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地味な部下の正体は誰にも頼ることのできなかった初恋の人でした  作者: モハチ


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第75話:走るカーシー

「陛下!本当に・・本当にありがとうございます!お礼を何度お伝えしたら良いか・・」

「いやいや、良いんだよユリアナ嬢。寧ろ実名を世間に出すという、嫌な役目を買って出てくれたユリアナ嬢に私は頭が下がる一方だよ。」

「そんな・・寧ろこのことを快諾してもらえるとは思っていなかったので・・本当に嬉しかったです。色々提案もしていただき、本当にありがとうございます。」


 あの後、ユリアナと国王の話は盛り上がり、全ての調整を2人で行っていた。

 アレックスは驚いていた。国王は今回の意見について一度持ち帰って吟味した後返答してくると思っていたのに、この場で即答・快諾したからだ。


(一体何を考えているんだ・・この人・・。まあ時間を取られなくて済んだし、ユリアナが嬉しそうだから良いけれど・・。)


 一方ユリアナと国王のやり取りを聞いていたカーシーは真っ青だった。


(ちょっと待て!!これは私がやらなくてはいけないのではないか・・?陛下良い返事ばかりしているけど・・国営新聞社へのやり取りや、ユリアナ嬢へのインタビュー調整・・これは私の役割なのでは・・?だから陛下即答しているんじゃないのか・・?私がここに一緒に話を聞いているということは即ち『お前、もう分かってるだろ?』と思っているので・・?)


 ユリアナと話している陛下からチラチラと視線を感じていたのは事実だった。途中ウィンクなどアイコンタクトをしてきたので、途中から嫌な感じがプンプン漂ってきてはいた。最初は自分がするとは思っていなかったのでユリアナ嬢の熱い気持ちを聞いていただけだったのに・・。もう最後は腹をくくるしかなかった。


「あの・・陛下・・。それは私の仕事で・・?

「え、そりゃあ勿論そうだろ。これはカーシー、君にしか任せられないよ。」

「は・・はあ。そんなに熱い信頼を・・。ありがとうございます。・・それでいつの出版を予定しているのですか・・?サンドル家をいつこちらへ呼び寄せるつもりで・・?」

「勿論だよ。何年君が私の側近だと思ってるんだい?そうだな・・早めがいいだろう?」


 ちらっと国王はアレックスとユリアナを見る。2人は頷いた。


「それなら遅くても1週間後かな?」

「い!1週間!!!ひ!ひぃいい」


 ムンクの叫びのようなポーズをしたカーシーを余所に、国王は2人と話を続けていた。カーシーは少しの時間絶望に浸った後、国営新聞社へ走り出した。


(もう!私のことを体の良い部下だと思っているのでしょう!!もう!!!)


 怒りつつ、嘆きつつ、半泣きになりながら城の廊下を走っていた。



「あ・・カーシーさん行ってしまいました・・。」


 ユリアナはカーシーがあっという間に姿を消したことに対しあっけに取られていた。国王は含み笑顔で対応した。


「ふふ。彼には彼しかできない仕事があるからね。ほら、国営新聞社とかに行ったんじゃないかな?」


(お前が仕組んだんだろ・・。すみませんカーシーさん。よろしくお願いします!)


 アレックスは心の中で悪態をつきつつカーシーにお詫びを入れた。


「ユリアナ嬢は今ダスティン公爵家にいるんだよね?」

「はい、そうです。」

「それじゃあ、国営新聞社からアポを取って訪問するように伝えておくから、対応をよろしくね。」

「ありがとうございます!よろしくお願いします!」


 ユリアナはとてもいい笑顔で頷いた。


「あ、陛下、少し聞きたいことが。」

「なんだい、アレックス。」

()()()()()()は、その領主で決めて良いのですよね?」

「・・・うん。基本的にはね。」


 アレックスはユリアナには見えないよう、仄暗い笑顔を見せた。


「ふふ、はい、分かりました。ありがとうございます。」


 国王はなんとなく勘づいていた。アレックスの報告書に記載されていた《《長兄による未遂事件》》。ヴェイユから来た手紙に書かれていた内容。それが関係していることを。


「アレックス・・君、ほどほどにしてね。」

「・・ふふ。陛下、何をおっしゃっているのですか。私はそんな野蛮じゃありませんよ。」

「・・はあ。」


 国王は思っていた。旧知の友、ヴェイユにも()()()()()()()があったのだ。


(あいつと似たんだな。愛する人が傷けられた、傷つけられそうになった時の対応は鬼のようで、いつもと全く違う雰囲気をだしてきていたな・・。本当、似たもの家族だよ。)


 国王はそう思いつつ、こうなったら止められないだろうことも分かっていた為特に止めることなくため息だけをついた。





 

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