第43話:作戦
屋根裏部屋に監禁されたユリアナはうなだれていた。ここからどうするべきかずっと悩んでいた。
(どうするべきなんだろうか。これから・・。ここをアルトが知っているわけでもないし・・。このままいくと本当に売られてしまう・・。)
鉄格子越しに外を見る。空は青く澄み渡りとても良い天気だが、鉄格子がその景色を邪魔していた。屋根裏部屋ということで、仮にこの窓から飛び降りれたとしても、かろうじて下に見える木に引っかかることができるか。一か八かのジャンプになりそうだった。
小さい窓を開け、鉄格子が動かないかを確認する。鉄格子はびくともしなかった。
「はあ・・。全く、どうしたことか・・。」
次に唯一の外に繋がっているドアを見る。ドアは鉄製のため蹴って壊すことは不可能だった。窓一つもなく、そこから手を伸ばして鍵を開けるなどはできなかった。
(それなら・・もう方法はこれしかないのかもしれない・・決行は使用人の数が少なくなる夜に決行するしかない・・!)
ユリアナは夜に向けて昼間に睡眠をとることにした。
アレックス達は馬を急ぎ走らせ、サンドル家の前まで辿り着いていた。今はサンドル家の人間に気づかれないよう、家から少し離れた背の高い草むらの中にいた。
「ここ、良い場所だね。サンドル家も見えるし・・。草が身を隠してくれるし・・。」
「そうだろ。これは俺と・・・ユリアナがあった場所なんだ・・・。ここしか思いつかなくてさ。」
マークが感心しながらアレックスに話しかける。アレックスは少し照れつつこの場所を懐かしそうに見ながら返事をした。
ここは依然、ユリアナとアレックスが出会った場所であった。だが、その後誰も手入れをしていなかったのか、草木がぼうぼうに伸びていて人を隠せるくらいまで成長していた。
「へえ、そう。ここが思い出の場所ってやつか。良い思い出じゃん・・。手入れはされてなさそうだけどさ。」
「まあ、そのおかげで身を隠せるからありがたいよ。」
マークは笑いながらアレックスと肩を組んだ。
「思い出に浸るのはいいけど、これからどうするの?作戦は?」
「作戦は考え付いているんだ。こうしよう。」
アレックスは騎士団員を呼んで作戦会議を始めた。
「作戦決行は今夜!やるぞ!」
「「「おおー!」」」
全員でサンドル家の地図を見ながら内容を共有した。サンドル家の地図にはユリアナが監禁されている屋根裏部屋の記載は無かった。
夕日が沈み、夜が来た。
ユリアナは夕食を部屋で摂り、外を見て夜になっているのを再確認した。
(夜が来ている。今がチャンスだ・・。)
ユリアナの考えていた脱走のチャンスは今だった。夕食の皿を取りに来るメイドは1人で来る。その隙を狙って外に出るということだった。
(それしかタイミングがないから・・)
ユリアナが神経をとがらせていると、ドアをノックする音がした。
(今だわ!)
ユリアナは返事をしてドアを見た。扉を開けたそこにはメイドではなく、長兄のジョージが立っていた。
「え?お兄様?」
「ユリアナ・・。ちょっといいかい・・?」
「え・・?何か・・?」
ジョージはゆっくりユリアナに近づいてくる。いつもと違う、どことなく異様な笑顔で少しずつ距離を縮めてくるジョージに違和感を覚えた。
(何かおかしい・・)
ユリアナは腰を低くし、すぐ逃げれるような体勢を取った。その姿を見たジョージは少し悲しそうな顔をしながら話した。
「そんな、警戒しないでよ・・。悪いことはしないし・・。俺は一応君の家族なんだよ?」
そう言いながらもジリジリ距離を詰めてくる。
「・・そうだけどお兄様、私が助けてほしい時は助けてくれないじゃない。そんな家族、私はいらないわ。」
ユリアナはできるだけジョージと距離を取れるようにするが、その距離は一気に縮められる。その時、ジョージの後ろに半開きになったドアが視界に入った。
(今ドアが開いている!今しかない!外に出よう!!)
ユリアナはちらっとドアを見た後、近づいてくるジョージに向かって体当たりをし、ドアまで走った。
「くっ!ユリアナ!!」
「ごめん!」
ユリアナは走って半開きになったドアの外に出た。
(ついに出れた!)
「逃がさないよ。」
「!」
背後からジョージの声がしたが、気にすることなくユリアナは走った。だが少し走ったところには体格の良い男が1人立って廊下をふさいでおり、ユリアナは捕まえられた。
「きゃっ!離して!!」
ユリアナはその腕の中でもがくが男はびくともしなかった。ジョージはユリアナに体当たりされた腹部をさすりながら出てきた。
「ユリアナ・・いけない子だ。おい、丁重に扱ってくれ。彼女を俺の部屋へ・・。」
「はい」
「いやっ離して!ムームー!」
ユリアナは男が持っていたシーツにグルグル巻きにされ、叫ぶことができなくなったままジョージの部屋へ連れていかれた。




