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4月1日



 まきるは椅子に座っている翔子に話しかける。


「ねえねえ、お母さん」


「ん? なんだ」


「今日、あたしの彼氏が遊びに来るよっ」


 ガタッ


「うおおぃっ! ち、ちょっと待て! か、彼氏ってあれかっ。こここ恋人の、か、彼氏かっ」


「そうだよー、ひどいなー。あたしだって彼氏の一人や二人作るよ」


「いやまあそうだけど…………っ! あれかっ、道隆か!?」


「違う違う。お母さん達の知らない男の子。だから今日家に呼んだのっ」


「っ! わ、分かった。ちょっとあたしに余裕をくれっ」


「あはは。まだ来るまで時間があるから大丈夫だよー。じゃ、あたし部屋にいるね。お掃除しなくちゃっ」


 ガチャリ バタバタ


「…………心臓に悪すぎる……。しかし、やっとまきるも高校生らしくなったか。赤飯でも…………ダメだ。なんか祝福出来るか微妙だ。はぁ。せっかく今まで道隆とくっつけようとしてたのに……」


 ガチャリ


「ただいま、翔子さん」


「おう、光太郎か。聞いてくれよ。さっきまきるの奴が……」


「ああ、まきるに彼氏が出来たって話しかい?」


「お前、知ってたのか?」


「知ってたっていうか偶然そこで会って。今、玄関の前で待って貰ってる」


「なっ!? ま、待て、今すぐ顔を見に……あ! いや、掃除をしないと……」


 ――あ、もう来たのー? 上がって上がってー。


「待て! 今混乱してるから待て! おい、光太郎っ。今すぐ止めてこい――」


 ガチャリ


「……………………」


「……………………」


「……………………おい道隆。何だその『四月馬鹿。ドッキリ大成功』って看板は」


「……ドッキリ大…………いえ。何でもありません」


「光太郎。まきる。来い」


「はははっ。今日は四月馬鹿の日だから騙されるのが悪いんだよ。だからその目を止めてくれないかな、翔子さん?」


「え、えーとっ。あ、あたしは止めようって言ったんだよっ! でもお父さんがっ…………!」


「…………ったく、今回は許してやる。ただ、今日は二人とも晩飯抜きな」


「えっ、地味にキツい」


「だから止めようって言ったのにー」


「…………あの、僕、そろそろこの看板降ろしてもいいですか?」


「駄目だ。もうちょっと四月馬鹿になっとけ。馬鹿やろうが」


「…………四月馬鹿で馬鹿を見る、か。」


「上手くないよ、お父さん」

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