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そして解決へ……

「犯人はメールの内容がバックアップされている事を知っている。多邑さんがそれを知ってたらどうする?」

「メールのやり取りを控える……かな」

「だよね」


 僕は生徒名簿から自分の番号を調べて、バックアップを検索する。

 バックアップが保持されるのは数ヶ月みたいだが、その検索結果は0件だ。


「やっぱり、アンタがメールが残る事を知ってて連絡とってなかったんじゃない」

「僕はメールする相手がいなかったからね」

「西藤、アンタ……」

「犯人にとってそれが都合がいい。バックアップを警戒してメールを使おうとしない人間は、犯人っぽく見えるからね」


 そう言いながら僕はもう1人の人物を検索する。すると0件とはならなかった。


「なんで彼を調べるの?」

「やっぱりね。0だと怪しまれるからある程度はメールを使っている。でも内容はプライベートではなく、業務連絡みたいなのばかりだ」


 誰かと待ち合わせとか、テレビの話題のような、個を匂わせるメールは含まれていない。


「そんなのメールでせずに直接話しているだけかも知れないじゃない」

「じゃあ、こういう検索ではどうかな」


 学生番号ではなく、個人名で検索を掛けると、先程は引っかからなかったメールが幾つも引っかかる。


「メールのやりとり自体は行っているけど、サーバーを経由しないように、wifiを使わない方法で連絡をとってたんだよ」


 普通の生徒は電話会社のデータ量を気にして、校内wifiを利用しているが、そのまま電話会社の通信を使えばバックアップに残らない。

 現にソイツと通信している生徒の宛先には、電話会社を示すアドレスが記載されている。


「でも、これだけじゃ、彼を犯人とは言えないわ」

「うん、だから多邑さんに協力して欲しいんだ。彼が告白するように仕向けて貰えないかな?」


 僕は思いついたアイデアを多邑さんに話してみた。






「ごめん、こんな所に呼び出して」

「ううん、大丈夫だけど、どうしたの?」

「その、大事な、話があって……」


 人気ひとけのない放課後の教室。佐伯さんを呼び出した彼は、緊張した様子で彼女に切り出した。


「僕と付き合ってくれないかっ」

「ごめんなさい」


 ようやく切り出した一言をばっさりと断られる。彼は呆然として、立ち尽くす。

 失敗するはずのない告白だった。仕込みはばっちり機能して、彼女の好感度も高かったはずだ。

 それに今日は特別な日、運命を感じるはずの。


「な、何で、今日は誕生日で……」

「私の誕生日は、12月でまだまだ先なんだけど」

「えっ!? だって、今日は……」


 混乱する彼だが、さすがにネタバレするほどの愚は侵さない。しかし、そこへ乱入する者がいた。



『困った時に助けてくれた彼が、誕生日の今日に告白してきたら、運命を感じて断れないな』


 その声に彼はビクッと身体をこわばらせて、教室の入口を見る。

 多邑さんが読み上げたメールに、男は脂汗が滲む。頭の回転は早いであろう彼は、自分が嵌められた事に気づいた。



「どうしてなの、久保形くん」

「いや、僕は、僕じゃ……たまたま、今日……」

「どうして今日が誕生日だと思ったの? ミサキとのメールでしか話してない偽の誕生日だと」

「な、何かで、勘違いしたんだ。そ、そう、何処からか来たメールを読んで」

「そ、まあいいわ。とりあえずミサキとアンタが付き合う可能性はゼロだから」

「最低……だね」


 多邑さんと佐益さんから、死刑宣告とも取れる言葉を突きつけられ、彼はその場に崩れ落ちる。

 そんな彼を残して2人は教室を後にした。




 駅前のファーストフード店で多邑さんに奢られながら、事の顛末を聞かされた。


「ちゃんと引っかかってくれて良かったよ」

「ホント、西藤様々だったよ」

「多邑さんが怪しんでウチに来てくれなければ解決しなかったよ」

「私はミサキが心配だっただけだからね」

「ありがとっ、レイカ」


 ひしっと彼女へと抱きついて感謝を伝える佐益さん。その様子に少し過剰なスキンシップを感じる。


「もしかして2人って……」

「知らなくて良いこともあるわよ、西藤」


 凄みを聞かせた声に、半ば2人の関係を肯定された気がした。




 翌日、学内のセキュリティの問題点をまとめたレポートを提出。一日では終わらなかった課題を中途半端なまま提出し、僕は罪を認める形で謝罪した。

 久保形くんの罪を暴くには証拠が足りなかったし、僕を有罪とする証拠も足りてない。

 下手に事を荒立てるより、今回の1件を『注意』で済ませるのが誰にとっても楽な展開だった。


 僕としては教師に目を付けられはしたが、セキュリティ面の不備は学校側の落ち度。表立って追求する事はできない。

 何より僕は一連の事件を解決できたことで満足している。



 1つ納得できない事があるとするならば、僕のいない一週間で、アニメ趣味で一気に仲良くなっていた高島と比奈森さんが、付き合う事になっていた件か……。

 リア充、爆発しろっ!

オチが弱いことで定評ある結末でした。

ミステリーって難しいですねぇ。

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