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最弱転生

「ん? うぬは生きてはおらん 死んでおるぞ?」


と あまりにもあっさり言われすぎて俺は言われたことを理解できず


「へ?」


と 間抜けな声で答えてしまった

すると魔神様は


「うぬは時のはざまで魔力を使ったようでな 我の封印がそれを引き寄せてしまったようだ

結果 アステルが我を封印した結界に触れ肉体が焼け朽ち果て命を落とし その魂まで無に帰るところだったので我が魂だけを結界内に通したというわけだ」


と説明してくれた

俺はそれを聞き 自分の手や体をみると若干透けていてなにも着ておらず しかも体の輪郭が空気に溶けるようにぼやけていた


その光景に絶句していると魔王様は


「だが うぬの魂はあまりにも弱く このままでは 結局 無に帰ってしまうがな」


と またもやあっさり言い放った

俺は急に訪れた死の衝撃と無にかえるということを乏しい想像力で想像し恐怖のあまり どうしていいかわからずオタオタしだした たぶん泣いていると思うがぼやけ始めた体のせいか それすらあいまいだった


「そんなぁ 俺なにも悪いこともしてないのに! いきなり死んで! それで全部なくなるなんて!! どうしたら!!!」


と声をあげて錯乱していると


「封印されていて思うように力は使えぬが うぬを転生させることはできるぞ?」


と すこしかわいそうな子をみるような目で俺をみながら なぐさめるように魔神様がそういってきた

俺は もう深く考える思考力があまりにも唐突な死の訪れのせいで低下していて わらにもすがる思いしかなく


「魔神様! ほんとうですか!? それをやれば俺死ななくてもいいんですか!?」


と がっつり食いつくと 魔神様は 若干 引き気味に 


「う・・うむ ただし 我の力で転生するということは魔族になるということだぞ? それに魔族のどの種類になるかは うぬの魂の力次第である それでもよいか?」


と聞いてきたので 俺は即 かまいません おねがいします! というと魔神様は あい わかった では!


といい 俺にむけ両手を突き出してきた

そして最後に俺に


「して? うぬは魔族にまでなる覚悟をし転生したのち なにを思って生きるのだ?」


と諭すように聞いてきたので 俺は 転生した後 なにを目標に生きるかを考えた

そこで少し冷静になってきて 転生するということはもう元の世界には帰れないこと

どんな見た目のものになるのかわからない恐怖がジワジワ湧いてきたが それよりも


「俺をこの世界に召還した王太子と姫(あいつら)と俺を殺した女神に一矢報いたい」


とボソっとだが強い意志を込めつぶやくと 魔神様は やさしく微笑み


「想いも力となるであろう その願いかなうとよいな」


と言ってくれた

俺はこの2mを超えるガチムチの世紀末覇者のような魔神様に ありがとうございます と礼をいうと

退屈しのぎのきまぐれよ 気にするな とニカっと笑い


「では さらばだ 新たな命 悔いなく生き延びることをせめて願ってやろう」


といい両手から光をだした

その光に包まれ俺は意識が遠くなりそして意識を失った。


~~~~


麻生 甲太郎となのった異世界からきた人族が 魔族へと転生されたのを見届けた魔神は


「弱き魂と強き意思をもつ者よ・・・・せめて新たな生をまっとうすることができればよいな」


とつぶやき 再び胡坐をかいて目を閉じた・・・・・・


