第一話Epart
「こんばんは。アルラウネは夕飯を食べにきたのか」
「正解。フェンお姉ちゃんにさそわれたんだ。だけど、お兄ちゃん何か忘れてない?」
「むっ・・・あはは冗談、今日はきれいな赤い薔薇だな。よく似合っているよ」
「えへへ。ありがとう」
彼女がアルラウネと呼ばれる所以は、彼女の頭に咲く大きな花にある。俺のセリフから分かるように、この花は彼女の気分で花の種類、色、大きさなどが変わる。今は、赤い薔薇だから機嫌が良いと思う。必ずしもこの花で機微を図れるわけではないのだが。
・・・それとは関係なく俺は彼女の花を見るのは好きだ。花壇で花を見るのも好きだが、それとは意味合いが違う。『アルラウネ』の咲かせた花だから俺は好きなんだ。だから、彼女と会うたびいつもこのやりとりを必ず・・・・・・
「ああっ、心ゆくまでくつろいでいくといい。客人ましてや、アルラウネなら大歓迎さ」
「もちなのだぁ~。ところでお兄ちゃん今日のお夕飯知ってる?」
「新鮮なイノシシを手に入れたから、豚汁は出る」
「イノシシかぁ~あんまり好きじゃないよ」
「フェンリルが作るから大丈夫。それに好き嫌いはダメだ。」
「うみゅ・・・じゃあ、お兄ちゃんが『あ~ん』してくれるならがんばる」
「それならお安いご用だ」
「本当? やったー」
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(食事中だよ)
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「ごちそう様」「ごちそう様でした」
「はい、お粗末様でした。ご主人様、ラミア様のプレゼント探しは順調ですか」
「全然。だが、方針は決まった。アクセサリー系統で攻める」
「無難ですね」
「お兄ちゃん、まだ準備してなかったんだ」
「・・・面目ない。なんとか間に合わせるさ。近いうちに山に行く。アルラウネも来るか?」
「う~ん・・・ドワーフおじさんの所に行くんだよね」
「アクセサリーを作って貰わないといけないから、そうなる」
「ドワーフおじさん苦手だから、遠慮するよ」
「了解。フェンリルは」
「お城を留守にできませんから、同行は無理です」
「分かった。・・・苦労をかけてすまない」
「いいえ。貴方のメイドの務めですから」
「ありがとう。明日も朝が早いから、風呂に入って寝るとしよう」
「お兄ちゃん、私も一緒にお風呂入りたいな(お兄ちゃんとフェンお姉ちゃん本当にお似合いだなぁ。)」
「いいよ。フェンリルはどう? 久しぶりに一緒に入る?」
「そうですね。お邪魔でなければ」
「邪魔なんかじゃないさ。アルラウネもいいね」
「もちろん」
「そうと決まれば、食器洗い手伝う」「私も」
「お気遣いは結構です。ご主人様の手を煩わせることではありませんし、お客様であるアルちゃんはもってのほかです」
「俺はただ三人で早く入浴したいだけ。決して気遣いではない」
「お兄ちゃんの言う通りだよ。だから手伝わせて・・・ねっ」
「(強引ですね)分かりました。では、てきぱきやっちゃってくださいな」
「分かった」「はぁ~い」
入浴シーンはOVAでやるかも?