プロローグ
処女作です。
『ある所に広大な森があった。人々はそこを「神域」または「魔境」または「桃源郷」または「理想郷」と呼んだ。このように個人によって認識の違いが多々あるが、一つだけ全員が共通して知ることがあった。それは、一本の空に届くまでの巨大な木があること。故に、人々は畏怖を込めて呼ぶ。
「始まりの森」と・・・・・・(中略)
「始まりの森」はまず、地形からして他の森とは一線を喫する。東、西、南に激流の大河、北に人外魔境の山々に囲まれ、侵入するには困難を極め、未だろくに調査は進まない。打開策として、転移魔法で侵入を試みるもののも、転移魔法を無効化すると思われる結界の存在が判明し、徒労に終わる。
ところで、読者の諸君はここまで読み進め疑問ができたのではないだろうか。
「どうしてそんなにその森に入りたいのか」と・・・・・・
理由は一つ。その森は「願いが叶う木」があるからだ。なぜこうも断言するかと謂うと、ある古代の書物にとある一文が載っていたからだ。
全てが始まりし地一本の巨大な木あり
それは願いが叶う木
最強の剣を望みし者は枝を
不老不死を望みし者は朝露を
死者蘇生を望みし者は葉を
世界全てを望みし者は幹を
さすれば汝の願い叶わん
されどゆめゆめ忘れるべからず
奇跡は代償を要することを
その書物には多少の誇張はあれど、正しいことが確認されている。だから、私たちは「始まりの森」へ赴くのだ。』
「ふぅー。やっと読み終わった。この本ありきたり過ぎてつまらないし、大袈裟にしすぎかな。そんな都合が良い物なんてないのに。それにし「ご主人様、食事の準備が整いました」分かった。すぐに行く」
「さて、おいしいご飯でも食べるかな」
これは一人の青年と彼を慕う女たちの物語である。
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