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シャーペン
テーブルでパソコンを使う光太郎に、まきるは話しかけた。
「お父さん、仮に、仮にだよ」
「ん、突然どうしたんだい?」
「仮に、凄く書きづらいけどいつまでも芯の出るシャーペンと、凄く書きやすいけどすぐに芯の無くなるシャーペンがあったら、どっちを使う?」
「仮に、ねぇ」
「そう、仮に」
「まあ、どっちかと言えば書きやすいシャーペンかな。書きづらいのは嫌だし」
「そうなんだ」
「うん」
「それでね、ここに芯の出なくなったシャーペンがあります。このシャーペンを使えるようにするには…………」
「…………もうお小遣い全部使ったのかい?」
「うっ…………この季節は学校帰りの肉まんが美味しくて……」
「翔子さーん」
「ああっ、お母さんに言うのはやめてっ。お仕置きが怖いんだからっ」




