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ルピナス  作者: ぱな
2/3

失敗

今日の降ろす分の品物を作り終え、紙の散らばる机につく。


「ふぅ。」

じきに現在取り掛かっている研究テーマ…『魔力に呼応する薬草』『亜種竜属と竜、龍の鱗構造について』『金属と魔力の親和性』……がひと段落つきそになっている。


この研究は、一応紙媒体にまとめるものの読むのはこの家に来るごく一部の友人たちだ。

念の為持ち出されないような工夫もしてあるし、利用するなら一声かけるように言ってある。


私には思いつかないが、読む人によってはどんな結果に繋がるか分からないからねぇ。

技術や研究が本人の意思を離れて猛威を振るうなんてよくある話さ。

いい例があの腹の中が真っ黒な友人の若き日の失敗例かな。




その友人には大分強欲な同い年の親戚がいたらしい。

同じ商人の道を行く者同士ライバル視されていたが、やり方がどうも気に食わなかったと言っていた。


その時私が研究していたことが友人の商売の癇に引っかかった。

たしか……『回復薬の濃縮と保存』だったかな?


商人として完全に独立しているわけではなかったため、上司というか親に思いついた利用方法を話したらしい。

なかなかいい案だと賛同されたそうだ。




そしてそれを例の親戚に聞かれた。




その時は、案が先を越されてたいそう悔しがっていたね。


画期的だとあちこちですぐに利用する商人が増えた。








私としてはまだまだ研究途中だったから利用するなら終わってからにしてくれる約束だったんだがな。

なにせ研究不足だったからさ。

どうせなら完璧なものを見せたいだろう?


友人には悪いけれど、愚痴を言われたときは勝手に利用されたことはあまり気にならなかった。

研究を進める方が大事だったからね。


それでやっぱりと言うべきか。

じきに問題が浮上してきたらしい。

濃縮された回復薬をそのまま使用してたのが原因で、病気になる者が続出したのだ。

十人や二十人じゃきかない数で国も動き出してさあ大変。

大手の商会も使っていた手にだったからさ、商人の間では結構な混乱とダメージのなった。

友人の所には使うなと言っておいてよかった。



その頃には研究も大詰めだったから、理由を友人に教えてやった。


「濃縮すると保存期間と効果は格段に伸びる。ただし体に毒になる。」


ってね。詳しいことはレポートを読ませた。


過剰な回復力は時に体に負担と異常をもたらすのさ。



今後は再び薄めて使うことになったようだ。


そのころすでに半分引き籠り状態だったから友人の話ししか情報源がないのだが、この事は結構な事件として扱われている。



友人は元ネタが私だということを伏せてくれた。

でなければ捕まっていたかもしれないな。


ちなみに最初に使い出した親戚の商会は国直々に潰されたらしい。







さすがにこのときばかりはは背筋が寒くなったものだ。



さて、次は何の研究をしようか。


















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