おもひで② ~異世界は驚くことばかり~
コルアに引きずられるようにギルドにつき そのまま中に入ると 時間の関係なのか 人はあまりいない
閑散とした状態で 俺は建物内をキョロキョロとコルアに引っ張られながら見ていると急にコルアが立ち止まったのでそちらを見ると いつの間にか 銀行の受付のような場所にいて 目の前には綺麗な緑色をした髪の今まで見たことがないLVの美人な若い女性が制服っぽい服を着て ニコリと柔らかく笑い
「コルアお帰りなさい ダンジョン攻略に言った割に随分はやいご帰還ね?」
と言ってきた
それに対しコルアが
「そのことで後で色々伝えなきゃいけないことがあるの でもその前にこの人をギルドに登録してあげて?」
というと その受付嬢みたいな人が俺をみて
「冒険者ギルドへ登録ということで間違いありませんか?」
と聞いてきたので はい よろしくお願いします というと 少し驚いた顔をしたあと笑顔で
「はい かしこまりました ではこの用紙に必要事項をお書きください もし代筆が必要な場合はおっしゃってくだされば私が代わりに記載いたします」
といい一枚のA4サイズの用紙を渡してきたので 名前を記載したが その後の項目で なんて書けばいいのか悩んでいると それに気づいたコルアが察してくれたのか
「あぁ・・・・あのさシュリ?さっきのダンジョンのことについてと関係してるんだけどさぁ この人
コウ君っていうんだけど・・・ダンジョン内で記憶なくしちゃったみたいで自分の名前くらいしか思い出せないのよ」
とシュリと呼ばれた受付嬢に申し訳なさそうに伝えると
「え? うそ? ほんとなの?」
と驚いたので僕は
「はい・・・気づいた時にはなにも覚えていなくて 実際コウという名前も思いだせただけで本当に自分の名前なのかすら・・・・」
とうつむき気味に言うと
「え・・・・えっと・・・・ちょっと待っててもらえる?」
とシュリさんがいい受付の奥へと消えていった
僕は こりゃぁ 登録できないかなぁ と思ってるとコルアが
「大丈夫だよ? きっと登録できるよ」
と笑顔で背中をさすってくれたので はい ありがとうございます と礼をいっていると
シュリさんが戻ってきて
「今ギルド本部に問い合わせたけどコウという名の冒険者はいなかったわ なので重複登録にはならないから安心してください それと出身地や年齢は記載しなくてもいいとギルドマスターから許可をもらったからわかる範囲だけ記載してね それと 得意武器と魔法が使えるなら書いてくれてもいいわ」
と言ってくれた
得意武器と使用可能魔法やスキルなどを記載すると
ギルドから依頼をあっせんする際やパーティーメンバーを募集してる人に紹介したりする際やりやすい
ということだった
でも
「まぁコウ君は『私』と組むから他に紹介とか必要ないから書かなくてもいいよ?」
とコルアが言ったので
「迷惑じゃないですか?」
とどこかでボロをだして実はヴァンパイアだったとかバレて迷惑をかけるんじゃないかと思い素直に聞くと
「そんなわけないじゃん! 全然気にしなくていいよ!!」
と叫ぶようにコルアが言ってきたので少しあっけにとられたが ありがとうございます と礼をいうと
「随分 ご執心のようね?」
とニヤニヤしながらシュリさんがコルアにいうと そういうわけじゃないよ! 記憶がなくて独りぼっちなんだからコウ君が心細いでしょ! と憤慨しながらいった
俺はその間に 名前と 特技にとりあえず剣術と記載しシュリさんに
「名前と特技として剣術しか記載できないんですがいいですか?」
と用紙を手渡しながら言うと それで構いませんよ とふわっと笑い 次に胴色をした免許証サイズの板をもってきて
「じゃぁコウさん この板のこの部分に血を1滴たらして 最後に魔力を流してください」
と言ってきたので言われた通りにするとその板には 名前と特技と冒険者ランクF級という文字が
浮き出てきた
そしてその文字をみて はっ!? と思いだすと 僕普通にこの世界の文字かけるし読めるや という
事実!!
それを極力表に出さないよう取り繕っていると どう解釈したのか コルアとシュリさんが
「うんうん! 無事登録できてよかったね!! あとで検問に戻ってお金返してもらおうね!」
「うふふふふっ 登録おめでとうございます 礼儀正しいし外套で見えにくいけど なかなか・・ 」
とそれぞれ言ってくれたので二人に ありがとうございます と深々と礼をした
二人は 一瞬目を合わせ その後 頷きあうと
「じゃぁ ダンジョンのこと教えてもらえるかしら?」
とシュリさんがいうと
「うん コウ君も当事者だから一緒にきて?」
とコルアがシュリさんに肯定したあと俺にも同行を求めてきた なので
わかりました と頷き こっちよ? と席を立ったシュリさんの後について受付の横を通り奥の扉に
向かった
扉を開けるとそこは会議室のような場所で
「適当に座ってね?」
とシュリさんに進められ二人で隣り合わせで椅子に座ると
「今 うちのギルドマスターがくるからもうちょっと待っててもらえるかしら?」
と言ってきたので 二人で頷き 了承するとシュリさんは ニコリと笑い ありがとう と礼をしてきた
その後 僕の記憶に対して いくつかシュリさんに質問され それに答えたが シュリさんは
「う~ん・・・・これは予想以上に重篤な記憶障害のようねぇ」
と深刻そうな表情で唸り結論をだした
そうしていると バン! と勢いよくドアが開き 僕たち3人が驚き ビクっ と体を震わせると
部屋の入口には
「いやぁ~~ 随分遅れてしまったな!! すまんすまん!!!」
と身長はゆうに2mは超えている 色黒でスキンヘッドのマッスルボディーのおっさんが がははははと
豪快に笑いながらデカい声で言ってきた
そして ドカ っとシュリさんの横に座った
「はぁ~・・・まぁいいです・・・・コルアは知ってるからいいとして コウさん? 一応 こう見えてもこの馬鹿が当ギルドのギルドマスターの「ガイアだ!!」・・・・です」
とシュリさんがジト目でギルドマスターを見ながらため息交じりに僕に紹介してくれたのだが
シュリさんの言葉をマスターが遮りかぶせるように自分で名乗のり ガハハハハ とわらった
チラッとコルアをみると 瞳から光が失せ はぁ~ とため息をついていた
それをみつつこの人はこういう人なんだなぁ と理解した僕は
「本日 冒険者に登録した コウと申します よろしくお願いします」
と一応 ギルドマスターに挨拶をすると
「見た目ヒョロヒョロで口調もおとなしいな!! 冒険者じゃないみたいっだっ!!??」 ガタンっ!
