高島の動画
「なかなか良く撮れているだろう」
高島は撮影してきた動画をPCで流しながらそう言った。
東村ラーメンの見える角で、通る生徒を撮影していたようだ。
「よく怪しまれなかったな」
「学生がスマホをいじっていても、ゲームかメールだと思うものだよ。それに動画は起動時には音がでるが、録画を始めればわからないしな」
こいつ、下手するとストーカーになるんじゃないかと思うことを、さらりと言ってのけた。
「第4話でやってましたね」
と思ったら、比奈森さんも追随する。どうやら電脳使徒で使われた手口らしい。
「さて、ここが佐益女史の映るシーンだが」
「隣にいるのはやっぱり多邑さんだな」
東村ラーメンのある角を曲がっていく様子がよく撮れている。解像度も申し分なく、顔立ちはもちろん、表情もある程度わかった。
佐益さんに不安そうな色はなく、隣で話す多邑さんに笑いかけていた。
「後をつける影は無いな」
「5分ほど撮影していたが、その間に通った生徒はいなかった」
自転車で5分も離されると追跡は不可能だ。特に彼女達の入っていった路地は、脇道も多く曲がりくねっている。
「彼女達の前はどうでしょう?」
「どこかで待ち伏せしてるかもって事か」
高島は頭から動画を再生していき、彼女達が通るところまで見ていく。
しかし、学生らしき姿は映っていなかった。
「主婦らしい女性と、黒っぽいジャージの男か」
「ん、このズボン。ジャージではなく、学校のスラックスではないかな?」
高島が画像を拡大して見せてくれる。確かに上はスポーツメーカーのジャージだが、ズボンは学校指定のズボンと同じ形だ。
「これって御騰くんじゃないかな?」
「え?」
顔にはマスクがされていて、半分は見えずに、髪も風で乱れている。
その体格は男子でも大柄な方。佐益さんのメールにあった特徴と一致している。
ただクラスメイトの御騰くんかと言われると確証は持てない。それに彼は運動部に所属していて、放課後に抜け出すなんてできないはずだ。
「うう〜ん、よくわからないな」
「この雰囲気とかそうじゃない?」
「ヒントを否定しても仕方なかろう。確認して見ればよい」
高島の声に、俺達は運動部が活動しているグラウンドへと向かった。




