初恋の行方
この小説は、実話をもとにしたフィクションです
中学校の卒業式。それは人生の一区切りだ。
そんな日を目前に俺は決めた。俺は、俺は、俺は―
大好きな赤沢さんに、告白するんだ!!
赤沢さん。帰り道が同じで良く話しかけてきてくれた女の子。
人と話すのが苦手で、どちらかと言えばいじめられっ子に近い俺なんかにも明るく話しかけてきてくれた。
これで惚れない男がいるだろうか? いやない!! ないったらない!!
そりゃぁ、俺なんかが告白したところで上手くいくわけがないのはわかってる。
だけど、この思いを残したまま中途半端に卒業していいのか?
好きな子に好きだと言える自分。せめて、それぐらいの自身を持てるようになったっていいじゃないか。
卒業式と言えば、中学生の身としては一大イベントだ。そんなタイミングでの告白なんて、発破をかけるにはベストだし、何よりロマンチックじゃないか。
決めたぞ。俺は中学最後の一日で、赤沢さんに告白するんだ。
作戦はシンプルに行こう。
幸い、赤沢さんとは帰り道が同じなんだ。何とか赤沢さんを先に見つけて、偶然を装って一緒に帰るんだ。ここまではそんなに不自然じゃないから、きっと、いや必ず行ける。
そして、人気のないところまで来たらそこで「実は俺、赤沢さんが好きなんだ」と告白する。
もしかしたらとか思っちゃうけど、まあ十中八九フラれるだろう。
それがどうした!! フラれるのが怖くて恋愛やってられるかってんだ!!
やるぞ、俺はやってやるぞぉ!!
さささささててて、つつついににややってきたたたぞ卒業式ききき。
・・・・・・深呼吸、深呼吸
すでに式そのものは終了。今は生徒たちが一階や校庭で皆で話し合っている最中だ。
俺は友達には悪いが単独行動で赤沢さんを捜索中。そこ、友達いないとかいうな。さすがに片手で数えるぐらいは居るんだよ。そいつらは他にも友達いるし、このタイミングぐらい一緒に居なくても罰は当たらないだろ!! だろ!!!
そして俺の視界には赤沢さんがいる。
さすがに緊張するぜ。何しろ、たまたま一緒になって帰ったことはあるけど、狙って一緒に帰るだなんてことは一度だってない。
撃沈前提の告白だって言うのもあって、正直緊張する。
だけど、高校が違うんだからチャンスは今しかない。俺は何としてもやって見せる。
深呼吸して息を整えて-
「あ、いたいた。さぁ帰るわよ!!」
俺は、致命的なことを失念していた。
中学校の卒業式は、親が出席する確率が意外と高いということを・・・
その後、赤沢さんは大学生の彼氏ができたとのことです