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勢い
まきるはぽつりと呟く。
「最近、勢いが無い」
「え、何の話?」
「ううん、なんとなくそう思っただけ」
「それなら良いんだけど……」
「そういえばお父さん」
「ん?」
「お花見とかってしないの?」
「あー、特に予定は無いけど」
「じゃあさじゃあさ、お花見しようよっ」
「……そうだね。たまにはみんなで出かけようか」
「やったー」
「こういうのこそ勢いが大事だからね。そうと決まれば場所を決めよう」
「良いね良いね! えーと、確か向こうの公園の桜がそろそろ満開だったような…………」
「甘いね」
「え?」
「どうせなら遠出しよう。そうだね……いっそ県外まで行こうか」
「ぷ、プチ旅行だよっ、もはやそれ!」
「笑止!」
「はっ!?」
「その程度で驚かれちゃ困る。更に高級ホテルに宿泊して、プライベートビーチでワインをくゆらせながら夜桜を楽しむ…………素晴らしいと思わないかい?」
「す、すごいよっ! 今年は豪華に花見だね!」
「まきるも何か言ってごらん」
「いいの!?」
「うん、言うだけはタダだから」
「ああ、今あたしの中の勢いがごっそりと減ったよ…………」




