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地味な部下の正体は誰にも頼ることのできなかった初恋の人でした  作者: モハチ


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第62話:話を戻す

「良かったなあ、2人とも。」

「「!!!!」」


 急にアレックスがボソッと呟いたのでユリアナとアルトはビクっとして、声がした方向、アレックスの方を見た。ユリアナは必死に謝った。


「そうだった!ごめんなさいアレックス!」

「え、アレックスさん!?い、居たんですか!?」


 アルトは入室時点からずっとユリアナしか目に入っていなかったようで、アレックスがいたことに驚いていた。


「ごめん、いました・・最初から。ユリアナは知ってたでしょう?」

「あの・・ちょっとアルトが必死そうだったから・・ごめん。少し忘れてしまった。」

「・・・(そうだよな。)」


 アレックスは少し寂しい思いをしながらも、自分を落ち着かせていた。最愛の人、ユリアナが弟と気持ちを共有することができたのだ。これは喜ばないわけにはいかないと思っていた。


「まあ、俺のことは良いんだよ。なんか、俺も感動したし・・。でも話を聞いて思っていたんだけどさ。」

「「?」」

「アルト君は一体誰に話を聞いてもらったんだい?爺やとか?」

「ああ、それは、リディア・・だよ。」

「え?」


 アルトは少し照れた様子でリディアの名前を出した。リディアの名前が出てきたことで次はアレックスが驚いた。


「え、リディアって俺の妹のリディア?」

「う・・うん。そう。その、偶然会ったんだ、庭園って言うのかな?あの渡り廊下の所で。」

「そ・・そうか。」


 アレックスはどことなく複雑な表情をし、少し考えだした後、恐る恐る尋ねた。


「その・・リディアとはどんな話をしたんだ?」

「え?」

「だってアルト君、リディアのことを呼び捨てにしているから・・そんなに親密になったのかと思って・・。」

「!」

「そりゃ、俺だって、アルト君とリディアが仲良くなってくれたら嬉しいなって思ってたけど、思ったより仲良くなるスピードが速くて面食らってるって言うか・・。」


 アレックスはポリポリ頭を掻きながら素直に自分の今の気持ちをアルトに伝える。


(確かに・・自分の妹がいたらこうなるかもしれない。僕だって姉さんに彼氏というものができて何となく複雑な気持ちになったもんな・・。)


 アルトはアレックスの気持ちを受け止めながら、言葉を選んで話し始めた。


「えっと、その僕、さっき話してたモヤモヤをずっと考えていたら、渡り廊下まで来てたみたいで・・そこで彼女に会ったんだ。彼女が僕に質問をしてくれて、それに答えていたらなんか気持ちがスッキリして・・姉さんにしっかり話をしようって思えたんだ。

 それに、彼女も僕位の年齢の子と話すのが初めてって言ってたから、お互い初めての()()?になれて嬉しかったていうのがあるのかも!その、そんな変な意味はないよ!」

「そ・・そうか。友達か・・。そうか・・。」


 アレックスは頬を緩ませて破顔した。アレックス自身、リディアはこのままデレクシアス家という箱舟の中に居させるわけにはいかない、外の世界を知ってもらいたいと思っていた。が、自分自身、そして兄、父も過保護になっているため簡単には行かないことも分かっていた。自分たちがしている、その無意識の()()をアルトが一部分ではあるが()()()()()壊してくれたのだ。とてもありがたいと感じていた。


(それに、友達だしね・・。)


 アレックスは友達というワードに密かに安心していた。


「リディアもアルト君と境遇が少し似ているんだ。それは本人から聞いたかもしれないし、今後聞くかもしれないが・・。良かったらこれからも仲良くしてほしい。」

「はい!それは勿論!僕もリディアと仲良くなれて嬉しかったです!」


 アルトはとても嬉しそうに答えた。ユリアナとアレックスはその姿を見て微笑み返した。




「実はアルト君がいない間、()()()()()をどうしたいのかを聞いていたんだ。」


 ほのぼのとした空気を一変、アレックスは真剣な表情で話し始めた。


「あの男たち?」


 アルトは頭に?を浮かべる。アレックスは話し続けた。


「アルト君は会ってないもんな。ユリアナをサンドル家に攫った雇われ男たちだよ。」

「・・ああ!」


 アルトは思い出した。ユリアナが牢屋までヴェイユと見に行ったあの捕らわれている男たちのことを。


「本当は処刑をしても良いんだけど・・。」

「・・・処刑・・。」

「でもユリアナはそんなことはしたくないって言うし・・。」

「姉さん・・。」


 アルトはユリアナを見る。ユリアナは神妙な表情で頷いた。


「私、人を・・人の命をどうにかするの苦手みたい。」

「・・まあそうだよね。姉さんだしね。」

「うむ。俺的には、ユリアナの家をあんな状態にして、ユリアナをさらった男たちの命なんて正直どうでもいいのだが・・。仮にその刑罰を下したらショックを受けてしまうだろうから・・。」

「うん・・」


 アルトは頷いた。姉の性格ならばそれは見えていたからだ。


「そこまで話を進めていた時に、アルト君が来たんだ。」

「あ・・えへ。話の最中にごめんなさい。」


 アルトは少し舌を出して謝った。

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