・・・・」
俺は飛んでいる惰性で羽を羽ばたかすことはせず 音を立てないようにその場を飛び去った
昆虫を食うというのは死活問題で背に腹は代えられないので泣く泣くよしとしよう・・・・
だが!!!
生まれて初めて食う昆虫がムカデや蜘蛛というのは食虫初心者にはいささかハードルが高すぎるのではないか・・・・
と哲学者顔負けで自問自答を繰り返し 結果・・・・・見なかったことにした
「・・・キィー・・・(ノーカンでしょ)」
と力なく鳴き 次の獲物をソナーを駆使して探すことにした
そうこうしながら飛んでいると今度は先ほどよりもかなり大きい反応が返ってきた
その大きさをいうならば拳を二回りほど大きくしたサイズといえばいいのだろうか?
とりあえずそこそこ大物の反応が床にあったのでそちらに音もなく飛んでいくとそこには
『スリスリスリ・・・・・プルルンッ』
とプルルンと透明に近い薄い水色のゼリーのようなものがスリスリと床を這って歩いているところだった
これは・・・スライムか? と内心思いながら色々教えてくれた蝙蝠の話を思い出す
話によると この世界ではスライムは意外と危険な生物で酸のようなものを飛ばしてきたり自分より小さいものや 体積的に包み込めるものを内側に取り込んで溶かして食べるそうでサイズ的に俺ら小魔蝙蝠と
は相性が悪い生物だそうだ
ちなみに今の俺の全長は成人男性の手のひらより少し大きいかなくらいのサイズであると思われる
なので当然 飲み込まれる危険があるだろう
しかし
しかしだ! どう見ても先ほどの昆虫よりは食するにはいいのではないかと思っている
なんか見た目 うっすいサイダーでできたゼリーみたいに見えるし・・・・ここは一か八か戦ってみるか
ダメなら一撃入れて空ににげればいいやと戦争もない平和なジャパンから来た俺は楽観的な観測の元そのような結論に達し
スライムの上空から一気に急降下してスライムに嚙みついた!
ズブズブズブと牙がスライムにめり込んでいき これはやったな! と変なフラグをたてるセリフを心の中で思ったとき気づいた・・・・牙がめり込んだのではなく スライムに顔から飲み込まれそうになっているということを・・・・
「キィーーー!!!(やっべぇぇぇ!!!)」
とテンパりながら鳴くが時遅しで顔をすっぽり飲み込まれてしまった
すると
ジュゥゥゥ
と時のはざまで封印にぶつかったときのような焼けるような衝撃が顔面を襲ってきた
酸で溶かされ始めたのだ!
と理解するがジタバタと暴れるがどんどん飲み込まれ今は伸ばした首まで飲み込まれた
羽で押して抜け出ようとすると羽まで飲み込まれそうになり ただただジタバタ暴れるしかなく
その間も容赦なく顔を酸が焼いていく 最悪 目を保護するため目をつぶっているが薄い瞼を酸が
焼くのでものすごい痛いし鼻も敏感なのか沢山の針で思いっきり刺されているような痛みが襲ってくる
やばい!どうしよう!! とさらにテンパり 誰か助けてくれ!と思いとっさに仲間にありったけの力を込めて
『しぬぅぅぅぅ!!! だれかぁぁぁぁ!!! たすけてぇぇぇぇ!!!!!』
と助けを求めた
すると突然スライムがプルプルプルとものすごい小刻みに揺れだししまいに
パンっ!!!
