第十一花「新たな任務」
「結界内の魔討伐に同行?」
「そうじゃ」
総監室に呼ばれ、そう言い渡された。
橙との模擬戦から一週間。
久しぶりに蕾と会ったり、学校の退学手続きを済ませたりして、少し生活が落ち着いてきた頃だった。
ーーちなみに、今は元の住居を出て「華の庭」の一室で寝泊まりをしている。
それにしても、結界内の魔討伐に同行するとは珍しい。
「珍しいね、そんなに厄介なのが発生したの?」
「いや、いつも通りじゃ」
なんだ、それなら大丈夫じゃないか。
「…今は、な」
不穏な空気を纏わせる。
「今回は礎根の者は同行させておらん。そして、それぞれの部隊から実力者を選出した」
礎根…見習いは連れて行かないのか。
そして、通常は部隊ごとに任務を遂行させる。
…思い切ったな。このような状況は、そうそうない。
「で、なんでいつも通りなのにこんなことにしたの?」
大体予想はついてるが。
一呼吸置き、ゆっくりと口を開く。
「わしの異能「予夢」。それが教えてくれたのじゃ」
やっぱりそうか…。
総監の異能「予夢」。自分の意思で見ることはできないが、その分絶大な力だ。
劣化版の未来視のようなものだと考えていい。
「結界内の様子は見ていない。じゃが、いつも通り送り出した部隊が帰ってこない夢を見たのじゃ」
なるほど、だから「今は」なのか。
「私を同行させる理由は?」
テーブルにある菓子に手を伸ばしながらそう聞く。
「念のためじゃ」
その言葉は力強かった。絶対なる意思が、そこには見えた。
「念のため、か…。いいよ、慎重を期すことは私も嫌いじゃないからね」
それに、人が死ぬ未来を放っておけるほど、私は正しい存在ではない。
「あ、そうだ。それってどこにある結界?」
「…奥羽山脈の最北にある、結界じゃ」
ん?この冬にそんな北のほうまで行かないといけないのか?
目を逸らす総監。
なるほど、寒がりの私に先に目的地を伝えると嫌がる可能性があったから、言ってなかったのか。
他の色が空いてなかったから私に声をかけたんだろうが…なんとも言えない気持ちだ。
しかし承諾してしまったものはしょうがない。
「はぁー……防寒具買うからお金ちょうだい」
これは自腹で用意したくない。ただでさえしっかりと復帰した直後で、お金がないのだ。
ーーこうして、私も結界へ向かうこととなった。
…後になって思うと、私でよかった。最悪の状況は、回避できたのだから。
七華の説明を少し載せておきます
総監 任務を指示したり、政府や外国との会談、など。七華を束ねている。
現総監は、現代でただ一人だけ紫の顔を見た事がある。
補佐が二人。
色 紫。紫苑の部隊を率いる者。
青。紫陽花の部隊を率いる者。
赤。椿の部隊を率いる者。
黄。向日葵の部隊を率いる者。
緑。緑桜の部隊を率いる者。
藍。竜胆の部隊を率いる者。
橙。金木犀の部隊を率いる者。異能は「秋風」。
蕾 次の色候補。
部隊の中の序列
天葉 小隊のリーダーなどを任される事がある。実力も兼ね備えている。
路幹 天葉を補佐する。主に戦闘がメイン。
礎根 見習い。主に訓練がメイン。天葉や路茎と共に実戦を学ぶ事もある。
結界の説明は、次の話であります。
次回から、奥羽山脈結界編です。




