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第十五花「温泉と出発」

「はーーー……しみるぅ……」

誰もいない温泉に一人浸かりながら感嘆する。

辺りは一面雪。その中での露天風呂というのは最高だ。

タオルを巻いていたとはいえ、外に来るのはなかなか勇気が必要だったが。

その寒さを耐え、浸かった時は至極だった。

人がいた場合を考えて仮面を持ってきたが、どうやら不要だったようだ。

風呂場でマスクをするわけにもいかないしな。


静かな時間が過ぎる。

このままいくらでも居れそうだったが、出発の時間は決まっている。

仕方なくタオルを巻き、中へ戻る準備をする。…一応人がいた場合を考えて仮面をつけておこう。

寒さを耐え、中へ戻る。

ーーそこで鉢合わせた。


清水に。


「はあああ!?お前なんで男風呂入ってんの!?怖っ!!痴女!?」


間違えた。蓮だった時の癖で男風呂の方に入ってしまっていたのか。

…タオルを巻いている事が唯一の救いだな。

とか考えていると、清水が急いでタオルを腰に巻き、顔を赤らめて騒いできた。

「俺は二十歳だぞ!!そしてお前は高校生だろう!?俺は、捕まる!!」

何を気にしているんだ。私のミスだからそんなことになるはずもないだろう。

それよりも、

「私君より年上だよ?あと、なんで男の君の方が恥ずかしがってるの?」

私はタオル巻いてるし、仮面も付けてるし、肌をほとんど見せてない。

…そもそもそんな羞恥心はとうの昔に置いてきた。

「は?そんなわけ…って、俺が恥ずかしいんだからに決まってるからだろ!!」

へぇー…ウブなとこあるんだ。とか言ったらキレそうだから言わなかったが思わず笑ってしまった。

「さっさと出て行けーー!」

他に人が来るかもしれないので素直に従うのだった。

少し冷えた体を温めたかったが、仕方ない。



部屋に戻り、防寒の用意をする。

カイロを体に貼り、ポケットにもカイロを入れる。そして魔法瓶に白湯を入れた。

カップ麺は…昨日の夜に食べてしまった。非常食持って行くか。


宿屋を出たところに、もう既に全員集まっていた。おかしい、まだ十五分前だぞ。

今回は最後にならないよう早くきたつもりだったのに。

そして、予定より少し早く、私達は出発した。


ーー


私達は結界の前まで辿り着いていた。

「よし、入るぞ!気を引き締めてくれ!」

結界に人一人分の穴が開く。

日輪が先頭。そして続々と入って行く。

私が最後尾で、入ろうとした時、結界に違和感を感じた。

(…誰か弄った痕跡がある)

私以外は見逃してしまうほどの小さな痕跡。

そして、昨日聞いた子供の笑い声。

ーー何かがいる。そう確信した。


結界まで長くなりました…。

次回からやっと結界内編です。

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