~~~~


俺は意識を取り戻し そっと目を開けると そこは真っ暗で何も見えない場所だった

俺はあたりを見渡し


「キィーキィーキィ(暗くてなんも見えねぇなぁ)」


とつぶやく・・・・・ん?・・・・なんか甲高い鳴き声が聞こえたな・・・・と思い


「キィー! キィーーーー!(おーい! なんかいるのかぁぁぁ!)」


と真っ暗で見えない恐怖を大声でごまかすという小心者の代表的作戦を実行したが

俺の声にかぶせるようにやはり甲高い鳴き声がきこえた


「キィー・・・・キィキィキィー(まさか・・・・おそってこないよなぁ)」


とつぶやいたとき・・・・違和感を感じた・・・・これ俺がしゃべってるんじゃないか? と思い


「キィーッキィーーーー(やっほーーーー)」


とつぶやくと 甲高い鳴き声がこだました・・・・いまだに キィーー キィーー キィー とこだまする鳴き声を聞きながら俺は 焦りあがらどうなったんだ? と思い 


少し暗闇になれた目で自分の手を見ると

そこには・・・腕ではなく羽があり羽の上に3本指の手がちょこんとあった・・・・しかもその羽は

鳥類のような羽毛でおおわれているものではなく蝙蝠のような皮膜でできた少し気持ち悪い羽でうっすら青くて細い血管のようなものが走っていた


「・・・・・・・・」


俺は自分がなにに転生したのかわからず少しテンパってみたが5分くらいたつと少し冷静になれた

そして ステータスをみれば自分の種族がわかるのではないかと思い 出るかわからないステータスに

一部の望みをかけ


「キィー(ステータス)」


と鳴くと目の前に タブレット端末の画面のようなものが浮かび上がった


〇名前 未設定(元 麻生 甲太郎)

〇年齢 0

〇種族 不死族 小魔蝙蝠(スモールバット)(元異世界人)

〇職種 無職 (野生)

〇LV1

〇HP 20/20

〇MP 50/50

【スキル】

超音波LV1

吸血LV5

夜目LV2

飛翔LV3

【称号】

魔神の憐み

巻き込まれし者

器用貧乏

貶められし者

魔族転生

希少種


とでた

それをみて俺は キィー と弱弱しく泣いた 鳴いたのではない 泣いたのだ・・・・・

よりによって蝙蝠 しかも小さい蝙蝠になったのである

しかも元の一般人だった時より弱くなっている


そしてなにより称号である

魔神様・・・・俺を憐れんでたんだなぁ と悲しみを込めてしみじみ思いつつ

それでもそのおかげなのか 希少種という初めてのプラスであろう称号を少し喜んでそしてすぐ

あまりにも自分がかわいそうになり ぐったりした



とりあえず未設定の名前をどうしたらいいのか考えたがわからないので 蝙蝠になった甲太郎で

『コウ』でいいかと コウと名乗ることにした するとステータスの名前の部分にカタカナでコウと記載された

どうやら自己申告だったようだ

職業は蝙蝠なので無職は当たり前だが横の野生と記載されているのが気になったがわからないので

今はスルーすることにした


そしてこれからどうするのか 今はどこにいるのかを考えていると


『ギュルルルルーー』


と腹の虫がないた

朝に転移で飛ばされてから今まで結構な時間がたっているがなにも口にしていないので当然だな

と思うと 空腹を認識したせいか おもいっきり腹が減ってきた


しかしあたりは真っ暗でいくら目が慣れたからと言って自分の体がやっと見える程度なので当然あたりが

どうなっているのか見当がなつかない


そこで俺はスキルの夜目と超音波というものに注目してみた

しかし スキルなんて使ったことがないのでどう使えばいいのか考えてみたがわかるはずもなく

とりあえず 見えろぉぉぉ と思いながら目に力を入れてみることにした


すると

身体から少し力が抜ける感覚があったが 周りの景色が白黒画面のように見えた

そして俺のすぐ近くには青い色をした小さな蝙蝠が5匹ほどいるようだった


白黒の世界で鮮明に青く光る蝙蝠は目立つなぁと思いつつ

まさか共食いはできないなと思い 次に羽を使って飛んでみようと思い 羽に力をいれつつ とべぇぇ!

