第44話:変態
ドサっと音を立ててユリアナはジョージのベッドの上に乱暴に降ろされる。
シーツでくるまったまま降ろされたが、反動でそのシーツは乱れ、自由に動くことができた。
ユリアナはサッと膝立ちになり、ジョージを警戒しつつ周囲を見た。
周囲は何も変哲もない部屋で、特に変わった様子は無かった。が、ベッドの上だけは違った。
「!」
ユリアナは驚いた。ジョージのベッド柵の頭元には手錠があり、それはベッドヘッドに伸びて取れないように固定されていた。
(まさか・・そんな・・)
その手錠を見た時、ユリアナはサッと血の気が引いた。まさかそんなことあるわけないと自分に言い聞かせながらジョージの方を見る。
ジョージは男の部下2人に何かを言って、外に追い出そうとしていた。
(は・・・早くベッドから降りなければ・・!)
ユリアナは急な展開と恐ろしさで足がガクガク震えているのを自覚しながらも、四つん這いになって何とかベッドから降りようとしていた。
「ユリアナ・・だめだよ。降りちゃ。」
「・・っ兄さま・・」
ベッドから降りようとしているユリアナにゆっくりと近寄ってくる。ユリアナはベッドから降りてできるだけジョージと距離を取った。
「今日は・・君との初夜なんだから・・。雰囲気を良くしようと思って、バラを摘んできたんだ。ほら・・そんなに怯えなくて大丈夫・・。君の身体のことを考えて昨日は手を出さず、今日にしてあげたんだ。心配しないで・・。」
「ち・・近寄らないで!!」
ユリアナは近くに何か武器になるものを探した。手に当たったもの、燭台を手に取りジョージに向ける。燭台は火がついていた。
「ユリアナ、火がついている燭台は危ないよ・・。君の柔肌に火傷ができてしまう。そうなると、僕も悲しいよ・・。
おい、止めろ。」
「はい」
ユリアナにゆっくり近づきながらジョージはまだ外にだ出していなかった部下に指令を出す。部下は2人がかりでユリアナに飛びつき、燭台を手から奪った。
「きゃあっ」
「ふふ。危ないって言ったじゃない・・。おい、お前ら。燭台はベッドから離れたところに置いてくれ。もう火は消していいから。」
「「はい」」
部下は頷き、燭台から火を消した。部屋の中は月明りと、部屋の奥で光るランプのみの光しかなくなった。
「ユリアナ。これで危険なものは取り除けたね。後は・・・君をベッドに括り付けるだけさ。」
「!!」
ユリアナは気づいていたけど気づきたくなかった、本当だと思いたくなかったジョージの、自分への歪んだ思いで殴りつけられたような気がした。
「絶対嫌!兄さまどうか考え直して!私は彼氏がいるの!!どうか逃がして!」
ユリアナは叫んだ。そして窓に走り、逃げようとした。
「お前ら捕まえろ!そして逃がさないように手錠につなげ!」
部下に叫ぶように命令を下し、ユリアナは窓へあと一歩のところで羽交い絞めにされ、ベッドへ逆戻りになった。
「離して!離せ!やめて!」
ユリアナが叫んでも無我夢中で体をねじったり蹴ったりしても何も言わず、部下たちは無言でユリアナの手首を手錠に繋いでいく。
手錠に繋がれたユリアナを見て歪んだ笑みを浮かべたジョージは言った。
「二人ともご苦労様。これからは運命の恋人たちの時間だから・・先ほどのとおり外で待っていてくれるかな?」
「「はい」」
2人は外で待機するために出て行った。部屋の中にはジョージとユリアナの2人になった。
「さあユリアナ。君をずっと待っていたんだ・・ずっとこの時を待っていたんだ。好きだよユリアナ・・僕の天使・・。」
「嫌だ・・嫌よ・・!嫌!」
ユリアナは叫び、ベッドの上まで逃げる。ジョージはそれすらも楽しいのか、少しずつ時間をかけて近寄っていく。
「さあ、愛し合おう。」
ジョージは鼻息を荒くしながらユリアナの服に手をかけた。




