おもひで④
コルアの家の中に入ると まず下に少し下がる階段がありどうやら共同の生活スペースは半地下になっているっぽく 外からは2階にみえたが実は3階建てなのかと 感心しながらあたりを見てみると
使い込まれているが綺麗でおしゃれなカントリーチックな家具がいくつか並び 床もきれいに磨かれていた
なんとなく家主のセンスの良さが出てるなぁ と思いながら家の中を見ていると家の2階から
パタパタ という足音が聞こえ
「コルアおかえりなさい! あらシュリちゃん?今日は随分早いのね? ん?・・・それと・・・そちらの方はどなたかしら?」
とコルアを少し大人にしたような女性がこちらにきて コルアとシュリさんに声をかけた
「ただいま お母さん」
「こんちには ミレーユさん 今日は仕事でここに来たの」
とコルアとシュリさんがミレーユさんという人に声をかけた
たしかギルドマスターが言ってた人だなと思いだし この人がコルアのお母さんか やっぱりギルドマスターと兄妹とは思えないなと思いつつも
「はじめまして 冒険者のコウと申します 突然の来訪ですいません」
と自己紹介をすると ミレーユさんは驚きながらも ご丁寧に! といいながら
「私はコルアの母親のミレーユと申します 狭くてお見苦しい家ですが どうぞおくつろぎください」
と言ってくれたので
「かわいらしい綺麗な家具が並んでいて選んだ方のセンスの良さがわかるいい家ですね」
と質素とか見苦しいとかまったくないよなぁと 思ったことを素直にいうとミレーユさんが一瞬驚いた顔をした後 満面の笑みで
「あら・・・あらあらあら そうですか? ありがとうございます あっ こちらに椅子がありますのでお座りになってください! すぐお茶を入れますので!!」
というとコルアが
「お母さん ちょっとまって 大事な話があるからお茶はそのあとで! とりあえず座って私とシュリの話を聞いて?」
と声をかけるとミレーユさんは ピタっと止まり
「そういえばさっきシュリちゃんもお仕事でうちに来たっていってたわね」
といいテーブルを囲んでいる椅子に座った
僕たちが全員椅子に座るとコルアが
「お母さん 実はね?」
とダンジョンのこと その時 僕を発見したこと 記憶喪失なこと この家で世話をしたいことをストレートに説明し シュリさんがギルドとしてとかいいながらそれにいくつかフォローしていた
そして話をすべて聞いたミレーユさんにコルアが
「ってことなんだけど・・・・コウのこと・・・いいかな?」
と聞きシュリさんも ミレーユさんお願いします とお願いしてくれたが 僕は
「あの やはり女性だけの家に僕が住むのはまずいんじゃ・・・?」
というと コルアとシュリさんは なにも思い出せない人を一人暮らしさせるよりいい! とさすが幼馴染だなと思えるほど見事にハモりながらいい コルアがミレーユさんに おねがい! というと
ミレーユさんが 僕のほうを真剣に見つめ・・・・そのあと少し顔を赤くし視線をそらし
「し・・しかたないわね! これも人助けだと思うし なによりコルアが見つけたのも何かの縁だとおもうわ!」
と笑顔で言ってくれた
その言葉を聞き コルアとシュリさんが
「やった!!ありがとう!! お母さん! コウよかったね!」
「ミレーユさんありがとうございます! ギルドとしてもこれで一安心です!!」
と喜んでくれた
僕のことなのに自分のことのように喜んでくれた二人に心から感謝しながら
「コルアさん シュリさんありがとうございます それとミレーユさん これからしばらくご迷惑をおかけします すいませんがよろしくお願いいたします」
と僕が言うと
「いえいえ 空き部屋もありますし 正直 男手があるほうが便利なこともありますから 気にせず自分の家だと思ってゆっくりしてくださいね?」
とミレーユさんが言ってくれ
「お母さん! 今日はコウがここに住む お祝いをやろう!」
とコルアがいい シュリさんとミレーユさんが いいわね! と笑顔で言ってくれたが僕はその前に
「あの それで僕は月おいくら支払えばいいでしょうか? 部屋の借り賃とできれば食費も払いますのでご飯も頂ければ嬉しいんですが?」
と切り出すと 3人は
「「「へっ?」」」
と同時に驚きそのあとミレーユさんが
「そんなのいりませんよ!?」
と驚きながら答え コルアも うんうん と頷いていたが僕は
「それはちょっと・・・さすがに甘えすぎなので・・・できれば受け取ってほしいんですが・・・残念ながら相場がわからないので・・・」
と申し訳なく思いそう伝えるとシュリさんが
「そうですねぇ だいたい3人家族で少し裕福に暮らすとしたら月に金貨1枚あればおつりがくる感じですので相場としては一人なら食事込みで銀貨50枚もあれば十分かと思いますよ?」
と教えてくれたがコルアが
「町に入るのにお金だしてたけど そもそもコウはお金もってるの!?」
と聞いてきたので 大した額ではないですが持っています と答えると ミレーユさんが
「んーほんとはいらないんだけど コウさんがそれを気にするっていうなら 受け取った方がよさそうね? でもコウさん? 冒険者だといってましたよね? それなら依頼を達成してからその代金をいただくという形でどうかしら?」
と言ってくれたがさすがにそれも甘えすぎだなと思ったので
「えっとそれだと時間がかかるかもしれないので とりあえず今月分だけでも今支払わせてください」
といい 金貨を1枚テーブルに置くと
コルアとミレーユさんが 多すぎるよ! と言ってきたが
「毎月 金貨1枚でお願いします そのかわり・・・できればお弁当も作ってもらえると嬉しいんですが・・・」
と僕がいうと コルアはそれでも 多い といったがシュリさんが僕に ほんとに月この額でいいの? ときいていたので はい と答えると シュリさんはミレーユさんに
「ミレーユさん 受け取ってあげてくれませんか? たぶんコウさんは受け取ってこらえないとここに住むといわないと思うんで・・・・」
といい ミレーユさんは 困惑したあと わかりました コウさんありがとうございます! と礼をいってくれたので僕も
「いえ・・・こちらこそなにかとわがままばかり言ってすいません これからよろしくお願いします」
と一礼させてもらった
その後は ミレーユさんは夕飯の買い出しに コルアさんは僕の部屋の掃除
その間 僕とシュリさんで 必要な日用雑貨等を買いにと それぞれ分担して
買い物が終わり戻ると ミレーユさんはもう調理を始めていて コルアも掃除が終わったところだったので部屋に案内してもらい 買ったものを部屋に収めて 全員で僕の歓迎会を開いてくれた
その間 ずっとフードをかぶっていたが ミレーユさんから家の中では脱いだら? と言われ
ばれたらどうしようか と思いつつ 身体だけでも逃げる準備をしながら ゆっくりフードを下すと
一瞬3人が僕の顔を凝視し やばいな と思ったが
コルアが
「やっぱ・・・いい顔してるわぁ」
とうっとりしながら言い
「フードで隠すのはもったないかも」
とシュリさんがいい
「二人ともダメよ? コウさん? お外に出るときは必ずフードをかぶるのよ? せっかくの色白が焼けてしまうわ!」
とミレーユさんが言った後 3人で顔を突き合わせ 小声で
「隠させないと ほかの変なのが寄ってこられても困るわよ?」
などと言っていたが正直何の話なのかわからなかったがヴァンパイアだとばれてなさそうなんでよかったと安堵の息を漏らし コルアの家での1日目を終えた
そして次の日から コルアと一緒にギルドにおもむき いくつかの依頼を一緒にこなし
気づけば2週間たっていた