と破裂した・・・・・
俺は突然のことに驚き固まったが息を止めていた苦しさで我に返り 思いっきり深呼吸した
当然口呼吸でだ
鼻は今の時点で空気に触れるとヒリヒリしているので鼻で息をするのはある意味ドM行為だと思ったからだ
呼吸が落ち着きそれに伴い少しずつ冷静になってくると なぜスライムが突然破裂したのかと爆ぜたスライムをみながら考え答えを出すため自分の行動をさかのぼって思い出してみると一つの仮定的答えにたどり着いた
その答えとはどういうものかというと スライムに襲われ咄嗟に仲間に助けを求め叫んだ 渾身の力を込めて・・・・超音波で・・・・つまり超音波の力で振動爆発を起こしたのではないかと思ったのだ
というか
もうそれしかねぇべ と思うことにした
所詮 底辺高卒の俺に難しいことがわかるわけがない と開き直っていると 爆ぜたスライムの残骸が
うっすら光だし光の球になると俺の方に飛んできて とっさのことにかわすこともできずその光の球を
胸に受けると光の球は何事もなく俺の胸の中に入っていった
そして光を放ったスライムの残骸は小指の先ほどの石ころのようなものを残しすべて地面に消えていった
俺はその石ころのところに向かい見てみると その石ころからは微弱な力が溢れているようだった
「キィー キィーキィーキキィー?(これが蝙蝠の言っていた魔石っていうやつか?)」
とつぶやく様に鳴きながらその魔石と思われる小さな石を恐る恐る手に取ってみるとやはりその石から
なにかの力が出ていた 話によると魔力らしい そしてあの蝙蝠の話が確かならばこの石がたしかに魔石ならば食べれるらしい
俺は ほんとに食えんのか?と怪しみながらシゲシゲと手に取った石を見ていたが最終的に
虫よりいいんじゃないか?虫よりいいだろ!と開き直り口を大きく開けぽいっと口の中に魔石をいれ
かじってみると
『ボリボリボリ・・・・ごっくん』
・・・・意外とおいしかった・・・・そしてあんな小さな石なのにもかかわらず そこそこ強い空腹感が
かなり収まり むしろそこそこ満足すらできたのにも驚いていると急に胸のあたりが熱くなりだし
体の内側から外に向け何かが膨らみ破裂しそうな感じになる
ガッ!!! と肺の空気を内側から強制的に押し出され息が漏れるが逆に息は吸い込めないので呼吸不全で苦しさが襲ってくる
そうこうしていると次は バキッ!バキッ!と骨がきしみ始め あまりの痛みに地面を転がり
封印に触れたことが頭をよぎり なんでこんな痛いことばっかり!!?? と意味なく一人で怒りながら
ジタバタ転がっていると胸のあたりの熱さがさらに増し しまいに青白い光を放ち始めた時
あまりの痛みに俺は意識を失った
どれほどの時間がたったのかわからないが 意識を取り戻した俺はそっと目を開け周りをみてみる
そこは先ほどスライムと死闘を繰り広げた場所のままだった
俺は立ち上がりながら 気を失っている間にほかの魔物が出てこなくてよかったと心から安堵していると
自分の異変に気付いた
ん?
なにやら飛んでいるわけでもないのに目線がかなり高い・・・そして今更ながらに気づいたが先ほどの痛みが嘘のようになくなり むしろ気分がすっきりしている
そしてスライムにやられた傷の痛みもなくなっている・・・・
どういうことなんだろうと思い 自分の体を見ると 俺の体は少し・・・いや蝙蝠的には結構変化していた
まず体の色なのだが先ほどまでは濃いグレーに近い色だったのが今はもっと黒に近くなっていて体つきも若干ごっつくなっていた
そして羽も当然のごとく大きくごっつくなっていた
「ギィーーーギィー(なにがおこったんだろ)」
と声をだすと声も太く若干低くなっていた
どういうことなんだろうと思い自身の体の変化を調べようと思ったがまず 危険のない場所に移動することにした
俺は2~3m先にある小岩の陰にいき座り込み
「ギィーー(ステータス)」
と鳴くと目の前に現れた透明な板をみた
〇名前 コウ(元 麻生 甲太郎)
〇年齢 0
〇種族 不死族 大魔蝙蝠(進化希少種)
〇職種 無職 (野生)
〇LV3
〇HP 60/60
〇MP 80/80
【スキル】
超音波LV5
吸血LV3
吸魂LV2
夜目LV5
飛翔LV6
【称号】
魔神の憐み
巻き込まれし者
器用貧乏
貶められし者
元異世界人
魔族転生
希少種
進化種
ステータスを見てみるとまず種族がスモールバットからビッグバットに代わっていた
中間はないのかと思いつつ他を見ると種族の横に書いてあった 元異世界人という記載が
称号へ移動していて元の場所には希少進化種と記載されている
外にもともとあったスキルのLVいくつかあがっていたのと新たに吸魂というスキルが増えていた
魂を吸うということなのだろうが当然 やり方を知らないので・・・・確認もできない
あとはLVが2あがりHPとMPが少し増えた程度だろう
そんなことより俺は・・・・たったスライム1匹倒しただけで格があがり進化したということに驚いている
そう・・・・どんだけ小魔蝙蝠は・・・・弱いのかと・・・・少し悲しくなったが
スキルのLVもあがり体もどうやら全長で1m近くになったのではないかと思えるので スライムをまた
狩ることにした
先ほどの戦いでスライムとの戦い方が少しわかった気がするので試してみたいという気持ちと
魔石という核を食えるなら虫を食べなくても済むと思ったから俺は少し気合をいれて
スライム探すため 羽に力入れ飛び上がりソナーを展開しその場をあとにした