第65話:メイド達のやる気
「え!国王陛下から!?!?」
アレックスはヴェイユから話しを聞いてびっくりしていた。そんなアレックスを見ながらヴェイユはニヤニヤしながら手紙を渡した。
「そうだ・・良かったな。早急にサンドル家のことを対処したいみたいだ。」
国王陛下からの手紙が翌日デレクシアス家に届いた。内容を読むまではヴェイユはてっきり自分が王城に呼ばれると思っていた為、早かったな、と思っていたのだが予想は外れた。ヴェイユは王城に行きたくなかったのでアレックスが王城に行ってくれるのが嬉しかった。
(だって面倒くさいし。)
加えて当事者であるアレックスが行ってくれるなら、説明のために同行しなくても良い。ヴェイユにとってはとてもありがたい手紙だった。
「・・俺で良いのかな?」
アレックスはまさか自分が王城に行くとは思っていなかったため、少したじろいでいた。ヴェイユはそんなアレックスを気遣うように声をかけた。
「何を言っているんだ。だって国王陛下の要望なんだぞ。良いに決まっているだろう。お前の気持ちを全て国王陛下に話してこい。」
「分かった。話してくるよ。」
アレックスはヴェイユの目をまっすぐ見て答えた。ヴェイユは満足そうに頷いた。
「任せたぞ。」
「はい。」
「あ、そうそう。ユリアナさんも一緒にって書いてあったので、2人で行ってこい。」
「あ、はい。確かにユリアナも当事者ですしね。」
「うむ。そうだな。」
ヴェイユはにっこり笑い、アレックスを送り出した。
(あ~俺、行かなくなって良かった~!ラッキーだ!)
ヴェイユはグーっと背伸びをした。久しぶりにゆっくりできそうだと思っていた。
「ユリアナ!俺たち2人で王城に行くことになったよ!」
「え!?王城に!?私も?」
「そう!国王陛下は俺たちから事情を聴きたいらしい。」
ヴェイユに国王陛下への謁見の件を聞いたアレックスはその足でユリアナに報告に来ていた。
ユリアナは乳母のプティやメイド達と話をしていた為、急なアレックスの訪問と、その内容に驚いた。
「え!私が言ってもいいの?だって・・私も・・その・・サンドル家なんだけど・・。」
「良いに決まっているだろう?陛下直々の手紙に書いてあったんだ。これをもって俺と一緒に王城へ行こう。」
アレックスはヴェイユから預かった手紙を目の前で見せる。ユリアナはその内容をしげしげと見つめた後、戸惑いつつも了承した。
「う・・うん。本当に大丈夫かな?」
「大丈夫さ!俺も一緒に行くし。」
ユリアナは頷いた。
「明日の朝に登城しよう。」
「・・分かった。」
アレックスは謁見の件を伝えると、ユリアナのおでこにキスをしてサッと部屋を出て行った。周囲のメイドは「きゃっ」とざわめいたが、ユリアナはそんな気分にはなれなかった。
ユリアナは不安だった。サンドル家が行ってきたことを国王陛下は怒っているはずなのに、自分を呼ぶ理由が分からなかったからだ。
(大丈夫かな・・。本当に私で良いのかな・・。)
ユリアナ一抹の不安を抱えながらも、その日を過ごした。
一方、デレクシアス家のメイド達は皆ざわめきたっていた。
「明日の朝!ユリアナお嬢様とアレックス坊ちゃんが王城へ行くことになった!皆、明日は気合を入れるのよ!!!!」
「「「「ラジャー!!!」」」」
メイド達は全員知っていた。ユリアナがデビュタントを迎えたことがないということを。メイド達の中に貴族子女がおり、ユリアナの境遇を知り同情、何かをしてあげたい思いを抱いていた。
そんなユリアナが今回王城に行くことになった。これは気合を入れて可愛く仕立ててあげることが私たちにできることだ!と息を巻いていたのだ。特に乳母のプティの気合は半端ではなかった。
「あんなに綺麗な子が、あんな境遇にいたなんて・・。運命は残酷ね。なんというか、これは本にできそうなストーリーよ。ふふ・・そして私たちはその立役者・・。明日のために!!やるわよ!!」
「「「「おおー!!」」」」
プティはユリアナがデレクシアス家に最初に来た時からユリアナについており、ユリアナの善良さを知っているのだ。だからこそ、気合の入れようが違った。
「明日は私たちの試合よ!!」
「「「「おおおー」」」」
メイド達の熱い声と思いが空に響き渡って行った。




