おもひで③
ひとしきり 人生で一番の驚きをするとギルドマスターが
「おいっ! 流石に驚きすぎだろっ!!」
とギロリとにらみながら言いコルアが はぁ~ とため息をつき 僕が ははははは と笑ってごまかしていると
バンッ!!
とドアが勢いよく開き
「さっきの悲鳴は何事ですかっ!!!??」
と受付のシュリさんが息を切らし部屋に入ってきた
それをみて ギルドマスターが
「なんでもないっ!!」
と不機嫌そうに言い シュリさんが なんでもないわけないじゃないですかっ!! と叫び気味にいいこちらを見てきた
僕はその目線につい 気まずくなり視線を逸らすと コルアが2度目の深いため息をつきながら
「ギルドマスターが不本意ながらわが叔父でお母さんの兄だと教えたらコウが驚いただけよ」
というと ギルドマスターが 不本意とはなんだ不本意とはっ!! と顔を真っ赤にしながらいい
シュリさんは
「あぁ ならコウさんが驚くのも無理ないわね」
と納得したように言い そのあと コルアもコレが叔父なんてかわいそうに と小声でつぶやいた
「シュリ・・・・聞こえてるからな!!」
とギルドマスターがシュリさんにプルプルと怒りを抑えながら言うと どうでもいいと言わんばかりの顔で
「城のほうへ使いを出し 調査依頼も張り出しました コルアの達成金も準備できたので話が終わったのなら受付に行き受け取ってください」
とシュリさんが淡々といい それを聞いたコルアが
「伝えるべきことは伝えたわ じゃぁコウも一緒に受付に行きましょ」
と席を立ったので いいのかな? と思いつつも はい と返事をして僕も席から立つと
「おいっ!! コルア! まだ話は「ダンジョン調査の報告と記憶喪失の冒険者の保護についてちゃんと報告しました」…終わって・・・おい! まてっ!!」
ギルドマスターが引き留めようとしたがコルアは話を途中でぶった切り 僕の手を引いてスタスタと部屋をでた
その後ろにシュリさんもついてきて 二人は 必死に引き留めようとするギルドマスターを完全にスルーした
ギルドマスターに悪いと思ったので し…失礼します といい 一礼しようとしたらシュリさんが
いいのいいの といいながら僕の背中を押し部屋から押し出されるようにでた
バタン とドアが閉まるが部屋の中から
『またんかっ!!』
という声が聞こえたがそれすら二人はスルーをし 一階に降り なにごともなくコルアが依頼達成のお金を受け取ると
「コルア 報告おわったか?」
と声が聞こえ そちらの方を見るとガストンとザイルが二人でこちらに向かってきたところだった
その声にコルアが
「えぇ 報告もコウのギルド登録も無事に終わったわ」
と答えシュリさんが
「お二人の依頼達成の報酬も準備できておりますのでお受け取りください」
といった
それを聞き ガストンが
「おぉ! コルアサンキューな! それとコウよかったな!!」
とにこやかに笑い僕の背中をバシバシ叩いてきた
少し痛かったが ありがとうございます と礼をいうと なにかあったらいつでもいいに来いよ? と笑顔で返してくれた
ガストンはほんといいやつだなと思った
ガストンとのやり取りをしている最中 ザイルは報酬を受け取り シュリに
「金も入ったんで シュリさん 今夜飯でもどうですかっ!?」
と声をかけるとシュリさんが氷のような眼でザイルをみながら
「残念ですが 今日はこのまま ギルド職員としてコルアの家に行きコウさんについてコルアのお母様に説明をしなければなりませんので」
と無表情で淡々と答え ザイルが そ・・・そうですか と引き気味に納得していた
いつのまに そんな話を二人でしていたんだろうか? と思いつつもコルアが何も言わないので
やはり二人で話し合ってくれてたんだな と思いシュリさんに
「いろいろご迷惑をおかけしてすいません」
と頭をさげると シュリさんはさっきまでの氷の目と無表情が嘘だったかのように 柔らかく優しい笑顔で
「いえ ギルド職員として保護対象の冒険者をそのままにしてはおけませんから お気になさらず」