と思うと体がふわっと浮く感じがした

そして先ほどと違い体から力が抜けるという感覚はなかった


これで飛べるのかなと思うが ふわっとしてる感覚がなんか変なことに気づいた

普通 浮くのなら 足から頭にかけ 上に浮くはずなのに 今の感覚は逆で 頭から足にかけ下の方に

浮く感じがする

そう思い足をみると 今まで普通に地面に立っていると思っていたが どうやら 岩肌に摑まって立っているようだった


そこで俺は自分が蝙蝠であることを考え 向こうの世界と一緒で逆さにつり下がっていることを理解した


そして再度 羽に力を入れ 足を意識的に岩肌から放してみると 当然のごとく 落下した

俺は焦りながら羽を広げ力の限りパタパタやると

ふわっと体が浮きあがり 空を飛べた


「キィーーキィー(おぉ! とべたよぉ)」


と感動していると 俺の一番近くにいた蝙蝠が キィー 俺の方を見ながら鳴いてきた

俺は同じ種族だから話ができるのではないかと思ったが キィーという鳴き声でしか聞こえず

なにをいっているのかわからなかったので無視してあたりを少し飛び回っていると


急に耳と眉間のあたりがムズムズした なんだ? と思っていると


『おい! お前!!まだ危険だ すこしおとなしくしていろ!』


という声が頭に直接響いてきた

俺は驚き羽ばたくのを止めてしまい あぶなく落下しかけたがなんとか持ち直し 岩肌に摑まった

そして声の主を探すためあたりを見渡していると


『おぃおぃ 俺だよ 隣にいるじゃねぇか・・・ってか お前もしかして超音波使えねぇのか?』


と聞いてきたので うんうん と隣からこちらを驚くように見ている蝙蝠に頷くと


『はぁ・・・生まれたてじゃしょうがねぇか いいか? まずは目と目の間に力を入れて 伝えたいことを念じるんだ』


と言われたので言われたようにやってみた


『こうかな?』


と眉間に力を入れながら 思うと 


『あぁそうだ 最初は慣れないだろうが慣れると普通にしゃべるようにできるようになる』


と教えてくれたので


『ありがとう それで 俺腹減ってるんだけど 食べるものない?』


ときくと となりの蝙蝠は


『んー まだ人族の気配があるから我慢した方がいいぞ?』


と教えてくれた

どういうことなのかと思い聞いてみると


ここはとあるダンジョンの浅い階層の小さい部屋の中で自分たち小魔蝙蝠の群れが住んでいる場所だそうだ

そして小魔蝙蝠はその名の通り小さく人族からしてみるとスライムよりお手軽な魔物とされているらしい

簡単に言うと雑魚中の雑魚なんだそうだ

なので人族では感知できない超音波をあたりに反射させ人族やほかの魔物がいるときはこの真っ暗な部屋に隠れてやり過ごし ダンジョンに沸いている小さな虫などを食べているそうだ


虫を食わなきゃダメなのかぁと その話をききげんなりしていると隣の蝙蝠は


『本当のたまに ごくまれに ってやつだが ほかの魔物や人族が死んですぐのものを発見したときは

血が飲めたり肉を食えるんだ』


と教えてくれたので どんな確率かきいてみると となりの蝙蝠は今まで1度も食ったり飲んだりしたことがないそうだ

宝くじが当たるより悪い確率じゃないかな?と思っていると 死体を発見したことはあるが不用意に近づいて仲間がいた場合 あっさり狩られるのでむやみに近づけず そうこうしている間にほかの魔物に食われたりダンジョンに吸収されてしまい 今まで機会がなかったそうだ


たしかに最弱雑魚なんだから その考えは仕方ないなぁと思っていると


『LVの高い人族や魔物をたくさん倒したら格が上がって強い種族に進化できるらしいが そのまえにやられちまうよなぁ』


としみじみ言ってきた

俺はそれを聞き 格ってなんだ? と聞くと 生き物は心臓に力があり それはLVがあがるほど強くなるそうだ なのでその相手を倒すと その力の一部が自分のものになるらしい 魔物や魔族は心臓の代わりに核があり その核を直接食うこともできるそうだ


なんでそんなこと詳しく知っているのかときいてみると 昔格があがり進化した魔物をみたことがあるそうだ

それで人族や魔物がしてる会話を盗み聞きしたということらしい


なら昆虫をたくさん食べてもなるのではないかと思ったが どうやら力の弱い生き物を食べても日常消費するエネルギーになればいいなくらいでしかないので一向にたまらないそうだ


その後も スキルの使い方やこのあたりの地形なんかをいろいろ詳しく聞いたところで

気配がなくなったから そろそろ飯をくいにいってもいいぞ と言われ 俺は礼をいい 飛び立った。














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