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地味な部下の正体は誰にも頼ることのできなかった初恋の人でした  作者: モハチ


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第77話:やり直し

「アルト~!帰ったよ!」

 

 お迎えの使用人たちの中で待っていてくれたアルトを見てユリアナは抱き着いた。


 あの後、王城を後にした二人は緊張疲れからか帰りの馬車の中で寝てしまった。起きて、外を見たらすでにダスティン公爵領であり、帰り着いたのは日が沈み空には星が見え始めた時間だった。

 馬車の中で熟睡して元気になっていたこと、国王と話し、自分の意見を通すことができたことでユリアナは興奮状態になっていた。


「うわあ!姉さん!お帰りなさい!大丈夫だった?」

「大丈夫!国王陛下は優しくてね・・私たちのことも知ってくれていたわ。私たちの考えた意見も通ってね、今度国営新聞社の方がこちらに来てインタビューを受けることになったの!」

「ええ!凄いじゃん!やったね姉さん!」


 興奮しながら喋る姉に少し違和感を感じてはいたが、話す内容を聞くとアルト自身も興奮してしまった。


「私!国王陛下と話したのよ~!きゃー!」

「ね。姉さん・・ちょっと落ち着いて・・・」


 王城にいる時は緊張もあり、興奮することは無かったが、こうしてアルトに会うと、その時の情景が出てきて芸能人に会った一般人のような反応を繰り返ししてしまっていた。


「ユリアナ、落ち着いて。今日は疲れただろう?夕食を摂って、今日は早めに寝よう。」


 興奮しているユリアナの頭に手をポンと置いて話しかける。ユリアナはその手を上目遣いで見た。


「あ、アレックス。そうね、ちょっと落ち着かなくちゃ・・。なんか疲れからか興奮してしまったわ。アルト、ごめんね。」

「大丈夫だよ。」

「はは、今日はいっぱい話したし、今後の調整もできたもんね。ユリアナが気持ちを伝えることができて良かったよ。」

「アレックス、ありがとう。」


 アレックスとユリアナは皆で夕食を摂り、寝る準備を済ませた。


(ああ、今日は本当に良かった。良い日だったわ。)


 ユリアナは入浴を済ませた後、部屋で1人窓から外を見ていた。月や星がきれいに見えていてキラキラ輝いていた。


(それに・・)


 アレックスが国王陛下に自分たちの関係、結婚するのか否かについて明言してくれたことが嬉しかった。まだ付き合ってばかりで、且つアレックスは高位貴族で自分は端田舎の名ばかり貴族。全く釣り合っていないので結婚は無理だと思っていた。でもそれでも彼は言ってくれた。


(今日は本当に嬉しかったなあ。)


 ユリアナは一人思い出しては喜びを感じていた。


 コンコン

 一人空をぼんやり眺めているとドアをノックする音がした。


「え、誰・・?」


 サンドル家での経験より、夜は怖く感じるようになっていたユリアナは警戒しながらドアへ近づきドアの外にいる誰かに対して声をかけた。


「・・はい・・どちらさまですか・・?」

「ごめん、ユリアナ。俺だよ、アレックスだよ。驚かせてごめん。起きてたらいいなって思って・・。」

「あ!アレックス!ごめんなさい、つい・・。今開けるわ。」

「ありがとう。」


 ユリアナがドアを開けると少し照れた様子のアレックスがドアの外に立っていた。


「ごめんね、こんな夜更けに。ちょっとだけ話したくて。」

「うふふ、大丈夫よ。私もなんか今日のことを思い出して、眠れなかったの。」


  アレックスを室内に入れ、ユリアナはソファに座る。アレックスもソファに座ると思ったが、座らず立ったまま、どこか落ち着かない様子でソワソワしていた。


「アレックス、どうしたの?」

「いや・・あの・・。」


 少しおどおどした様子で目をキョロキョロさせていたが、大きく息を吸い、顔をパンと目の前で叩いた。


「え!大丈夫?」

「大丈夫。ちょっとだけ、気合を入れただけだから・・。」


 アレックスはユリアナを真剣な目で見て、ポケットの中からそっと小さな箱を取り出し、膝をついてユリアナと目線を合わせた。


「??」

「ユリアナ、今日王城で言ったことをもう一度しっかり伝えさせてほしい。」

「え?」


(王城で言ったこと・・!)


 先ほどまでユリアナも思い出していたため、自分の耳まで熱くなったのが分かった。


「出会いは偶然だったと思う。でも君と出会えて、俺の世界は広がったんだ。これからも君と一緒に過ごしていきたい、暮らしていきたい、支えあっていきたい。・・どうか俺と結婚してくれませんか?」


 小さな箱からキラキラ輝く指輪を取り出した。


「アレックス、私こそ・・私こそあなたに会えて、勇気をいつも貰ってた。再会できた時は幸せだった。これからも、一緒に生きていきたい・・!よろしくお願いします・・!」


 ユリアナはアレックスに抱き着いた。

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