ギルドマスターが僕の挨拶に対してそう評価したが言い終わる前に シュリさんからの音速を超えるほどの鮮やかな裏拳がギルドマスターの顔面に決まり 足を大股に開いて腕を組み後ろにふんぞり返りながら
座っていたギルドマスターは勢いよく椅子ごと後ろに倒れ
「冒険者の皆があなたみたいだったら私はギルドやめてますよ」
とシュリさんが腐った生ゴミを見るような目でマスターを見下しながらいうが
「おぉ? まだまだ現役でいけそうだなシュリ!!」
と 当のマスターは何事もなかったかのごとく 豪快に笑いながら 立ち上がり再び椅子に先ほどと同じ姿勢で座りなおした・・・・・・両方の鼻の穴からおびただしい鼻血を流しながら・・・・
それを見たシュリさんが ちっ! と苦々しい顔をして舌打ちをした
僕はそれに対してどう反応したらいいのか理解できず固まっていると隣のコルアが
「残念で恥ずかしいけど・・・・これがここの日常的やりとりなの・・・・」
と目をそらして小声でつぶやくように教えてくれた
僕はそれを聞き はぁ としか声を返せなかった
すると
「さて 冗談はここまでにして コルアよ なんか俺たちに報告したいことがあるんだって?」
と今までの話をぶった切ってマスターがコルアさんに尋ねた・・・・絶賛 鼻血パーティーを顔面で開催させながら・・・・
「はい 私はギルドの依頼を受け 同じ依頼を受けたガストンとザイルとともに臨時PTを組んで西の
『悠久のダンジョン』へ向かい 現在攻略されていた15階までの間に変化等ないか調査に向かいました」
とコルアがマスターの現状をスルーするが如く何事もないように普通に話し始めた
コルアの話を聞くと僕が転生し住んでいたダンジョンは ここアルゼンの街から西にあり
名前を悠久のダンジョンというそうだ
そしてコルア達が8階までたどり着いた時 急にダンジョン内で地震のような激しい揺れが起こり
あたりが眩い光に包まれたと思ったら意識を失ったらしく 気づいたらダンジョンが消失し 森に居たそうだ
それから3人はダンジョンの入口があったところまで戻ったが入り口がなくなっていたので他にダンジョンを攻略していた冒険者を探し歩ている時に 偶然 僕にあい 記憶をなくした僕の保護とダンジョン消失についての報告のためアルゼンに戻ってきたという説明をした
それを聞き シュリさんは 目を見開き驚きっぱなしで 表情をかえず話を聞いていたマスターの鼻血は
止まっていた
少しの間 沈黙が場を支配していたが
「ふむ 話の内容は理解した シュリすぐに城にこのことを伝えてくれ それからギルドからという形で他の生存者の確認と保護の依頼をだしてくれ!」
とマスターが真面目な顔でシュリさんに指示を出し はい! と返事をしたシュリさんは素早く立ち上がり足早に部屋を後にした
それを残りの3人で見送っていると
「コルア報告ご苦労 調査の依頼については完了したとする 受付で報酬を受け取ってくれ
それとコウだったか? お前 記憶がないのにこれからどうするんだ?」
とコルアと僕にマスターが話を切り出した
するとコルアは
「了解です それとコウは 生活が落ち着くまでしばらく固定PTを組んで私が面倒見ます 住む場所もうちには空き部屋があるので大丈夫です 」
と即答した
するとマスターは 思いっきり目を見開いたように驚き
「おぃおぃコルア!? ミレーユ・・・母さんは了承したのか!?」
と言った
マスターとコルアは個人的に仲がいいのかな? と思っていると
「街に戻ってまっすぐここに来たのでお母さんにはまだ言ってません」
とコルアがいうと
「おいおいおい!! 女二人暮らしの家に素性のわからん男をいれるのか!?」
と信じられないものをみるような目でコルアを見ながらマスターが叫ぶようにいうとが
「ここまで数日 一緒に行動してコウの人となりを見ましたので大丈夫です」
とコルアは淡々と答えた
それを聞き マスターは顔を赤くし プルプル 小刻みに震え バン! と机をたたき勢いよく立ち上がると
「今はギルドマスターと冒険者の話をしているわけじゃねぇ!! 可愛い妹と姪との話をしてんだ!!」
と怒鳴った
僕はマスターが一瞬なにをいっているのかわからなかったが コルアがこっちをみて
本当に嫌そうに
「コウ? こう見えてもこの人 お母さんの兄で私の叔父なの」
と言ってきた
僕は数秒かけコルアのいった意味を自分で受け止め理解すると
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????」
と人間だった時から今までの間で 一番の驚きの声をあげた