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地味な部下の正体は誰にも頼ることのできなかった初恋の人でした  作者: モハチ


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第66話:勇気をもらう

「おはようございます!起きてくださいユリアナお嬢様!」

「・・・んえ?」

「朝です!王城に行かれるんですよね!支度をしなくてはいけません!!」

「えええ?」


 翌朝、まだ太陽が頭を見せていないような時間。メイド達はユリアナの部屋に来てユリアナを叩き起こしていた。


「今日は私たちがユリアナ様を綺麗にしますから!!」


 ガバっと起き上がらせられ、目を白黒させながらもユリアナは目を覚ました。


「え・・ええ!!」


 ユリアナは想像をしていなかったが、朝から体を磨かれ、髪を整えられ、綺麗なドレスを着せられ・・目まぐるしかった。


「こ・・こんなにするのね・・。貴族は。」


 ぜーぜーと荒い息を吐いたユリアナに向かってメイド達はにっこり良い笑顔を向けた。 


「そうです!本当は・・更に倍以上の時間をかけてマッサージなどもしたかったのですが・・パーティではないということなので・・。これでも控えめ、3分の1位しかしていません。それでも・・久しぶりに腕が鳴りました。」


 プティは嬉しそうに話した。公爵夫人が死去され、末っ子リディアはデビュタントもしておらず、また外に出る機会がほぼない。そんな中、美しい貴族令嬢をさらに美しくするのは腕が鳴った。


「あ・・ありがとう。プティ、皆。こんな風にしてもらったの初めて。」

「お嬢様、自信をもって。大丈夫です。こんなに綺麗なんですから。初めての王城緊張すると思いますが、私たちが帰ったら出迎えます。頑張ってきてください。」

「ありがとう、そうだね。頑張ってくるね。」


 メイド達の温かい気持ちに勇気づけられたユリアナはにっこり笑った。メイド達は微笑み、ユリアナを送り出した。



「アレックス・・待たせてごめんなさい。」


 アレックスは馬車の前で懐中時計を見ながらユリアナを待っていた。ユリアナの声が聞こえてきたので振り向くとそこにはいつも以上に光り輝くユリアナが立っていた。


「え・・て・・天使?」

「え?」


 日の光がユリアナのアップにした髪の毛に当たり、金色の髪の毛はまるで絵画の中の天使を思わせた。濃淡がついた紫色のドレスはまるで自分の色をまとっているようでドキドキした。


「君のこんなきれいな姿・・他の人たちには見せたくないよ・・。」


 耳を真っ赤にし、照れくさそうに、聞こえない声でボソッと呟くアレックスを見てユリアナは疑問を抱いたが、特に気にすることなく話しかけた。


「アレックス?大丈夫?耳が赤いわ。」

「!」


 そっとアレックスの顔に手を当てようとするユリアナを凄い勢いで避けたアレックスは言葉に詰まりながら言った。


「そ・・そろそろ出よう!さあ、行こう!俺がエスコートするよ!」

「・・・」


 手を避けられたユリアナは自分の手とアレックスを交互に見て少し訝し気な表情をしながらもエスコートの手をとり馬車に乗った。




「・・・・」

「・・・・」


 馬車の中ではユリアナを直接見れないアレックスは頬を赤く染めながら窓の外を見ていた。ユリアナはそんなアレックスをジト目でずっと見ていた。


「あの・・」

「!!」

 

 ユリアナが声をかけるとアレックスの肩がビクっと震え、チラリとこちらを見た。


「な・・なんだい。」

「どうしたんです?今日はなんかいつもと違う気がするのですが。」


 ユリアナは戸惑っていた。メイド達に勇気づけられたが、やはり初めての王城で緊張していた。アレックスが頼みの綱であったのだが、いつもと違う態度をとられ不安になっていた。

 一方アレックスは平常心を保つた目にはどうしたら良いか必死に考えていた。ユリアナが綺麗すぎて・・初恋相手のドレスアップした姿は心臓に悪かった。


(どうしてこんなに綺麗なんだ・・!今日王城に行くことがなければ画家を呼んでこの姿を後世まで残すのに・・)


 と心の中で嘆いている位だった。


「アレックス・・今日はどうしたの・・?こっちを全然見てくれないし・・。」

「え!!」


 ユリアナの心細そうな声にアレックスは耳を疑った。ユリアナを見ると泣きそうな目でこちらを見ていた。


「私、気づかない間に何かした・・?」

「え!」


 アレックスは焦った。そんなことは全くなかったのに、ユリアナがこちらを見て泣きそうになっているからだ。


(もしかして、俺が直視できていないことをユリアナは勘違いをして・・?)


 アレックスは身振り手振りで答えた。


「ごめん!そんなことは無いんだ!俺が・・」

「・・俺が?」


 アレックスは下を見ながら恥ずかしそうに言った。


「君が・・あまりにも綺麗だから・・直視できなくて、照れてしまって・・。あ!あの!いつもが綺麗じゃないわけではないんだ!ただ、いつもよりもその・・ごめん慣れてなくて。」


 腕で顔を隠しながら話すアレックスを見てユリアナは少し安心していた。


「私が・・嫌になったわけではないのね・・。」

「それはそうさ!君を嫌いになるわけないだろう!」


 アレックスに必死さにユリアナはくすっと笑った。それを見てアレックスは耳の近くをポリポリ掻きながら言った。


「ああ・・格好がつかないよな。ダサいな‥ごめん。」

「そんなことない。良かった。綺麗って思ってもらえて。」


 ユリアナはホッとしたように笑った。

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