と言ってくれたので ありがとうございます と俺も笑顔でお礼をいった
その光景を見てガストンが トントン とザイルの背中を叩き
「まぁ・・・そのなんだ・・・飲みに行くかっ!」
と声をかけザイルが おぅ! 二人で今日は打ち上げだ!! と自棄になりながらガストンの肩に手をまわし二人は肩を組みながらギルドから出て行った
それを見送っているとコルアが
「じゃぁ 私たちも行こうか?」
と笑顔で言ってくれたので はい お願いします と答えると 右手をコルアが 左手をシュリさんが
握ってきて 二人に引っ張られるように歩き始めた
「あの! 記憶はありませんが普通に歩けるので お二人の後をついていけますよ?」
と遠回しに手を放してほしいというと 二人は同時に笑顔で振り返り
「「あぶないから」」
といい 笑顔で僕の手を引っ張ってギルドの出口へと歩いた
時間的に少なかったとはいえ ギルド内にいた冒険者から なにもんだ? という目線やある種の殺気を感じさせる目線を感じたりしたが とある若い男性冒険者の
「ぷっ! 手を引かれなきゃあるけねぇボクちゃんかよ!!」
というつぶやきが聞こえ 恥ずかしくなってしまったが コルアとシュリさんにもその声が聞こえたのか
二人同時にその冒険者
「「あ”ぁ?」」
と二人からは想像もできないほどの低い声と絶対零度の射殺すような目線を向けると その冒険者は
小さく ひっ! と悲鳴をあげ 真っ青な顔をして直立不動に固まった
それを見ていると 何事もなかったのか様に二人は 気にしないで さぁ 行きましょ? と柔らかく
安心感のある笑顔で言ってきたので は はい と返事をし できるだけ二人に逆らわないようしようと心に刻み付け 二人に手を引かれるままギルドをでた
二人に手を引かれ コルア宅に向かっている道中
「いつのまにシュリさんがそのまま僕のためにコルアさんの家についてきてくれる話をしてたんですか?」
と二人に聞くと 二人は一瞬 ? という顔をし あぁ! とハモりながら理解したようだが
「そんな話してないよ?」
とコルアがいい シュリさんも
「マスターに言われて城などにダンジョンについて報告を頼まれたときにコルアたちが帰るとき一緒に行く手続きを私もしておいただけよ? コルアには何も言っていないわ」
といった
僕は それで通じるのかと不思議に思っていると 表情で察したのか コルアが
「シュリとは幼馴染なの 家も隣同士だから いつも私が家にいるときは晩ご飯を食べに来ているのよ」
とコルアがいいシュリが
「うちの両親は父の仕事の関係で外の町に引っ越したんだけど 最初は他人に売るか貸すつもりだったみたいだけど その時もう私も働いていたし 持ち家だからそのまま一人暮らししているのよ」
とさらに理由を教えてくれた
幼馴染かぁ いいなぁ とつぶやくとそれが聞こえたのか
「コウさんにもいたかもしれないですね 思い出せるといいですね」
とシュリさんに言われた
転移する前には確かに幼馴染が2人いた 一人は同じ年の男 一人はその男の妹だったが10年ほど
疎遠になっていたので特に思うところもないな とぼーっと考えていると
「あぁ・・・ごめんなさい」
と何を勘違いしたのか シュリさんが気まずそうに誤ってきたので
「いえ? 思い出せないのは仕方ないですが もしいるとしたら シュリさんみたいに優しくて綺麗な幼馴染がいいなぁ と思っただけなんで大丈夫です 心配かけてすいません」
と一礼して ごまかすと 顔を赤くし まぁ!! と言いながらモジモジしてる可愛い生き物がいて ゴホン とせき込み それをジト目でみているコルアがいた
そういうやり取りをしていると ついたわよ! というコルアの声で足を止め コルアが示した方を見ると 薄い黄色の壁に茶色の木の両開きのドアがある2階建ての家についた
コルアがそのままドアをあけ
「お母さん! ただいまー!!!」
と声をかけた そのあと返事を待たずして 二人は僕の手をにぎり 入ろ! といって僕を家の中に
引き入れた