天使の墓 前編
他の生物より優れた部分を多く持つ種族、天使。ある頃、天使は人類のいる大陸に侵略し、人間を支配する。その目的は、これからも増え続ける天使の死体の遺棄場の土地の確保だった。主人公の天使、テネットは、軍の前線に立ち、戦いを勝利に導くが、死体の処理方法に疑問を抱いていた。そんなある日、遺棄場の作業員である友人から死体遺棄の手伝いをして欲しいと頼まれ…?
前編・後編で2回に分けて投稿します。
私は天使だ。他の生物に無い色々な特徴を持っている。翼を持ち、身体能力も高く、私たちには未来予知が出来た。だから、自分達は何にも優れる生物だと勘違いしていた。
ある頃、私たちは人間が持つ大地への侵略と、それによる人類の支配を始めた。私は強さを見込まれて、前線に立つことになった。人間は予想以上に抵抗し、戦争になった。人を大勢殺し、私の友人を亡くしてしまった。その犠牲と引き換えに、私たちは戦争に早い段階で勝利したのだ。しかし、仲間の死を悲しむ暇もなく、地獄が始まった。私たちの侵略の目的は、これからも増え続ける天使の死体を埋め立てる土地の確保だったのだ。
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「死体を埋め立てる仕事…?」
「そうだ。天使が足りないんだ。どれだけ天使を働かせてもこれまで捨てられなかった死体が多すぎて時間がかかり過ぎる。テネット、前線で活躍した君みたいな力持ちがいるだけで助かるんだ」
私、テネットは今、私達の住処、エレトル大陸の喫茶店にて数年前から遺棄場の作業長である友人の天使、セレインから死体の埋め立ての仕事を頼まれていた。報酬は異様に美味しかったが、私は仕事の話は置きにして、ずっと気になってた事を聞いた。
「あのさセレイン、同胞を埋める事に抵抗は無いの?聞いたけど、物みたいに隙間が無くなるまで埋めるんだろ?土地が無くなったら私達が侵略して得た土地で…また自分の国でやってたような事を繰り返して…」
セレインは目を開いた。
「どうしたんだお前、俺がずっと前からこの仕事してるって知ってるだろ。なんでそんな事…?」
「いいでしょ別に…気になったんだよ」
「うーん…」
セレインはどうやら答えに困っているようだった。コーヒーをすすり、口に運んだパスタを飲み込んでからこう答えた。
「なんでだろうな…仕事だからかな…稼げはするから。慣れればこっちのもんだよ。死体が金に変わるんだったらいくらでも埋めるさ。」
「そう…そっか」
「まぁ、見に来るだけでも良いよ。強制はしないよ。」そう言い、セレインはコーヒーとパスタ分の代金を置いて店を出ていった。
仕事だから…この言葉に私は引っ掛かっていた。慣れるものなのだろうか。仕事だったとしても、嫌なものは嫌じゃないのだろうか…しかし、しばらくやることが無いであろう軍にいるだけでは金は稼げない。侵略の際の報奨金も限りがある。なにはともあれ、私は1週間後、人間の大陸にある遺棄場に訪れてみることにした。
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人間の大陸への出発が明日に迫った。あの日から、私は変な未来をずっと見ていた。私の未来予知のトリガーは夢をみることだった。毎回気味が悪いが、前日だったのもあり寝ないわけにもいかないので、眠りにつくことにした…。
長方形の灰色の物体が、辺りに広がっている。そこにバケツとかなりの数の花を持った人間の男が歩いてきた。かと思えば灰色の物体の前にうずくまり、植えてあった花を取り換え、石に水を掛けると、手を合わせ、頭を下げてから次の物体に移っていく。一つ一つにそんなに時間を掛けていたら終わらない。手伝う事にした。
「時間かかるでしょう、手伝いましょうか」
男はこう答えた。
「天使の方ですか」翼で気づいたようだ。
「まぁ、そうです」「結構です、手伝わなくて」
殺したのは天使だ。人間にとって、天使は全てが敵だ。断られるのも無理はない。
「…」しかし、男は何か言いたげだった。
「…すみません、きつい言い方しちゃって…天使が全員敵対的に見えちゃうんです。何も関わっていない天使の方が多いのに…」
男は笑いながら続けた。
「墓は人にやってもらうものじゃないんです。お世話になった人に、感謝の心を込めてやるものですから」
この物体は墓と言うものだった。このまま立ち去るのもどうかと思ったからというのもあるが、何より墓に興味が出てきたので、見ることにした。作業の中で、様々な事を聞いた。彼はコーセと名乗った。
それから、私の質問にきっちりと答えてくれた。墓たるものは、死者を忘れないようにするためのものであって、普通は下に遺体を埋めて、その上に墓を建てるらしい。そして、たまに墓に会いに行き、暑いから水を掛けてあげ、美しい花を置いておくらしい。人によっては、食べ物も置いておくのだとか。天使の方はどうなのだと聞かれて、埋め立ての話をすると、かなり嫌な顔をされた。
「非人道的すぎるでしょ、そんな広い土地がエレトル大陸にはあったんですか?」
「いいや」「じゃあこれからどうす……もしかして侵略の目的って…」勘づいた。自分達が奪われた土地は違う種族の死体のゴミ箱に選ばれたのだと。顔には恐怖が見えた。私は嘘をつくわけには行かなかった。「うん。それも一つある。でも他にも…天使の増加とかもあって…」「あの」
コーセは私の言葉を待たずにこう言った。
「思わなかったんですか、死体を片付ける為に」
「あなた達は死体を作ってるんですよ」
夢が覚めた。冷や汗が止まらない。夢の…私の未来の記憶が薄れていく。私の未来予知は夢がトリガーのせいで忘れてしまい、ほとんど使い物にならない。だけど、最後の言葉が消えない。よく考えればそうだ、死体を作ってまで死体を片付ける意味はあるのだろうか。
遺棄場に行く約束の時間が近づいてくる。深く考えすぎて忘れていた。急いで私は服を着替え、準備をして家を出た。
ありがとうございました!
今回が初の制作だったので、まだまだ未熟ですが、応援していただければ幸いです
後編の投稿日時は不明です。




