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第十六花「違和感の正体」

順調に中へと進んでいく。

周りには樹氷があり、絶景だった。

これが結界内じゃなければ、観光スポットになっていただろう。


遠くに巨大な雪の塊のような魔がいる。おそらくレベル四くらいだろう。

そして、定期的に、鳥や熊の姿をした魔が襲ってきた。全て日輪が片付けてくれたが。

日輪の異能「天温」。殴る直前に手に高温の気を纏わせていた。

異能自体は大したことないが、技術がとても高い。力の入れ方や、見た目にそぐわぬ俊敏さ。

蕾として相応しい強さだった。帰ったら稽古してやろう。

そして、特にすることもないまま結界の中心へと辿り着いた。

一旦休憩となり、その後別れて行動することとなった。

白湯を飲み、落ち着く。

違和感がある以上、離れて行動するのはあまり気が進まないが…ここにいるのは実力者ばかりなので大丈夫だろう。

そして、休憩が終わり、二人一組となり、それぞれの方向へと向かった。

私と清水が奥、日輪と暁星が右、残り二人が左に。


道中の魔はほとんど清水が倒していった。あまり話しかけてこないから今朝のことを気にしているのだろうか。

私はそれに続きながら、辺りを観察する。あまり変わらない風景。

総監の予夢は、結界から隊が帰ってこないというもの。

その原因が別行動のところで起きていないことを祈るばかりだった。



ーーそれは唐突にきた。

地面が隆起し、巨大な熊の魔が三体現れた。

「グオオオオオオオ!!!!!」

明らかにおかしい。先ほどまで出会っていた熊の魔の三倍以上の大きさだ。

魔障レベルも……おそらく七ほどある。

「なんだこいつら!?刃が通らねぇ!!」

清水は二体を相手取って、身を翻しながら、切り掛かっていた。

私と同じ刀使い。まだ荒いが、形にはなっていた。

しかし、異能を使っていることで、まだ路茎である彼でもレベル七相手に戦いが成立していた。

彼の異能「思刀」。彼が握った刀は意思を持ち、自ら動く。

かなり珍しい異能だ。

物に意思を灯すことは、ただ単純に強い。

刀が振られる時、刀自身が加速し、刃が通れば肉を抉るような動きをする。

……それでも、レベル七二体というのは厳しい。

一体の突進が清水を吹き飛ばし、もう一体が口を開け、噛み砕こうと迫っていた。

私は飛ばされる清水を捕まえ、魔から逃れる。

「ご苦労様、おかげでゆっくりと観察できたよ」

私は一体と対峙し、違和感を探る事ができた。

「何を言って……はあ!?」

清水は私が戦った熊の魔の姿を見て、信じられないという顔をしていた。

それは地面に横たわり、首と胴体が分たれていた。

白銀の雪に、ゆっくりと血が広がっていく。

「お前、どんな異能を使ったんだ?」

恐る恐る聞いてくる。

「別に異能使ってないよ?私が使ったのはこの刀だけ」

そう言って、手にある刀を見せる。

「…うそだろ?ただの刀じゃないか…」

さて、驚いているところ悪いが、まだ後二体残ってる。

取り逃がしたことで、唸りをあげてこちらを威嚇している。

「まだ終わってないよ。一体は相手してあげるから残りの一体は頼んだよ」

「え!?ちょーー」

そう言って、地面を蹴り、魔の一体へと向かう。

腕を振り、捉えようとするが遅い。

軽々それを交わし、熊の巨体を上り、首の元へと辿り着く。

一閃。

刀が振るわれる。

音もなく首が落ちた。もう一体が私に警戒を向ける。

「ーー今だよ」

清水がもう一体の魔の首の背後に現れる。

さて、刃は通らない。どうするのか。

「おらあああ!!」

刀を首に突き刺した。

その瞬間、魔が咆哮をあげ、そのまま前に倒れた。

ーーなるほど、首に刺した刀に、首の中で暴れてもらったのか。

工夫ができている。成長が早い。

「やるじゃんか、見直ーー」

そこまで言った時に清水の違和感に気付く。

ーー刀を突き刺したままの姿勢で、止まっている。

口を動かそうとしているのが見える。


「あはは!結構やるじゃん!特にそこの仮面のお嬢さん!」

そう言いながら一人の子供が樹氷の裏から姿を現した。

五歳くらいの男の子。

ーーこいつが、話に聞いてたやつか。

小さな子どもから発せられるものとは思えない圧が周囲の空気を押し潰していた。


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